【目次】
・【手汗の原因】病気の場合は治療できることも
・【手汗対策】生活習慣に取り入れるススメ
【手汗の原因】病気の場合は治療できることも
【1】まずは診察して確認
教えてくれたのは… 増富健吉先生
[医学博士。国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野分野長]
内科学的には「手汗」といわれると甲状腺機能亢進症という病気が頭に浮かびますが、これは甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる病気でいわゆる、「バセドウ病」という病気です。この場合は、治療することで上手くコントロールすることが可能な場合が多いので、ちゃんと診察を受けることが大切です。
【2】病気ではない場合
『原因となる病気がないにもかかわらず、「手汗」で困っている人は意外に多いんです。手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)といって若い人に多く、大抵いつも手が汗で濡れている。だけど不思議なことに眠っている時には汗が出ていない。
原因ははっきりとわかっていないのですが、いわゆる、「自律神経のバランスが崩れていることが原因」という説が有力です。
「若い人に多い」というのも、まだまだ年齢的に自律神経のバランスをとるのが上手にいかない、緊張しやすいタイプで交感神経がとかく反応しやすい、何らかの原因で一時的に自律神経のバランスが崩れている、などの原因があるのかもしれません』(増富健吉先生)
【3】手汗は治療できる?
『手掌多汗症の治療は、脇の下にある交感神経の中継点を焼くという手術もありますが、一般には交感神経と副交感神経のバランスが崩れることは良くありますので、症状の重症度に応じて対応するのが良いと思います。
≪手汗を和らげる方法≫
手に汗が出るのは普通のことでもあるので、緊張状態を和ませる工夫などもいいかもしれません。寝る? なにか食べる? 深呼吸してみる? 息をこらえてみる? 眼を閉じる? 他に、副交感神経の優位になるモード思いついたら試してみるのがおすすめです』(増富健吉先生)
次章より、手汗の原因として有力な「自律神経の乱れ」にアプローチするおすすめを紹介していきます。
【手汗対策】生活習慣に取り入れるススメ
【1】腸活
『最新の研究では、腸内細菌の状況がこの自律神経という細い線を介して肝臓から脳に伝わり、最終的には全身の免疫に指令を出しているという、新たな「肝臓-脳-腸管」のつながりが報告がされています。
さらに腸内細菌のバランスを整えることは、最終的には全身の免疫状態の良好なコントロールにもつながるのです。ビフィズス菌を含むヨーグルト・サプリ・薬や、乳酸菌を含むヤクルトなどを飲む、というのは良いかもしれませんね』(増富健吉先生)
便秘が長時間続くと自律神経が乱れてストレスを感じやすくなることも。腸活を意識した食生活を取り入れましょう。
■エストロゲン
教えてくれたのは… 杉山力一先生
[杉山産婦人科グループ3院の理事長。医学博士]
最近では「美人ホルモン」とも呼ばれているエストロゲンは、心身を支える女性ホルモン。女性ホルモンと言えば“美肌・美髪・丸みを帯びた体つき”のサポートとしておなじみですが、自律神経の安定・脳の活性化などにも効果が期待できます。
とはいえ、エストロゲンが過剰になると、子宮筋腫・子宮内膜症・乳がんや子宮体部がんにかかりやすくなるため、エストロゲンを「正常量に保つ」ことが大事です。
【2】おすすめの食べ物
『エストロゲンをバランスよく保つために効果的である、とされているのが「食事改善・適度な運動・睡眠」。
■大豆イソフラボン
エストロゲンに似た働きをし、エストロゲンが少ない場合は補ってくれます。また、エストロゲンが過剰になっている場合は減らしてくれる役割も担っているため、女性ホルモンのバランスを保つのに最適。
■ビタミンE・B6
アーモンドやアボカドに含まれるビタミンEは、エストロゲンを分泌する卵巣の働きを助けてくれます。また、カツオや牛レバーに含まれるビタミンB6は、脳に女性ホルモンを分泌するよう働きかけます。
継続することが大切。ちょっとずつ改善を重ねていきましょう』(杉山力一先生)
■基礎代謝
『基礎代謝を上げることは、自律神経を安定させたり血行促進などにつながります。筋肉量が増えることで基礎代謝量も増えるので、運動を取り入れることも大切。運動は、ゆっくりした呼吸をしながら行う有酸素運動がおすすめです』(杉山力一先生)
【3】おすすめの運動
今すぐはじめられる簡単なトレーニングです。
■スクワット
筋肉量も増やせる簡単なストレッチ。腰を下ろす際に息を吸い、膝を伸ばす際には息を吐くようにしてゆっくり行うと、自律神経のバランスがより整いやすくなります。
■足上げ運動
仰向けに寝転がり、両足を伸ばしてどんどん上にあげていくストレッチ。深く息を吸って吐きながら行います。女性ホルモンの調整には下半身の筋肉を増やすことがおすすめ。
■ついで運動
日常のちょっとした工夫で筋肉量アップ! 例えば、エレベーターを階段にする・座り仕事の際に美しい姿勢をキープする・料理や掃除の合間に伸びをするなど。
■ウォーキング
30分以上歩くことを目安とし、なるべく腕や足を大きく使ったウォーキングを。下肢筋肉のみならず全身の筋肉を増やす効果も期待できます。
■ヨガ
基礎代謝の向上・血行促進・自律神経やホルモンバランスを整える・リラックス効果が期待できます。
■風呂上がりのストレッチ
基礎代謝をあげる有酸素運動ストレッチ。からだが温まっている時間帯に10分程度のストレッチを行うことで、血行促進も期待できます。
『また、適度な運動をすることで“質の良い睡眠”にもつながります。なるべく12時前には就寝し、最低でも6時間は睡眠をとるよう心がけましょう』(杉山力一先生)
【4】体を冷やさない
『体温を一定に保つ働きがある自律神経。生理期間中や梅雨時など、体温調整が不安定になるときは身体が長時間冷えて自律神経が乱れやすくなります。身体をこまめに温める“温活”を意識することも大切』(杉山力一先生)
【5】リラックスタイム
『体温が1度でも下がると、女性の健康の要となる免疫力は5~6倍も低下してしまいます。“温活”を意識するなら、お風呂はシャワーではなく湯船につかるのがベスト。
■好みの香りの入浴剤を
好きな香りに包まれると、それだけで安心し自律神経が整っていくような嬉しい変化を感じ取れるもの。血行促進・保温作用などがあれば、リラックスしながらカラダが芯から温まり、免疫力アップのためのベストな体温を維持できるようになります。
■毎日のお風呂習慣
発汗や血のめぐりが活性することで、女性の美容・健康・ダイエットのすべてにアプローチできます。
一日の中でもっともキレイになれるタイミング。ココロもカラダもリフレッシュする楽しい入浴にしましょう』(杉山力一先生)
免疫力アップする入浴法! 意外とNGなお風呂の入り方してるかも…
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