感無量とはどのような意味?
感無量(かんむりょう)とは、しみじみとした気持ちがはかり知れないほど大きいこと、また、その様子を指す言葉です。
たとえば、努力を重ねて目標を達成したときに、「感無量」だと感じるかもしれません。また、今までの努力を思い返し、満足そうに見える様子を「感無量の面持ち(おももち)」などと表現することもあります。
感慨無量との違い
感無量と感慨無量(かんがいむりょう)とは同じ意味の言葉です。そもそも感無量とは「感慨がはかり知れないほど大きいこと」を指す言葉のため、感無量の「感」と感慨の「感」は同じです。
感無量という言葉を感慨無量に置き換えても問題はありません。また、感無量は感慨無量を省略した言葉でもあるため、より正確な言葉を使いたいときは、「感慨無量」という言葉を選んでみてもよいでしょう。
感無量の由来
感慨無量という言葉は、比較的新しい言葉といわれています。1917年に小説家の田山花袋氏が作品中で使ったことがわかっていますが、それ以前から存在していたとも考えられます。
また、感慨無量という言葉が感無量と省略されるようになった経緯や、具体的にいつ頃から省略されているのかについてははっきりとはわかっていないようです。
感無量が使われるシーン
感無量(感慨無量)は、大きな喜びを感じたときに使われることが多い言葉です。たとえば、ビジネスシーンでは、次のように使われます。
・この大きなプロジェクトを成功でき、まさに感無量です。
・雲の上の人だと憧れていた〇〇さんにお会いでき、感無量です。
・このような大役を任されて感無量といったところですが、本当に自分で大丈夫なのか不安もあります。
また、日常会話のなかでも感無量を使うことがあります。
・幼い頃から目指して頑張ってきた〇〇大学に合格でき、彼は感無量といった様子だ。
・思わぬところで彼女の優しさに触れ、感慨無量の思いだ。
・毎日コツコツと努力をしてきたことが報われました。優勝できて感無量です。
感無量と類似する意味の言葉
感無量のようにしみじみとした思いを感じるときに使う言葉としては、次のものが挙げられます。
・万感
・感慨深い
それぞれの使い方やニュアンスについて見ていきましょう。
万感
万感の思いの「万感(ばんかん)」とは、心にわき起こるさまざまの思いのことです。今までのことを思い出し、しみじみとした気持ちに浸るときに使われます。
〈例文〉
・万感の思いがこみ上げ、うまく言葉で表現できない。
・ようやくここまで来たと思うと、万感胸に迫る。
万感は、喜びの気持ちを表す以外にも幅広いシーンで使えます。また、万感を使った表現として、「万感交到る(ばんかんこもごもいたる)」も覚えておきましょう。「さまざまな思いが次々とわき起こる」という意味で、たとえば別れのシーンなどで使えます。
〈例文〉
・万感交到り、涙があふれて、まともに彼の顔を見られなかった。
・達成したことの大きさもそうだが、万感交到り、まさに感無量とはこのことだ。
感慨深い
感慨深いとは、しみじみと心に感じる度合いが強いことを意味する言葉です。今までの出来事や会話などを思い出し、感傷に浸るときなどに使われます。
〈例文〉
・彼のことは幼い頃から知っているから、結婚したなんて感慨深いものがある。
・過ぎし日のことを思うと、こんなに幸せに暮らせるなんて感慨深いよ。
感慨深いという言葉は、うれしいときに限らず、しみじみとした気持ちになるときに使われます。よいことも悪いことも含めて、思い出すときに使ってみましょう。
感無量と反対の意味で使われる言葉
感無量は、しみじみとした気持ちが大きいとき、つまり、心が大きく動かされたときに使う言葉です。反対の意味の言葉としては、あまり気持ちが動かされない様子を示す言葉が当てはまるでしょう。たとえば、次の言葉は、気持ちがあまり動かされないときに使います。
・無感動
・淡白
それぞれの使い方やニュアンスについて解説します。
無感動
無感動(むかんどう)とは、心を動かされないこと、また、その様子を示す言葉です。気持ちが動かされないときに使います。
〈例文〉
・素晴らしい話を聞いているのに、彼女は無感動だったようだ。
・彼の無感動の表情は、交渉がうまくいかなかったことを示しているかのようだ。
なお、感動(かんどう)は、ある物事に深い感銘を受けて強く心を動かされることです。次のように使います。
〈例文〉
・彼女の優しさに、深い感動を覚える。
・昨日のピアノコンサートは素晴らしかった。名曲ばかりで感動した。
淡白
淡白(たんぱく)とは、味・色・感じなどがあっさりしていること、また、その様子を指す言葉です。たとえば、次のように使います。
〈例文〉
・淡白な味の料理ばかりで身体にはよさそうだが、たまにはジャンクフードも食べたくなる。
・アイドルの話題には興味がないのか、皆は盛り上がっているのに、彼は淡白な反応を見せた。
また、性格や態度がさっぱりしていることや、こだわりやしつこさがないことを意味するときにも使われます。
〈例文〉
・彼女はお金に対して淡白な人だ。
・彼はほとんどのことに対して淡白だ。こだわりを見せたことがない。
適切なシーンで使おう
感無量は、しみじみとした気持ちがはかり知れないほど大きいときに使われる言葉です。日常的に頻繁に使う言葉というよりは、本当に感動したときや、今までの経緯などを思い浮かべて感慨深いときに用います。物事に深く感動した際には、ぜひ使ってみてください。
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