通夜・葬式の記帳とは?
訃報が届き、お通夜やお葬式といった葬儀に参列するときには、誰もが必ず行う必要のある行為があります。その一つが、記帳です。一般的に、お通夜の会場に訪れると、長机などにより受付が構えられています。
まずは受付で「お悔やみの気持ち」と「本日は参列します」という旨をお伝えする必要があります。
お悔やみの気持ちは「ご挨拶」と「お香典」で表し、参列の旨は「記帳」にて示します。
記帳とは、受付に用意されている紙のカードやノートに自分の名前と住所を、手書きで記入することです。
記帳は、喪主様とご遺族の方々が、葬儀に誰が来てくれたかを確認するため。後日、ご遺族の方々が参列の御礼の香典返しを送るためです。
記帳の方式は2通り
現在、記帳は次の2通りの方式で行われています。
◆1. 記帳カード
小さい紙のカード用意されており、受付の机か、その他の台の上でそのカードに書き、後で受付に持っていく方式です。
◆2. 芳名帳(ほうめいちょう)
受付に置かれている芳名帳と呼ばれるノートに、参列者が順に記入していく方式です。
◆記帳カードで書く場合が多くなってきている
従来は、芳名帳が一般的でしたが、最近は記帳カードが増えています。会社の大規模な葬儀等、参列者が多い場合、受付に長蛇の列ができることから、一人一人順に記帳していたらなかなか受付が進まないということで、各自、記帳カードに書いて提出する方式のほうが利便性の面で優れているためです。また、記帳カードは、あとから分類などがしやすいため整理する側にとって便利であることも、記帳カードが増えている背景と考えられます。
しかし、芳名帳の方式を取るケースもまだまだありますから、どちらの方式にも対応できるようにしておきましょう。
夫婦・代理etc. 記帳の方法とルール・マナー
ここで、記帳の基本マナーを紹介します。
◆筆記用具は用意されているものを使用する
記帳は、正式な筆記用具である筆や万年筆で書くのがマナーです。今は簡略化され、筆ペンかサインペンが用意されていることが多いです。ボールペンは正式ではないので、あまり使われていません。基本的に用意されているもので書きましょう。ただし万年筆であれば、持参したものを用いてもかまいません。
◆フルネームと住所を丁寧に書く
「フルネーム」と「住所」を書きます。指定があれば「郵便番号」も。いずれも丁寧に読みやすく書きましょう。
◆会社の代表で参列するときは住所に気をつける
会社の代表として参列した場合、自身の名前と部署や役職を書き、住所は会社の住所を書きます。香典は会社から出るのが一般的だからです。
もし、部下が個人的に、上司の親族の葬儀などに行くのであれば、自分の住所を書きます。
◆代理の場合は(代)もしくは(代理)と書き添える
上司の代理で葬儀に参列する場合、記帳の際は上司の名前を書きます。そして、その隣に自分のフルネームの下に「(代)」か「(代理)」と書きます。
◆夫婦で参列する場合、夫はフルネーム、妻は名前のみ
夫婦で参列する場合、夫は「田中一郎」などとフルネームで書き、横に「良子」などと妻の名前のみを書きます。
もし、妻が夫の会社関係の葬儀に代わりに参列したというときには、「田中一郎」の横に「良子」と書き、その下に「(内)」と書きます。これで“夫の代理で妻が参列した”ことを示すことができます。
記帳までの流れ
お通夜や葬式の会場に訪れたら、次の流れで記帳するのがマナーです。
◆前準備
まず受付に行く前に、お香典を手元に用意します。袱紗(ふくさ)に入れている場合はお香典袋を出して、袱紗を台にして持ちます。袱紗がない場合は、バックやポケットから出して、直接手に持っておきます。いずれにしても、挨拶してから、受付の方の目の前でお香典を袱紗やバッグから出すのは失礼となるため、避けましょう。
1. 挨拶をする
受付に行き、ご挨拶をします。「このたびはご愁傷様です。」もしくは「このたびはお悔やみ申し上げます。」など。
ここでの注意点は、長々としゃべらないこと。「本当に大変だったわね」「生前、すごくお世話になって」など、気遣いの声をかけたい気持ちはわかりますが、受付で長くしゃべるのはマナー違反ですので、慎みましょう。
2. 記帳する
挨拶が終わったら記帳します。手に持っているお香典は、脇に置いて置いてから書きましょう。机の上に黒いおぼんがあれば、そこにお香典を置きます。記帳カード方式の場合は、書いた後に受付に持っていきます。
3. お香典をお渡しする
記帳が終わったら、お香典をお渡しします。
通夜・葬式の記帳の気になる疑問Q&A
続いて、よく寄せられる記帳に関するご質問にお答えしていきます。
◆Q. 記帳で書いた住所には、後日、何かが送られてくるのですか?
A. 法要をおこなった報告と香典返しが送られてくる
四十九日法要が終わった後、「四十九日忌法要を近親者にて無事執り行いました」という報告と、お香典返しとして、品物が送られてくるのが一般的です。
ただ最近では、参列した友人や知人、近所の人に対しては、近年は簡略化され葬儀当日にお香典返しをお渡しすることが増えています。これを「当日返し」と呼びます。
ただし、ご親族など、お香典の金額の多い参列者に対しては、後日、お香典返しを記帳の住所宛に送ることがほとんどでしょう。
Q. 個人情報を守るために、住所を書かなくてもいいですか?
A. 名前だけでもOK。極力住所を書きましょう。
もしどうしても気になるのであれば、「名前だけで」と受付の方に申し出れば、書かなくて良いこともあるでしょう。しかし、先述の通り、後日香典返しを送る為に、送り先を確認しなければならないなど、喪主様にご負担をかけてしまいますので、その点も考慮し、ご判断されてください。
Q. お通夜とお葬式に連日、参列するときも、記帳は行うのですか?
A. どちらも記帳してください。
お通夜とお葬式の両方に連日、参列する際にも、必ず記帳します。お香典は、お通夜のときに持っていけば、お葬式のときは持っていく必要はありませんが、記帳は両方行うのがマナーです。
先述の通り、記帳は喪主様やご遺族の方々が、どなたが参列されたかを知るためのものだからです。その際、「昨日お通夜にも参列させて頂きました」と一言伝えることで、すでにお香典を渡されていることが受付の方に伝わります。
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記帳の基本マナーをお伝えしました。参列時にはお香典やご挨拶などが気になるものですが、記帳も大事な行為ですので、ぜひ丁寧に心を込めて行いましょう。そのほかのことでも、何か迷った際はどうぞ大野屋テレホンセンターまでお問合せください。
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メモリアルアートの大野屋 終活・仏事アドバイザー 川島敦郎
1956年東京都出身。大学卒業後ブライダル会社に勤務。企画やプランナー育成に携わり、業界資格の試験官も務めたエキスパート。ブライダルの世界から2005年にメモリアルアートの大野屋に入社。葬儀ディレクター、生前相談アドバイザー、セミナー講師としても活躍し、現在「大野屋テレホンセンター」で仏事アドバイザーとして年間5000件以上の相談に答える。
大野屋テレホンセンター著「もう悩まない!葬儀仏事お墓ズバリ!解決アンサー」(二見書房)、監修「小さな葬儀とお墓選び・墓じまい」(自由国民社)
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