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2025.04.24

京都の「堤淺吉漆店」が、伝統を継承する家族経営者を讃えるプリマム・ファミリエ・ヴィニ(PFV)賞を受賞 ~日本の漆文化を次世代へ~

日本が誇る京都の老舗漆メーカー「堤淺吉漆店」が、伝統的なファミリービジネスの継承を称えるプリマム・ファミリエ・ヴィニ(PFV)賞を受賞! 日本で初めて行われた授賞式と工房見学の様子をレポートします。

インバウンドが急増し、日本の地域や文化、伝統工芸が世界からも注目を集める中、京都の老舗漆メーカー堤淺吉漆店」が、伝統的なファミリービジネスの継承を称えるPrimum Familiae Vini(プリマム・ファミリエ・ヴィニ)(PFV)賞を受賞、4月10日(木)日本で初めて授賞式が行われました。

家族経営のワイナリーを所有するファミリーからなる団体、Primum Familiae Vini(プリマム・ファミリエ・ヴィニ)(以下PFV)とは?

PFVの人々の集合写真
Primum Familiae Vini(PFV)とは

1991年に設立された歴史ある世界屈指の12のワイン生産者が加盟する招待制の組織。自分たちと同じ「家族経営」の世界中の会社が、素晴らしい伝統や工芸を継承し続けられるようサポートするために、PFV賞 FAMILY IS SUSTAINABILITY (家族は持続可能性の代弁者)を設立。企業の開発プロジェクトを支援する為に2年毎にPFV賞を授与、最優秀賞には10万ユーロが贈られ、次世代への知識継承と社会的責任を促進しています。

PFV 賞の過去の受賞者には、ヨーロッパ最古のヴァイオリン工房を営むベルギー(ブリュッセル)の「Maison Bernard」、高級繊維を製造するフランス(プロヴァンス)の「BRUN DE VIAN-TIRAN」などが名を連ね、3回目となる今回は、明治42年創業、4代目となる京都の「堤淺吉漆店」が受賞! 日本が誇る伝統工芸、クラフトマンシップが世界から高く評価されました。

笑顔で大きな木の板を持っている堤卓也氏の写真
京都の「堤淺吉漆店」4代目の堤卓也氏

堤淺吉漆店は、日本の伝統工芸である漆の精製を専門として創業以来100年以上にわたり事業を継承してきました。日本の漆の需要が過去40年間で90%も減少する中、堤淺吉漆店は品質へのこだわりを貫き、従来製法よりも耐候性に優れた漆を開発するなど、日本文化の保護に貢献。現在、同社は日本漆の精製分野においてトップ企業で、日光東照宮をはじめとする国宝の修復にもその技術が活かされています。

4代目堤卓也氏は、この賞に応募した理由を「きれいな地球とともに漆の文化を次世代に繋ぎたい。そのために漆のことを世界中の人に知っていただく機会にしたいからです。」と語り、先代から継承された漆技術を繋ぐ、「家族経営」ならではの強い責任がその言葉からも感じられました。

4月10日(木)京都両足院で行われた授賞式には、PFVメンバーも各国から参加、国境を越えた家族経営ビジネス、堤淺吉漆店の卓越した品質へのこだわりや持続可能な取り組み、世代を超えた職人技を称えました。

堤卓也氏とPFV会長・Charles Symington氏が笑顔で写っている写真
(左) 堤淺吉漆店4代目・堤卓也氏 (右)PFV会長・Charles Symington氏
和室に置かれた大きな漆塗りのワインケースにワインが並んでいる写真
漆芸アーティスト 服部一齋氏による蒔絵と螺鈿が施されたワインケースとPFV12社のワイン

PFV 会長 Charles Symington氏のコメント

“ 毎年、多くの素晴らしい家族経営企業の中から受賞者を選ぶのは非常に難しいことですが、堤淺吉漆店は、伝統と革新の両立において特に際立っていました。家族経営の企業が持つ強靭さ、そして職人技を次世代へ継承することの重要性を象徴しています。”

“我々は、ワインの世界だけではなくもっと広い世界の家族ビジネスを支えたいと思っている。堤淺吉漆店は、樹液から天然の漆を精製する日本工芸継承の大きな役割はもちろん、漆の技術を活かした”修復”にも携わり、京都の境を超えた活動で、文化的な遺産を保持する面でも、大きな尊敬に値する企業です。”

堤卓也氏の授賞コメントと「今後への想い」

“この度の受賞は、私たちの家族と職人の技にとって大きな名誉です。100 年以上にわたり、漆の精製技術を守り、発展させることに尽力してきました。PFV 賞を受賞したことで、私たちの持続可能性、革新、そして次世代へこの伝統を受け継いでいくという決意がさらに強まりました。”

“先代の口癖は「漆を一滴も無駄にするな」。その言葉には、素材への敬意と、暮らしを支える漆への感謝の心が込められていました。
これからは、さらに若い世代が、自分たちらしい方法で、美しい地球と漆の文化を次の世代へとつないでくれると信じています。”

「漆の魅力を伝えること。これも私たちの使命です。」

そう語る堤氏は、漆を精製するだけでなく漆の素材としての魅力を伝える活動、「うるしのいっぽ」を2016 年に立ち上げ、 2019年には、漆の新たな魅力を世界に伝える「BEYOND TRADITION」プロジェクトをスタート。

便利で安い商品がすぐに手に入る今の時代、漆の製品は「高くて扱いづらい」というイメージを変革するために、サーフボードやスケートボード、日常で使用する自転車などに漆を塗り、「漆=高級品」という既成概念を覆しながら、日常に寄り添う素材としての魅力を発信しているそう。

そして、昨年2024年4月には、漆を「学び・体験し・交流する」新たな拠点として「Und.(アンド)」もオープン。若手職人のための工房も併設し、漆の精製を行いながら、塗りの技術を受け継ぐ職人を育てる場としても機能しています。

工房で作業する若手職人たちの写真

「漆の魅力体験」漆精製工場の見学やワークショップも開催!

工場に併設する「Und.(アンド)」では、商品販売・展示に加え、3階ワークスペースでは、実際に拭き漆をはじめ陶芸体験が出来るのも魅力。

アンドの外観写真

漆の成り立ちやウルシの木の説明、漆の樹液(原料)がどのように黒や朱に精製されていくのか? その工程や難しさを、実際に作業をしている工房を見学しながら学べます。

漆職人の作業風景写真と工房の写真を並べた画像

“漆を精製する職人も、ショップで働くスタッフも、塗りの職人も、皆が同じ目標に向かいながら、力を合わせて、新たなモノづくりの輪を育んでいます。

その一歩一歩は小さくとも、やがて大きな輪となり、人と自然、そして工芸をしっかりと未来へとつないでくれると信じています。”

先代から受け継いだ大切な想いと漆文化を次世代に繋げるため、様々なアプローチをしている「堤淺吉漆店」。

京都に訪れる際には、世界からも注目を集める日本のモノづくり、漆技術の体験に、「堤淺吉漆店」へ訪れてみてはいかがでしょうか。

工房での作業風景や道具を写した写真を4つ並べた画像

【Und.】

ショップオープン日:毎週火曜日・水曜日・木曜日・金曜日11:00〜17:30
※祝日休み
※月曜日は事前来店予約

【堤淺吉漆店】

営業日:平日 9:00~17:30
休業日:土曜日・日曜日・祝日

【うるしの学校】

水曜日・第1第3土曜日に開催

【漆に親しむツアー・体験や漆の学校に関する情報】
https://www.tsutsumi-urushi.com/experiences/

公式ホームページ:https://www.tsutsumi-urushi.com/
公式Instagram: https://www.instagram.com/tsutsumi_urushi/
urushi no ippo:https://www.urushinoippo.com/

Oggi編集部

「Oggi」は1992年(平成4年)8月、「グローバルキャリアのライフスタイル・ファッション誌」として小学館より創刊。現在は、ファッション・美容からビジネス&ライフスタイルテーマまで、ワーキングウーマンの役に立つあらゆるトピックを扱う。ファッションのテイストはシンプルなアイテムをベースにした、仕事の場にふさわしい知性と品格のあるスタイルが提案が得意。WEBメディアでも、アラサー世代のキャリアアップや仕事での自己実現、おしゃれ、美容、知識、健康、結婚と幅広いテーマを取材し、「今日(=Oggi)」をよりおしゃれに美しく輝くための、リアルで質の高いコンテンツを発信中。
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誤)新近感
正)親近感
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