不妊治療、妊活… パートナーとの関係性やメンタルとの付き合い方は?
将来、子供が欲しいと考えている人も、今まさにトライしている人も、知っておくと安心。働きながら妊娠を目指すと、仕事や生活にはどんな影響があるの? パートナーやメンタルとの上手な付き合い方を、専門家と経験者の皆さんから教えていただきます。
教えてくれたのは…

不妊治療の経験者

Q. 不妊治療は、何が大変?
読者アンケートでは… (複数回答)

結果が出ないまま治療が長期化することで蓄積するメンタルの疲れと、予定が立てづらい治療と仕事との両立が、2大悩み。人によっては「採卵後に吐き気がひどくて、何日も飲まず食わずだった」(35歳・マスコミ)といった体調不良が起こる場合も。
不妊治療経験者の声
「仕事が休みにくくて受診のタイミングを調整しにくい」(Dさん)
「夫との温度差」(Bさん)
「友人の妊娠・出産報告や同僚のママトークでメンタルがズタボロに」(Fさん)
Q. パートナーの妊活に対する姿勢は?
パートナーは、不妊治療経験者6人のうち2人が「とても協力的」、4人は「そこそこ協力的」と回答。
Bさん:最初は「すぐ妊娠するでしょ」と乗り気ではなかったけれど、男性の友人との食事会で同じ悩みを抱えている人が多いと知って、一緒に考えてくれるように。
Dさん:体の負担や仕事を中抜けする大変さをわかってくれず、腹が立ったことも。

Q. パートナーを上手に巻き込むには?
A. 情報を、妻が夫に「教える」のではなく最初から「ふたりで学ぶ」体制づくりを
西岡さん:パートナーに当事者意識を持ってもらうには、一緒に受診するのが手っ取り早い。そもそも保険診療では、初診に夫の同席が義務付けられています。
戸田さん:治療の機会が多い女性に情報が偏りがちですが、一方的に妻が「教えてあげる」、夫が「教えてもらう」関係が続くと、出産や育児でも男性は受け身の意識を引きずりがち。パートナーにも自分で調べてもらうなど、双方の知識レベルを合わせる働きかけを。

Q. 落ち込んだり焦ったりしてしまったら?
A. 自分なりのリフレッシュ方法を見つけておいて
戸田さん:まず、「努力が実らなくて落ち込むのは、心が健康に反応している証拠」と心に留めておくことが大切。そのうえで、落ち込んでいる最中に対処法を探すのは難しいもの。何をしたら元気になれるか、どう接してほしいか、ふだんから考えてパートナーにも伝えておくと安心。それでも難しければ、ぜひ心理師を頼って。不妊治療の初期段階で心理師のカウンセリングを受けたほうが累積妊娠率が高いというデータも近年出ています。
Q. 妊活でメンタルが落ちたときは、どうリカバリーしていますか?

夫からも言わせて! 不妊治療経験者・Dさんのパートナーを直撃!
当初から妊活に積極的な気持ちでしたか?
正直最初は「自然にできたら」と思っていましたが、妻の姿を見て「自分も向き合わなければ」と考えるように。
妻の様子を見てどう感じましたか?
日々の体調管理や通院、気持ちのアップダウンもある中、弱音もあまり吐かずがんばっていて、心から尊敬しました。一方で、「自分は何もできない」という無力感も。
妊活をして、心境に変化はありましたか?
妊活を一緒に乗り越えたからこそ、育児もお互いに支え合えると感じます。ライフプランも「こうでなきゃ」ではなく、「今の家族の形を大切にしよう」と柔軟になりました。

不妊治療経験者さんに聞く、妊活を通じて考えたこと
今まで気づかなかった人の気持ちを想像するように
「第一子の妊活中に流産して初めて、7人に1人は流産すると知りました。後に妊娠しても怖くて、出産2か月前まで友達に言えなかった。さまざまな思いを抱えた人がいると、気づきました。でもやっぱり子供はかわいい! 採卵の痛みも忘れて、第二子の妊活に励んでいます」(Aさん)
ひとり授かるまでに2年かかったことを考えると…?
「ライフプランの理想はあるけれど、思いどおりにはいかないと知って、計画を立てるのをやめました。妊活中に転職して、妊活と同じくらいトライしたかった新しい仕事にチャレンジできたのはよかった! ふたり目も欲しいけれど、長期戦を覚悟するのは憂鬱なのが本音です」(Bさん)
もっと早くステップアップしておけばよかったと後悔
「35歳で不妊治療を始め、タイミング法・人工授精に約1年費やしたのは、時間がもったいなかった。私の場合… ですが、第一子は顕微授精に踏み切ったらすぐに妊娠したので。治療も回数を重ねると、ある程度日程の予測がつくようになり、仕事との両立は無理ではなかったです」(Cさん)

順調に妊娠した第一子と違って第二子妊活中はごく早期の流産も
「高齢出産や、妊活せずに自然妊娠することなど、ほかの人がしていることは『自分にもできるよね~』と軽く考えていましたが、『人と自分は違う』という当たり前のことを嚙み締めました。3人兄弟を育てることへの憧れもありますが…どうなることやら」(Dさん)
妊活への行政のサポートが手薄なのはなぜ?
「保険診療は『思ったより安いかも?』という金額でしたが、直近の自費診療は採卵から胚移植までで、結局70万円以上かかりました。生活に困るほどではないけれど、貯蓄は減っているなぁ… と。保険適用期間や治療範囲の拡大など、もう少し手厚くなればいいな、と願っています」(Eさん)
情報の海に溺れないことが心の平穏には必要
「ちょっとしたすき間時間に、ついSNSやネットを見ていたのですが、情報がありすぎて、訳がわからなくなりかけました。妊活と不妊治療についての本を1冊ずつ買って『この本を参考にする!』と決めてからは多少落ち着くように。不用意に傷つくことも減りました」(Fさん)
2025年Oggi10月号「働きながらの妊活2025」より
イラスト/三平悠太 構成/酒井亜希子・渋谷遥夏(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp
Oggi編集部
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