「緊張」とはどういう状態?
そもそも、どのような心理状態のことを「緊張」というのでしょうか。まずは、「緊張」という状態について、考えてみましょう。一般的には、「心や身体が引き締まる状態」を指すのですが、「緊張」は学問的に様々な使い方をされます。
心理学における「緊張」とは?
「緊張」とは、もともとは力学や生理学で用いられていた概念だったようです。20世紀初頭に、オーストリアの精神科医であったフロイトをはじめとする心理学者らによって、心理学で用いられるようになりました。
心理学において「緊張」が用いられる際は、「これから起こるであろう現象や、ある行動への準備を待ち受ける心の状態」を指します。
生理学における「緊張」とは?
身体の筋肉や腱がこわばっている状態になったことはありませんか? 生理学においては、筋肉や腱が一定期間収縮している状態を「緊張」といいます。
相互の関係における「緊張」とは?
心理学や生理学における「緊張」は、自分の心や身体の状態を表す言葉でした。「緊張」には、それだけでなく外部との関係においても用いられることがあります。
例えば、「ニュース番組でキャスターが、A国とB国の間で緊張が走っていると報道した」という例文を取りあげてみましょう。相互の関係が悪化し、一触即発の雰囲気になることを「緊張が走る」「緊張が高まる」などと表現します。
この場合は、「お互いの関係や、雰囲気が張りつめている状態」という意味で「緊張」が用いられているのです。
「緊張」すると起きやすい症状とは?
続いては、特に心理学においての「緊張」について一緒に見ていきましょう。人前に出ることに苦手意識のある人や、自分がリードしなければならない場面で強いストレスを感じる人には、これから紹介するような症状に心当たりがある人もいるかもしれませんね。
1:声が出しにくく感じる
企業に就職すると、自分の企画を発表するプレゼンを行わなければならないこともあるでしょう。そういった場面で声が出にくく感じたり、喉が締め付けられるように感じたりした経験はありませんか? これらの症状は無意識下で、人前に出ること、人前で話をすることにストレスを感じている際に起こるといわれています。
2:顔が赤くなる
「緊張」する場面になると、顔が赤らんでしまうケースがあります。原因ははっきりと分かっていませんが、交感神経が過剰に緊張する状態になることで皮膚の表面にある血管が拡張し、顔が赤くなってしまうという説があるようです。
3:手足が震える
試験やプレゼンなど、失敗ができないような場面で手足が震えてしまうことってありますよね。手足の震えは「緊張」によるストレスによって、自律神経のバランスが崩れることが原因であると考えられています。
「緊張」する原因とは?
「緊張」は、手足が震えてしまったり激しい動悸に襲われてしまったりとなかなかつらいもの。なぜ人は、「緊張」してしまうのでしょうか。続いては、「緊張」する原因について、詳しく迫ってみましょう。
1:周囲の反応が気になる
「緊張」してしまう原因の一つとして、「他人の目を気にしてしまう」ことが挙げられます。「どう思われるだろう」「悪く思われないだろうか」など、自分のすることをネガティブに捉えられないか気にしてしまうため、過剰に「緊張」してしまうのです。
2:トラウマがある
人前に出てなにか失敗した経験があると、再び同じ失敗をしてしまうのではないかというトラウマから、フラッシュバックしてしまうことがあります。そのため、「緊張」する場面では、パニックに陥りやすい傾向も。
一度深呼吸をして、自分の状況を冷静に把握する必要があるといえるでしょう。
3:完璧主義の傾向がある
何事も完璧にこなしたいと思う人ほど、「緊張」しやすい傾向が。失敗ができないというプレッシャーが大きいため、自律神経が乱れやすくなっていると考えられます。むしろ、肩の力を抜いてリラックスしたほうが、うまくいくことも多いです。
「緊張を和らげる方法」はあるの?
心臓がバクバクしたり、手足が震えたりするなど困った症状を引き起こすこともある「緊張」。そこで、最後に「緊張を和らげる方法」を紹介します。「緊張」しやすくて悩んでいる人はぜひ参考にしてみてくださいね。
1:マッサージをする
「緊張」したときは、手の「あるポイント」をマッサージすることで緊張を和らげる効果が期待できるんですよ。今回は、三ヶ所紹介しましょう。
一ヶ所目は、「手のひらの真ん中」。手のひらの真ん中の、やや窪んでいるところを反対の手の親指でぐっと押してあげることで、「緊張」を和らげることができるといわれています。
二ヶ所目は「親指の付け根」です。「手のひら」と同様に、親指の付け根にある少しくぼんでいるところをマッサージしてみましょう。
三ヶ所目は「手首」です。「手のひらの真ん中」からまっすぐ「手首」へおろした位置をぐりぐりとマッサージすると「緊張」が解れるのだそう。
2:腹式呼吸を意識する
「緊張」すると無意識に呼吸が浅くなります。呼吸をしっかりすることで自律神経が乱れにくくなり、「緊張」する気持ちが落ち着いたり、「緊張」しにくくなりますよ。
ポイントは、お腹を膨らませることを意識すること。鼻から大きく吸い、時間をかけて鼻から吐き出します。これを10回程度繰り返すように心がけましょう。
3:太陽の光を浴びる
実は効果的な方法が、太陽の光を浴びることです。太陽の光を浴びることで人間の体内に含まれる「セロトニン」が活発になります。「セロトニン」とは、人が幸せや心の安らぎを感じるために必要な神経伝達物質の一つです。「セロトニン」は自律神経を整えてくれるため、「緊張」しにくくなります。
最後に
今回は、「緊張を和らげる方法」について詳しく紹介しました。「緊張」は、私たちに様々な症状をもたらします。しかし、その一方で、集中力を高めてくれるといった効果もあるのです。「緊張」を完全に拒絶するのではなく、上手に向き合いながら自分を成長させる糧に繋げていきたいですね。
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