「したっけ」の意味とは?
「したっけ」という言葉、耳にしたことはありませんか? あまり馴染みのない方もいらっしゃるかもしれません。それもそのはず、実はこの言葉は方言のひとつなのです。では、どこの方言なのでしょうか? 言葉の響きからなんとなくイメージできるかもしれませんね。今回は、「したっけ」を取り上げてその意味や使い方などを解説していきます。
意味
「したっけ」は、日本各地で幅広く使われている方言ですが、今回取り上げるのは北海道での用法です。ネットで検索すると「宮城」「千葉」「茨城」との関連性がサジェストされますが、辞書などでは出てきませんでした。
北海道の方言「したっけ」は、一般的に以下の2つの意味があるとされます。1つ目は、「そうしたら、それでは」という接続詞としての意味です。「したっけ、~しよう」というように、次の行動につながる接続詞として機能します。「じゃあ」「そうすると」などと同じく、文を繋ぐ意味合いです。
2つ目は、別れ際のあいさつとしての意味です。主に若者の間で「さようなら、それじゃあね」といった意味合いで使われます。帰り道で「したっけー」と言って手を振るような、軽い別れの挨拶です。
このように、北海道における「したっけ」は、接続詞と別れのあいさつという2通りの意味で使われているのですね。
「したっけ」の活用例
北海道弁「したっけ」は、北海道のとあるウェブマガジンのタイトルになっています。その名も「Sitakke(したっけ)」。「Sitakke」は、北海道各地のローカルメディアと連携し、北海道で暮らす・楽しむための情報を発信しているサイトです。
名前の由来は、「したっけ」が持つ2つの意味によるものだそう。北海道で暮らす女性たちの「したっけ、~してみよう!(それでは、~してみよう!)」という前向きな姿勢を応援する想い。そして、「したっけ(またね。)」と、明日につながる“きっかけ”を届けたいという想いが込められています。
サイトの名前になるほど、方言「したっけ」が北海道に根差しているのですね。こうしたことを知ると、馴染みのない方言でも日常の中の、生きた言葉として実感できるのではないでしょうか。
使い⽅を例⽂でチェック
方言は実際の使用例を見ると、ぐっと言葉の解像度があがるものです。そこでここからは、例文を使って使い方を解説していきます。
1:「昨日、町行ったさ。したっけ、先生に会ったんだ」
この場合の「したっけ」は「そうしたら」という意味です。接続詞の役割を持ち、次の行動に繋げています。例文の場合は「昨日町に行ったこと」と「先生に会ったこと」を接続する意味合いで「したっけ」が用いられているのです。
2:「動物園、楽しかったね。したっけ!」
この場合の「したっけ」は、「さようなら」の意味を持ちます。「それじゃあね」「またね」のような、主に若い人が使う別れ際のあいさつです。例文は「動物園、楽しかったね。じゃあ、さようなら!」という意味になります。
3:「じゃあ明日10時に駅前で待ち合わせだからね、したっけね~!」
「したっけ」の末尾に、「ね」がついた「したっけね」という言い方も。意味は「したっけ」と同様、「さようなら」となります。北海道では帰り際に「バイバーイ」の代わりに、「したっけね〜」と言うこともしばしば。北海道を訪れた際に少し耳を傾けてみると、聞こえてくるかもしれません。
北海道の方言を紹介
日本の中でも独特な方言や言い回しがあるとされる北海道弁。「したっけ」以外にも、たくさんの特徴的な方言があります。ここでは、一度聞いただけでは意味が分かりづらい北海道弁を5つ紹介していきます。
1:「しばれる」
1つ目に解説する「しばれる」は、有名なのでご存知の方も多いかもしれません。北海道で「とても寒い」を意味する方言です。例えば、「今朝は、昨日の朝よりもしばれて、水道が凍った」といった風に使います。気温の寒さを伝える動詞です。一字違いの「しびれる」と、間違えないようにしましょう。
2:「がおる」
2つ目は「がおる」です。北海道で「がおる」は「弱る、(つらいことで体や顔が)痩せる」を意味します。例えば、会話で「がおった顔して、何かあったの?」と聞けば、「顔が痩せたようだけれど、何か問題があったのですか?」という意味に。勝負事の強さ・弱さというよりも、体調や体力が弱まるという意味合いだと言えます。
3:「ゆるくない」
3つ目の「ゆるくない」の意味は、どのようなものだと思いますか? 一般的に用いる「緩くない」は「ゆとりがないこと」「きびしいこと」を指しますが… この場合「つらい、簡単ではない」という意味です。例えば、「毎朝ランニングを1時間するのはゆるくない」と言えば、「毎朝ランニングを1時間するのは簡単にできることではない」という意味になります。
4:「はんかくさい」
4つ目の「はんかくさい」は「ばからしい、あほらしい」という意味の言葉です。本気で相手を見下すものではなく、からかうくらいニュアンスとされます。寝坊した人に「はんかくさいね」と言ったり、人の発言に対して「何、はんかくさいことゆってんの(何をばかみたいなことを言っているんだ)」と言ったり… 相手を軽くからかう文脈で使われます。
5:「ばくる」
5つ目の「ばくる」の意味は「交換する」です。人のものをかすめ取ることや盗作することを指す造語「ぱくる」と字面が似ていますが、意味は違います。例えば、「火曜日と金曜日のシフト、ばくってくれない?」と言えば「シフトを交換する」ということです。北海道で何かを交換する際には「ばくる」を使ってみてはいかがでしょうか。
最後に
北海道の方言で、「そうしたら」という接続の意味を持つ「したっけ」。また、若い人を中心に別れ際のあいさつとして使われることもあります。その可愛らしい音の響きから何となく興味があったという方も、初めて知ったという方も、記事を通して「したっけ」に少し詳しくなったのではないでしょうか。北海道を訪れた際には、「したっけ」を使ってみると北海道に来た実感とともに、より観光を楽しめるかもしれませんね!
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