「感慨深い」とは?読み方など基礎知識を解説
感慨深いという言葉の読み方は、<かんがいぶかい>です。会社におけるスピーチなどで、よく使われています。感情をむき出しにしにくい仕事中でも、感慨深いという言葉を用いることで、感情がこみあげてくるさまを表現できる言葉です。
はじめに、「感慨深い」の詳しい意味や使用が適切ではないシーン、「考え深い」や「感動」との違い、使い方・例文を確認しましょう。
意味はしみじみと心に感じるものがあること
感慨深いとは、「物事に深く感じて心を動かすこと」「感動が押し寄せてくる様子」「心の底からゆっくりと心に感じ入ること」を指す言葉です。「感」は「心が動く」、「慨」は「心を揺さぶる思い」などを意味します。
これらの漢字を使った「感慨」だけでも、「しみじみとした気持ちになること」や「心に深く感じるさま」を意味する言葉です。その感慨に、さらに「深い」がつくことで、より感情の程度が強いことを表しているのです。
たとえば、「うれしいです」では幼稚な印象になってしまいそうなシーンで用いると、落ち着きのある言い方で感情を伝えられます。」
感慨深いの使用が適切ではないシーン
感慨深いという言葉は、使用が適切ではないシーンがあるため注意が必要です。自分のことだけではなく、相手に起こったことでの喜びも表現できる言葉ですが、目上の人の功績や成功への賛辞を述べる際に使うのは適切ではない可能性があります。
たとえば、目上の人が昇進や栄転した際に「感慨深いです」と伝えると、相手が今まで積み重ねてきた苦労や努力をわかっているように聞こえてしまいます。また、皮肉っているかのように思われてしまう可能性もあるため、使用には注意しましょう。
なお、成長を見守ってきた後輩や同期に対してであれば、「感慨深い」と使えます。
「考え深い」や「感動」との違い
「考え深い」や「感動」は、感慨深いと混同しやすい言葉です。とくに考え深いは、感慨深いと読み方が似ていて混同しやすいものの、意味は大きく異なります。
考え深いとは「考えが深いこと」、つまり「思慮深いこと」「深く考えを巡らせるさま」を表す言葉です。感慨深いとは違い、物事に深く感じ入って、心を動かすことといった意味はないため、混同しないように気をつけましょう。
また、感動とは「心が動かされること」です。感慨深いと似た意味があるものの、それぞれ以下のように異なります。
感動……目の前のことが心に響いている様子
感慨深い……いままでのことを思い出し、しみじみと感じ入る様子
感慨深いものがあるなどの使い方・例文
実際に使用する際は、「感慨深いものがある」や「感慨深い気持ちになる」などと使いましょう。それでは、感慨深いを使った例文をご紹介します。
・指導社員を務めた自分にとって、彼の活躍は感慨深いものがあります。
・苦労して進めてきたプロジェクトがこれほど評価されて、感慨深いです。
・いろいろとサポートしていただいていた自分が、とうとう部下を指導する立場になれたことを感慨深く感じます。
感慨深いの言い換えができる類語表現
心が動かされたときに、そのシーンに合った表現ができるよう、言い換えができるさまざまな類語を確認しておきましょう。
感慨深いの類語は、以下のとおりです。
・感極まる……感激が極限に達すること。非常に感動する様子
・感無量……言葉で言い表せないほどに、深く身にしみて感じること。感慨無量
・心に染み渡る……相手の言動に心を動かされたこと。心に深く入りこむこと
このほかに、「余韻のある」「感激」「目頭が熱くなる」などとも言い換えられます。余韻のあるとは「しみじみと感じ入るさま」、感激とは「強い感動」、目頭が熱くなるとは「胸が熱くなり、涙が浮かんでくるさま」を指す言葉です。
それぞれの類語表現の意味を確認しましょう。
感極まる
感極まるとは、「感激が極限に達すること」「非常に感動する様子」を指す言葉です。強い感動を表すときに使います。目の前で起こったことだけではなく、過去のできごとを思い出して感激しているときにも使えるため、感慨深いと言い換えが可能です。
以下のように、実際に使いましょう。
・苦労して開発した商品が受賞し、感極まってしばらく言葉が出なかった。
感無量
感無量とは、「感慨無量」を省略した言葉です。「言葉で言い表せないほどに、深く身にしみて感じること」「大きく心を動かされた様子」を意味します。無量とは、「量をはかれないほどに多いこと」です。
感慨深いとほぼ同じ意味で使えます。使用する際は、以下のように表現しましょう。
・小さなころから知っていた人が、こんなにも立派になったとは感無量だよ。
・苦しいときに周りがサポートしてくれて、ここまでやってこられたことに感無量です。
心に染み渡る
心に染み渡るとは、「心にしみじみとした感情が入り込んでいく様子」「相手の言動に心を動かされたこと」「心に深く入りこむこと」を指す言葉です。
実際に使う際は、以下のように表現しましょう。
・懐かしい音楽が聞こえてきて、疲れた心に染み渡った。
・本当につらい時期に励ましのお言葉をいただき、心に染み渡りました。
感慨深いの使い方を正しく理解しよう
感慨深いは、会社におけるスピーチなどでよく使われています。しみじみと心に感じ入ることを意味し、感情をむき出しにしにくい仕事中でも、感情がこみあげるさまを表現できる言葉です。
目上の人の功績や成功への賛辞を述べる際には、感慨深いを用いることが適切ではない可能性があるため注意してください。また、混同しやすい、考え深いという言葉にも気をつけましょう。
実際に使う際は、感慨深いものがあるや感慨深い気持ちになる、感慨深く感じるなどと表現します。類語表現は、感極まるや感激、心に染み渡るなどです。
言葉の意味や使用する際の注意点、類語表現などを理解して、多くの言葉を正しく使えるようになりましょう。