「嫌なことを忘れる」ことってできるの?
嫌なことほど、なかなか忘れられない…。そんな経験はありませんか? 良いことだけをずっと覚えていられればいいけれど、人間の脳は不思議と、嫌なことを強く記憶してしまうことがあるよう。
恥ずかしい思いをしたり、ショッキングな出来事があると、なかなかその記憶が消せず、何かの拍子に思い出すたびに落ち込んだりしてしまうことも。場合によっては、どんなに小さい時の記憶でも、大人になってもトラウマとしてずっと残ってしまう…なんて人もいます。
良いことだけを記憶し、嫌なことはすぐに忘れて気持ちよく過ごす方法があれば、ぜひ知りたいですよね。本記事では、「嫌なことを忘れる」ためのメカニズムや、起こしたら嫌なことから離れられるかもしれないアクションについて、解説していきます。
脳が「忘れる」メカニズムは?
人の記憶や忘却に大きな役割を担っているのが、脳の中にある「海馬」。「海馬」とは、簡単に言うと、「記憶の整理をする」場所のことです。
人は、毎日膨大な量の情報を意識せずに処理しています。それをすべて記憶していては、いつかパンクしてしまいますが、そこで「海馬」が、必要な情報と不必要な情報を整理して記憶するように働きかけるのです。
つまり、海馬によって記憶が整理され、そこで不必要と判断された情報は、忘れるように指示が出され、人の記憶から取り除かれるのです。このような脳の仕組みだけでいうと、嫌なことを「海馬」に不必要と判断させられれば、忘れられるというメカニズムになります。
「嫌なことを忘れる」ための方法は?
とはいっても、見ることも、感じることもできない「海馬」に「嫌なことを忘れる」よう指示を出すことは、私たちが、どんなに強く念じてもできないこと。では、私たちはどのような行動をとれば、嫌なことを思い出さないようになれるのでしょうか? その方法について見ていきましょう。
仕事や好きなことに没頭する
嫌なことをどうしても思い出してしまうときは、思い出す暇を作らないように、仕事や趣味などに没頭するといいでしょう。あえて忙しくしたり、推し活に専念することで、辛い記憶がリフレインする時間を作らないようにする。人の記憶は時間がたてば段々と薄れてくるので、後からでてきた経験や感情で上書きするつもりで、熱中できることに入り込んでいきましょう。
体を動かす
運動はストレスを軽減させるのにとても適しています。ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動は、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンを分泌し、ストレスの原因である嫌なことを忘れる効果が期待できます。また、体を動かすことでリラックス効果も生まれ、沈んだ気持ちを明るくさせてくれるハズです。
紙に書く
嫌なことをなかなか忘れられないときは、一度吐き出してしまうことも忘れる方法の一つです。辛い出来事や恥ずかしい失敗など、できれば人に知られたくないと思いますが、ずっと抱え込んだままでは、脳に強く記憶され、ますます引きずってしまいます。
嫌な記憶を紙に書き出し、それを破って捨てるなど、目に見える形で消すことで、どこかスッキリした気持ちになれるかもしれません。家族や友達に話してみるということも、「嫌なことを忘れる」きっかけになるかもしれませんので、試してみてください。
▼あわせて読みたい
「嫌なことを忘れられない」場合の対処法は?
上記の方法を試してみても、状況によってはどうしても忘れられない嫌な思い出はあると思います。そういった方は、次の方法を試してみるのもいいかもしれません。
環境を変えてみる
仕事やプライベートでこじれてしまった人間関係は、なかなか修復しづらく、逃れにくいのが現実問題。自分の目に見える範囲に嫌な人がいると、その人に関わる嫌な記憶は、なかなか消すことができませんよね。
それを解消するためには、その人がいない環境に身をおくことが一番効果的な方法です。引っ越し、異動、今まで所属していたサークルやクラブ・共同体から別の団体に移るetc.。環境を変えることは、そう簡単にできる事ではないかもしれませんが、この先ずっと嫌なことから抜け出せないようであれば、タイミングとチャンス次第で、環境を変えることも視野に入れてみるといいかもしれません。
新しい出会いを探す
大好きな人に振られて、傷ついた記憶をなかなか忘れられない人は、新しい出会いを得るためにも、新しい人とであるきっかけやチャンスがあれば、それをつかむようにしていきましょう。どんなに楽しい思い出もすべては過去のもの。思い出を大切にすることは、決して悪いことではありませんが、いつまでも引きずっていては前には進めませんよね。
友達に誰かを紹介してもらう以上に、マッチングアプリでの出会いが増えている現状もあります。一歩踏み出して、過去の恋愛を新しい恋愛で上書きすることで、嫌なことを抱えた状態から離れていきましょう。
ポジティブ思考になる
嫌なことばかりを考えていると、ネガティブな感情にだんだんと支配され、自己肯定感も下がってしまいますよね。嫌なことがあっても「次は失敗しないようにしよう」「次はここを気を付けよう」「何とかなる!」など、ポジティブ思考を意識することで、そもそも嫌なことを引きずらない強いメンタルを身につけることができます。
日頃から明るく前向きな気持ちを意識して生活するといいですね。
最後に
人間の脳はとても複雑にできており、不思議なことに嫌な記憶や、なぜ憶えているのかわからないシーンが強く残ってしまったりするもの。嫌なことを完全に消し去ることは難しいかもしれませんが、ここまでにご紹介した方法の何かが「ちょっと試してみよう」になれば、こんなに嬉しいことはありません。
誰もが辛いこと、嫌なことを忘れられない経験があるかと思いますが、ネガティブな感情に支配されてしまうと、余計に辛い気持ちに追い込まれてしまいます。ポジティブ思考を意識して生活すると、嫌なことを引きずらない精神力を鍛えることができますので、おすすめです。
TOP画像/(c)Shutterstock.com