新型コロナの中、ついに体外受精の日を迎える…【30代からの不妊治療】
妊活を始めて3年。現在34歳の私の体験から、妊娠を考えているカップルにとって少しでも役に立つような情報をレポート形式でお届けします。
前回は、新型コロナと不妊治療のお話をお届けしました。今回は、採卵周期初日のお話。
コロナ禍でもできることは全部やった
突如世界を襲った新型コロナウイルス。不妊治療を続行するかどうか悩んだ私たちですが、夫は精索静脈瘤の手術を受けたあともサプリの服用や食事療法を続けました。私もフーナーテストや卵管造影検査を受けて筋トレに励みながら、目標までは届かなかったけれど46キロ越えの人生最高体重をマーク。できることは全部やりきりました。
2020年の6月、ドキドキしながら迎えたD(デイ)3、ついに私たちは体外受精のステップへ進むことになります。
ステップアップのタイミングに間違いなんてない
総合病院のリプロダクションの待合室は、今まで見たことがないくらいに空いていました。“不妊治療は不要不急”、あの報道のインパクトの大きさを感じます。
妊活をストップしたり、先延ばしにするという選択も、私たちのように突き進むという選択も、どちらも間違いではない…。大丈夫、大丈夫と心のなかで自分に言い聞かせました。
採血を済ませて、20分くらいすると診察室へ呼ばれました。この日の担当は女医のK先生。はじめての先生です。マスクをかけて、フェイスシールドもつけている…!
医師「こんにちは。クロサワさんは、体外受精にステップアップされるんですね。前回の診察からちょっと間が空いていますけれど、体調はどうですか?」
私「はい、いつも通りです。生理も予定通りにきていて…。本当は年明けの不妊カウンセリングを受けたあとすぐにはじめたかったのですが、新型コロナが心配で…。体外受精の治療の最中に、新型コロナで予定が狂ったりする可能性ってありますか?」
医師「そうだよね~、心配だよね~。でもうちの病院は医師もスタッフの人数も多いし、みんな感染対策をとりながら診察しています。病院のなかでクラスターがどんどん発生しちゃったら診療を止めるっていうこともあるかもしれないけれど、その可能性は本当に低いですから大丈夫ですよ。それではエコーしてみましょうか?」
大きい病院は、診察のたびに医師がコロコロ変わるから人見知りな私は不安に感じることもありましたが、ちゃんとカルテも共有されているし、何かあった時のバックアップ体制が整っているというのは、安心感があるなと思いました。
わからないことだらけの卵巣刺激、気になること全部聞いてみる
出血真っただ中のD3。この状況のエコーって、すごく気持ちが悪いけどガマン。超音波検査での子宮内や卵巣の様子、採血のホルモン値の結果も大きな問題はなかったようで、予定通り体外受精のステップへ進めることになりました。
医師「クロサワさんは不妊カウンセリングも受けられているんですね。採卵するときの卵巣刺激の方法はどうされますか?」
たぶん、以前の私だったら、低刺激、それも人工授精のときのような完全自然周期を希望していたと思います。しかし、不妊カウンセリングを受けて、体外受精は一度の採卵でなるべく質のいい卵子を多く採り、移植に専念することで妊娠確率を上げたいという気持ちが強くなっていました。
以前、病院選びのテーマでもお話しましたが、この卵巣刺激方法は病院ごとに得意、不得意が顕著で、使う薬や費用にも大きな差がでやすい部分なので、事前に夫婦でよく話し合っておくといいと思います。
私は卵巣の刺激や体外受精について、気になっていたことをK先生に聞いてみました。
私「卵巣刺激の方法によって、とれる卵の質って変わるんですか?」
医師「刺激方法の違いによる妊娠成績の差は否定される意見もあるんですが、誘発剤を使ったほうが一度にたくさんの卵がとれるので、いい卵子を選べる可能性は高まるので有利だと思います」
私「たくさん卵子をとってしまって、そのあとに卵巣の機能が悪くなることってありますか? 以前通っていた別の病院で私のAMHは40代くらいのスコアって聞いたんですが…。残り少ない卵子をいっきにとってしまうことで、数が急激に減っちゃったりしないかも心配で…」
K先生は「う~んっと、AMHは1.77かぁ~」と私のカルテを見ながら丁寧に教えてくれました。
医師「AMHはクロサワさんの年齢にしては確かに低いけれど、気にするような数字ではありません。それに今までの検査結果を総合してみると、子宮にも卵巣にも問題は見当たりません。
採卵する卵子は、本来、排卵する運命になかったものをとるので、卵子の残存数が少なくなる心配もいらないですし、原子卵胞の減少速度も変わらないです。よく閉経が早まるんじゃないか? って心配される人もいらっしゃいますが、それも大丈夫です。
はじめてだから、いろいろ不安ですよね。刺激方法はいろんなやり方があるので、クロサワさんの生活にあわせてご相談にのりますよ。通院もご主人と一緒にいらっしゃるようですから、なるべく小まめにきていただいてもいいです」
ほかにもK先生は、卵の元になる“原始卵胞”とはお母さんのおなかのなかにいる胎児時代に生産されていて、生まれた瞬間がピークであること、年齢とともに減少していくこと、月経周期に複数の卵胞が両方の卵巣で育つけれど、排卵されるのは1個であることなど、基礎的なことも図を見ながら改めて解説してくださいました。
次回は私が実際に子どもを産んで育てるにあたって、心配だったことを聞いたお話をお届けします。
これまでの記事▶︎不妊治療体験レポ
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クロサワキコ
34歳・主婦ライター。妊活歴3年目。男性不妊の治療や人工授精に体外受精、ステップアップを重ねていくなかで感じた不妊治療のリアルな本音を発信しています。