夫の精液検査結果に大きなばらつきが。安定して好成績を出すには?【30代からの不妊治療】
妊活を始めて3年。現在34歳の私の体験から、妊娠を考えているカップルにとって少しでも役に立つような情報をレポート形式でお届けします。
前回は、夫に不妊治療への不安な気持ちを打ち明けたお話をお届けしました。今回は、二度目のフーナーテストに臨んだ話。
不妊治療を夫婦2人の問題とする私たちだからこそ
ステップアップに不安を抱える私と、躊躇なく精索静脈瘤の手術を受けた夫。
不妊治療を始めて通っていたレディースクリニックから総合病院へ転院してからは、私の診察も夫の診察のときも、なるべく2人で説明を聞くことにしました。休みやフレックスで調整するとはいえ、働きながら時間を作るのは2倍の大変さがありましたが、ひとつずつわからないことを2人で確認しあいたい、原因をつぶしていきたいという想いが強かったからです。
精索静脈瘤の手術から2ヶ月。目に見えた数値の改善はないけれど…
夫は術後も、精液検査を複数回受けました。その結果、禁欲期間を1日、3日~5日、7日と変えた結果、成績にかなりばらつきがあることが判明。
3~5日のときは、WHOの基準値とほぼ同等レベルなのですが、7日以上貯めてしまったときは、運動率も数も、基準を大きく下回ってしまっていたのです。逆に禁欲期間1日だけのときは高確率で良い成績がでる体質であることがわかりました。
男性不妊の専門医であるI先生からは「今のところ、手術の前後ではまだ大きな変化は見られません。しかし、DNAの損傷は我々の目には見えないし、数値にもでない。少しずつ良くなるはずだから、タイミングをしっかりとり続けていきましょう。次回、フーナーテストするならば、精子がもっとも調子がイイ禁欲期間1日で受けてみてください」とアドバイスをされていました。
夫「全死滅って言われた時のフーナーテスト、禁欲期間、どのくらいだったっけ?」
私「半年も前だから、忘れちゃったね。あの時は急に検査って言われて、“排卵直前”とか“検査前12時間以内にタイミングをとって”とか、私への指導ばかりだったから、禁欲期間の話をされてもいなかったし、気にしてすらいなかったよね」
夫「今回はきっと大丈夫だよ。この病院でフーナーテストを受け直そう」
という運びで、2019年の年明け、さっそく私の排卵日直前を狙って、夫の禁欲期間を1日で調整し、2度目のフーナーテストを受けることになりました。
万全のタイミングで挑んだ二度目のフーナーテストの結果は?
この日も相変わらず大混雑の待合室。規模が大きい総合病院のリプロダクションセンターでの診察は、当日、自分の番号を呼ばれるまで、どの医師に当たるかわかりません。ドキドキしながら待つこと2時間。
私の順番がきて、診察室へ。入口にある医師の名前をみて私は硬直しました。
私「…! 男性の先生だ」
いつかこういう日が来るとは思っていたけれど、ついに… という私の表情を見て、何か察した夫。
夫「大丈夫だよ、僕は女性の看護士さんに尻の毛を剃られているから!」
何が大丈夫なのかぜんぜんわからぬ謎の励まし。でも、急にあの入院時の出来事を思い出して笑ってしまいました。人間、笑うと元気が出てくるものです。
私「よし、フーナーテスト! がんばろ」
金属音が響く診察室。心配顔で見守る夫
この日、担当してくださることになったのは、男性医師のS先生。カチっとした髪型でメガネをかけていて、クールな印象でした。先生はPCで私の電子カルテをみながら質問しました。
S先生「今日はフーナーテストですね。半年前に別のクリニックで受けた結果が‥、あぁ、なるほど。タイミングとってから何時間くらい経過してますか?」
私「8時間くらいです」
S先生「うん、OKです。そしたら、さっそく検査しましょう」
先生が看護士さんに「準備して」と指示すると、診察室の中にある検査台がカーテンで隠されて、私はなかへ。腰のあたりもカーテンで仕切られていて、その向こう側で医師が検査をはじめました。
S先生「機械が入りますね。ちょっと我慢してくださいね。はい、いいですよ、終わりです」
手際よく作業を進めてくださって、あっという間におしまい。身支度を整えて、カーテンを開けると、夫が心配そうな顔をしていました。
夫「痛かった?」
フーナーテストは、金属のカチャカチャ擦れるような音がするので、夫はカーテン越しにかなり驚いた様子。
私「少し違和感はあるけれど、ぜんぜん痛くないよ。あっという間だし。ふぅ。それより結果…、どうかな。緊張するね」
夫「うん」
先生も看護師さんも奥へ行ってしまって、診察室には私と夫だけ。半年前の“全死滅”という経験もあったので、今回は万全を尽くしたとはいえ、またダメだとどうなるんだろう? という不安もあり、沈黙と緊張の時間が流れました。すると、遠くからコツコツコツコツ… と足早な革靴の音が…。
S先生「精子、動いています! 見ますか?」
夫「え? 見れるんですか?」
S先生「どうぞ、どうぞ。ちょっと散らかっていますけど」
診察室へ勢いよく戻ってくるなり、満面の笑顔と高めなテンションのS先生に連れられ、私たちも奥の部屋へ。
次回は実際に動いている精子を見たお話と、夫婦のちょっとした面白い体験のお話をお届けします。
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クロサワキコ
34歳・主婦ライター。妊活歴3年目。男性不妊の治療や人工授精に体外受精、ステップアップを重ねていくなかで感じた不妊治療のリアルな本音を発信しています。