正月の挨拶とは
正月の挨拶は仕事の関係者やお世話になった方などに、お礼や1年の抱負などを伝えるものです。また、新しい年に相手の健康を願い、仕事がうまくいくように祈る内容も含まれます。
挨拶の方法は年賀状や口頭・スピーチ・メールなどさまざまですが、挨拶の内容は基本的に同じです。ただし、相手によって言葉遣いなどは使い分けなければなりません。
ここでは、正月の挨拶を行う意味や、賀詞の種類などをご紹介します。
正月の挨拶を行う意味
正月には「あけましておめでとうございます」など、はじめにお祝いの言葉を使います。これは、新しい年に年神様を迎えたお祝いの言葉という意味です。
また、「めでたい」という言葉は「芽出度い」と書き、新しい春を迎えて芽が出るという意味もあるともされています。正月の挨拶にはこのような、自然への感謝の意味も込められているのです。
賀詞の種類や使い方
正月の挨拶では「あけましておめでとうございます」をはじめ、「謹賀新年」や「迎春」などの言葉が用いられます。これらは、「賀詞」と呼ばれるお祝いの言葉です。賀詞の種類は多く、相手との関係性やシーンごとに適切な使い方があります。
歌詞の種類は主に1文字・2文字・4文字・文章に分けられ、それぞれに使う場面は異なります。
・1文字:寿・福・賀・春など
・2文字:迎春、賀正・賀春など
・4文字:謹賀新年・恭賀新年・恭賀新春など
・文章:新年おめでとうございます・新春のお慶びを申し上げますなど
このうち、1文字や2文字の賀詞は、「新年を祝う」という内容をシンプルに表しているだけです。いずれも相手に対する特別な敬意はなく、目上の人に対する挨拶には適しません。これらの賀詞は、目上から目下の人へ使う言葉です。
一方、4文字や文章の賀詞は「謹(つつし)んで」「恭(うやうや)しく」など、相手への敬意を含んだ丁寧な表現です。そのため、上司や取引先など目上の人への挨拶に向いています。
正月の挨拶の例文
正月の挨拶を直接できない場合、メールで送るのもひとつの方法です。メールは、ただテンプレートをそのまま使ったような定型的な文言の挨拶で送信するのではなく、一人ひとりに合わせてエピソードを含めた内容の文面を作るようにしましょう。
ここでは、上司や同僚など、相手との関係性ごとに分けた挨拶の例文をご紹介します。
一般向けの挨拶
以下は一般向けの例文です。幅広い相手に使え、送る相手に合わせた文章を添えてアレンジができます。
謹んで新春をお祝い申し上げます。
旧年中は大変お世話になりました。今年のお正月は家族の皆様と楽しくお過ごしのことと存じます。
本年は気持ち新たに、より一層努力していく所存でございますので、変わらぬ御指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
本年も皆様が御健勝で御多幸でありますよう、心からお祈り申し上げます。
○○年 元旦
上司向けの挨拶
上司に向けた挨拶では、1年のうちでお世話になったことや今後の抱負を記載します。「謹賀新年」など4文字の賀詞か、「謹んで初春のお慶びを申し上げます」など文章の賀詞を選ぶようにしましょう。
謹賀新春
旧年中は心のこもったご指導をいただき、ありがとうございました。
新しい業務が導入されてわからないことも多い中、○○さんにはいろいろと助けていただいた場面も多く、大変感謝しています。
今年はさらに努力を重ね、成長できるよう精進いたします。引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
○○年 元旦
同僚向けの挨拶
同僚に向けては日ごろの感謝や、1年間をねぎらう言葉を添えます。「謹賀新年」などの賀詞は堅苦しい印象になるため、シンプルに「賀春」など2文字の賀詞か、「新年おめでとうございます」などの文章をつけるとよいでしょう。
あけましておめでとうございます。1年間、お疲れ様でした。
昨年は大きなプロジェクトの担当になり大変な年でしたが、○○さんにいろいろと相談に乗ってもらい、大変助かりました。本当にありがとうございました。
今年も忙しい年になりそうですが、一緒に頑張っていきましょう。
○○さんにとって素晴らしい一年となりますように。
○○年 元旦
部下向けの挨拶
部下や後輩社員への挨拶は、柔らかい表現で書きましょう。1年間の仕事をねぎらう言葉をかけ、今年も期待するという内容にすればやる気を引き出すことができます。
あけましておめでとうございます。
昨年は○○さんの頑張りで目標の数値を達成することができました。本当に助かりました。
今年も忙しくなると思いますが、これからも全員で力を合わせていきましょう。
本年も、どうぞよろしくお願いします。
○○年 元旦
正月の挨拶で注意したいこと
正月の挨拶を行う際は、いくつか注意したいことがあります。挨拶はできるだけ早く行うこと、忌み言葉を避けるという点です。
また取引先などに挨拶回りをするときは、マナーに注意しなければなりません。正月の挨拶をメールで送る際にも、注意したいマナーがあります。
ここでは、正月の挨拶で注意したい点を4つご紹介します。
正月の挨拶はいつまでに行う?
正月の挨拶は早めに行うことが大切であり、遅くとも松の内までには行いましょう。松の内とは、正月にやってくる年神様を迎える松を飾っておく期間のことです。
松の内の期間は地域により異なり、関東や北日本では基本的に1月7日まで、関西は15日までが一般的です。松の内を過ぎた場合は正月の挨拶ではなく、寒中見舞いとして送りましょう。
忌み言葉は使わないこと
正月の挨拶では、忌み言葉を使わないようにしましょう。忌み言葉とは不吉なことを連想させる言葉で、正月の挨拶では次のような言葉が該当します。
・去る
・滅びる
・絶える
・枯れる
・衰える
・破れる
・失う
特に「去年」というワードは使いがちです。「去」には「別れる」「離れる」という意味があり、「去」が含まれる「去年」は使わず、「昨年」「旧年」といった言葉を使いましょう。
挨拶回りをする際のマナーは?
営業の仕事などでは、取引先へ直接挨拶に訪問する場合もあるでしょう。年明けはどこの会社も忙しいため、挨拶回りは十分マナーに注意しなければなりません。
まず、できるだけ松の内までに訪問するようにします。挨拶では特に言葉遣いに気をつけ、丁寧に行いましょう。
挨拶回りに手土産を持参する場合は、大人数でも食べやすい個別包装のもので、日持ちがするものを選びます。相手から手土産をいただいた場合は、入り口から遠い上座側に手土産を置くようにしてください。
メールを使う際の注意点
メールで正月の挨拶を送る際は、一斉送信メール(CC)を使わないようにします。一斉メールは、いかにも大勢に定型文の挨拶を送っているような印象を与えるためです。
また年賀状をいただいた相手に、メールで返信するのは失礼にあたるため、避けましょう。相手と同じく、年賀状で返信するようにしてください。
なお、自分か相手が喪中の場合は正月の挨拶ではなく、寒中見舞いとして送るようにします。
正月の挨拶は正しい言葉遣いで行おう
正月の挨拶を年賀状やメールで送る場合、相手に合わせて適切な言葉を使うことが大切です。最初に用いる賀詞は使い方にルールがあるため、正しく使用しましょう。
送る時期や、忌み言葉を使用しないといった点にも注意が必要です。挨拶回りをする場合は、特にマナーに気をつけてください。例文も参考に、正しい言葉遣いで正月の挨拶を行いましょう。
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