よくある症状だからと言って、「何もしない」が一番危険です
生理痛がひどい、出血の量が多い…そんな悩みを抱えてはいらっしゃいませんか? もしかしたら「子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)」のサインかもしれません。今回は、なかなか気づけない婦人科系の病気第1弾「子宮筋腫」をお送りします。
■「子宮筋腫」は女性の4人に1人がかかる病気
子宮筋腫は、子宮の中にこぶのようなかたまりができる病気です。実はこの病気、30〜40代の女性の4人に1人がなるといわれています。
筋腫は良性のため、すぐに命の危険が迫るわけではありません。しかし、状態によっては手術をしなければいけなかったり、妊娠を妨げる原因となることもありますので、定期的に経過を確認することが重要です。
■その悩み、子宮筋腫のサインかも…!? 生理の状態をチェック!
次のようなお悩み、症状のある方は、子宮筋腫のサインかもしれません。
《症状チェック》
・生理の血の量が多くなった
・生理痛がひどい
・血のかたまりができた
筋腫が大きくなると、腸などの周りの器官が圧迫され、便秘や腰痛といった症状も発生することがあります。このような症状は主に子宮の内側に筋腫ができた場合に出やすいものです。
一方、子宮の外側をはじめ、筋腫ができる場所によっては、自覚症状がなかなか現れない場合もあります。体調に変化が無くても子宮筋腫の可能性があることを覚えておいてくださいね。
■妊活から出産にも影響あり!
子宮は受精卵が着床、成長し、育っていく大切な場所。そんな妊娠の要となる場所で発生する子宮筋腫は、妊娠しにくくなる原因になることがあります。これは、子宮の中にこぶができると、受精卵が子宮に着床するのを妨げてしまうから。妊活をしているのになかなか授からない、という方は一度子宮筋腫があるか検査してみることをお勧めします。
また、無事受精卵が着床しても、筋腫の大きさや場所によっては、流産や早産を引き起こす可能性も。そのため、子宮筋腫がある方は、妊娠から出産まで赤ちゃんの様子とともに、子宮筋腫の状態もしっかりと確認することが大切です。
■検査方法と治療法もチェック!
子宮筋腫の検査方法ですが、内診や超音波検査で子宮の状況を確認することで、筋腫の位置や数を把握します。子宮筋腫が見つかった場合、検査結果とご本人の意向をもとに、治療方針を決めていきます。筋腫はがんとは違い、良性ですので、命の危険が出ることはほとんどありません。そのため、筋腫が発見されてもすぐに治療、ということではありません。
しかし、よくある症状だから、といった我慢も禁物です。つらい症状を耐えた結果、長期の治療が必要になったり、日常生活に支障が出たり、といったケースも少なくないのです。担当医としっかりと相談を重ね、あなたの症状に合ったベストな選択を心がけましょう。
■手術の方法も様々。症状とあなたの未来のための選択を
あまりにも症状がひどかったり、妊活において影響がある場合には、手術による治療が検討されます。子宮筋腫の手術の方法は1つではありません。
まず多く用いられているのは、子宮を全て摘出する「子宮全摘手術」です。ほかにも、筋腫のみを切除するには、「子宮筋腫核出術」や「子宮鏡下手術」といった方法があります。筋腫の場所や子宮の状態によって、どの手段が適切かを判断します。あなたのための選択ができるよう、検査結果をもとに担当医とよく話し合うようにしてくださいね。
子宮は、将来赤ちゃんが育ってゆく大切な場所です。子宮の健康を保てるよう、筋腫の状態を正確に把握し、あなたの生活や将来に合った対応を選択していきましょう。
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医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。
東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。
監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。