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仕事や恋愛で怒りっぽくなる原因とは?
仕事や恋愛は大切な時間。笑顔でご機嫌に過ごしたいのに、イラッとすることも多いのはなぜでしょう。人は、一生懸命だったり、責任を感じていたり、大切にしている事に対して怒りっぽくなりがちです。
「怒らない方法」を身につけたい、と思っている人も多いかもしれません。でも実は、怒りの感情は自分の心身を守るために自然に湧いてくる感情。蓋をしたり我慢したりするのは不健康。上手に取り扱って後悔しない怒り方を身につけることが大切です。
最初に、なぜ私たちは仕事や恋愛で怒りっぽくなるのか、理解を深めてみましょう。仕組みを知ると、怒りの感情を客観的に見ることができるようになります。
1:変化があり先が読めない
人は、先が見通せない状態や心づもりしていたことが突然変わることに対してイライラしがちです。不安や焦りにさいなまれたり、期待が外れたり、予定が狂ったりするからですね。
現代は、仕事の中身も方法も速いスピードで変化していますし、そもそも仕事は予定していたことがその通りには行かないことの連続。突然「事情が変わったので中止」「この部分を変更」と言われ「なんで」と腹立たしく感じた経験、あるのではないでしょうか。
2:期待や要望が大きい
人は自分の期待や要望が裏切られたときにも、イラッとしがちです。「どうしてそうするわけ?」「ちゃんと話聞いてくれてるの?」など、驚くとともに怒りの気持ちが湧いてきます。
恋愛では、相手に自分を分かって欲しい、大切にして欲しい、といった期待や要望の気持ちが強いので、他の人には感じないようなことにまで怒りを覚えてしまいがちです。
3:価値観が多様化
現代は、ダイバーシティインクルージョンの時代。多様な価値観や文化的背景を持った人たちで社会が構成されています。言葉はなんだかかっこいい響きですが、要は仕事をする時に隣の人は違う考え方の人、という確率が上がっているのです。
人は自分の価値観、考え方通りに物事が進まないときにイラッとしがちです。学生の時は、気の合う人とだけ一緒に過ごすこともできますが、仕事ではそうはいきません。恋愛も、近い関係になるほど価値観や習慣の違いに気付く機会が多くなります。
怒りの感情を我慢し続けたり不適切な行動をとると関係が崩れてしまうので、上手に取り扱えるようになりたいですね。
感情的になってしまうことのデメリット
感情的に怒ることの最大のデメリットは、人間関係が崩れることでしょう。後悔や自己嫌悪も感じますね。そして残念なことに、思い切って言ったつもりが、実は本当に分かって欲しいことは伝わっていない事が多いのです。
怒りの感情の本来の役割は、自分に脅威が迫っていると察知したときに身体を臨戦態勢に一瞬で整えること。脳はとっさに、アドレナリンやノルアドレナリンを放出します。これらが、心拍数や血圧を上げ筋肉を緊張させ、全力で戦ったり逃げたりできるようにするのです。
したがって、私たちは怒りを感じると臨戦モードで「カーッとする」のですね。感情的になるというのは、この働きに振り回されている状態なのです。
イラッとしたときに冷静になれる方法とは?
アンガーマネジメントでは反射的・感情的に何かを言ったりしない為に、「6秒やり過ごす」ことを勧めています。6秒経つと脳の理性を司る部分(前頭葉)が働き出し、冷静な行動選択がしやすくなりますよ。
6秒やり過ごし、冷静さを取り戻す方法を3つ紹介します。試してくださいね。
1:カウントバック
「カウントバック」とは、数字を後ろから数える方法です。100から3ずつ引いてみるのがお勧めです。100、97、94…。慣れて簡単になってしまったら、4ずつ引くなど工夫してみましょう。意識を怒りの対象から、そらす効果もありますよ。
2:怒りに温度をつける
その瞬間自分が感じた怒りの温度を1〜10で表してみましょう。1はごく軽いイラッ、10は人生最大の怒り、という感じで付けてみてください。尺度があると必要以上に強く怒りすぎてしまうことも防げます。
習慣化すると、6秒やり過ごせるだけでなく、自分がどんなことにどれくらい怒りを感じるのかもよく分かってきます。
3:コーピングマントラ
自分の気持ちを落ち着かせる言葉を持っておき、自分に呟きましょう。「コーピングマントラ」とは、対処する為の呪文という意味です。「大丈夫、大丈夫」「ナンクルナイサ」「まぁいいか」など気持ちがほっこりする言葉なら何でもOK。ペットの名前、大好きなお菓子の名前を唱えている人もいますよ。
日常生活で無駄に怒らないための考え方とは?
怒りの感情を感じること自体は、悪いことではありません。でも、強いエネルギーを持った感情なので振り回されがちです。怒る必要の無いことにまでつい怒ってしまうことは、防ぎたいですね。無駄に怒らない3つの考え方を一緒に見ていきましょう。
1:本当にそう?
目の前で起きていることを、私たちは無意識のうちに「解釈」「意味づけ」しています。
例えば、後輩に「おはよう」と言ったのに素通りされたとき、あなたはどう感じますか? 「無視された」と悲しむ。「先輩を軽んじてる」と怒る。「目に入らないくらい、気持ちに余裕がないのかしら」と心配になる。人によっていろいろですね。
イラッとしたら自分の解釈を「本当にそうかな?」と自問して、いろいろな可能性を考えてみましょう。自分の認知や思考の癖に気付くと、物事の感じ方が随分楽になることがあります。
2:本当に常識?
人は誰しも自分の価値観を持ち、大切にしています。イラッとしたときは、「普通は○○の筈」「常識で考えたら○○するべき」と言うワードが頭に浮かんでいることが多いものです。
しかし、価値観は多様で常識は人によって随分違います。相手に悪気は全くないのかもしれません。自分のものさしだけで全てを測っていないか、自問してみましょう。
大切な人に「もう!」と怒ったり、ため息ついてみても、相手は何故あなたが不機嫌なのか理解できず困っているかもしれません。仕事や大切な人の付き合いの中では、互いに考え方を伝え合って共通ルールを作っておくことをお勧めします。
3:「まぁ許せる」のゾーンを意識する
怒りやすい人は、何かが起きたとき「許せる・許せない」の二択で捉えがちです。その2つの間に「自分の価値観とは違うが、まぁ許せる」というゾーンもあることを意識してみましょう。
まぁ許せるか許せないのかを考えると、怒る必要のないことが見えてきますよ。
最後に
怒りの感情の仕組みや取り扱い方をお伝えしてきました。やっていくと次第に要領が分かってきます。
上手に取り扱えるようになると、強い怒りを感じたり感情に乗っ取られることも減るので、ぜひ、継続的に取り組んでみてくださいね。
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キャリアコンサルタント 米山万由美(よねやま・まゆみ)
アンガーマネジメントファシリテーター。組織の1on1面談や人財活用コンサルタント、研修講師として活動。楽しくはたらき楽しく暮らすを応援。趣味はチェロ演奏。ライター所属:京都メディアライン