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2024.11.20

心象風景の意味とは? どういうシーンで使う? 例文や類義語・対義語を紹介

心象風景とは、自分の体験や感情などによって生み出される、想像上の風景を指します。本記事では、心象風景の意味や使い方・例文を紹介。心象風景の言い換えや対義語も解説しますので、参考にしてください。

心象風景とは?

心象風景(しんしょうふうけい)とは、心の中に描き出された風景や、心に浮かんだ映像、イメージなどを指す言葉です。

ここでは、心象風景の意味や、ほかの言葉との違いについて解説します。

心の中に思い描いた景色のこと

心象風景とは、心の中で思い描いた景色やイメージのことです。現実ではない、心の中に浮かんだ架空の風景を指しています。

絵画や小説など、心象風景をもとに描かれた作品は数多く存在するといえます。作者の内面にある風景が投影された作品は、作者ごとの想像力やイメージの豊かさなどに大きく左右され、作品の完成度に影響を与えるでしょう。

心象風景という言葉をビジネスシーンで使う場合は、その人の内面を読み解くという意味で使われることが多い傾向がみられます。

しんしょう‐ふうけい
心の中に描き出された風景。また、心に浮かんだ像や思考など。「作者の—を表した絵画」

出典:小学館 デジタル大辞泉

心象と「心証」「心像」との違い

「心象風景」の「心象」とは、心に浮かぶ姿や、描き出される形という意味の言葉です。同じ読み方をする「心証」や、漢字が似ている「心像」とは意味が異なるため、書き間違いに注意しましょう。

「心証」とは、その人から受ける印象やイメージを指します。訴訟の場面で使われる言葉でもあり、裁判官が事実認定に関する判断をするときに抱く主観的な認識や確信のことです。「裁判官の心証をよくする」という使い方をします。

しん‐しょう
1 心に受ける印象。人から受ける感じ。「—をよくする」
2 訴訟上の要証事実に対して形成される裁判官の主観的な認識や確信。

出典:小学館 デジタル大辞泉

「心像」とは、「しんぞう」と読みます。過去の経験や記憶などから、心に浮かんだ具体的なイメージを意味する言葉です。「視覚心像」や「聴覚心像」など、すべての感覚に対応した心像があります。

しん‐ぞう
《image》過去の経験や記憶などから、具体的に心の中に思い浮かべたもの。視覚心像・聴覚心像・嗅覚心像など、すべての感覚に対応した心像がある。表象。心象。イメージ。

出典:小学館 デジタル大辞泉
(c)Adobe Stock

心象風景の使い方・例文

心象風景を使った例文をみて、使い方を確認しましょう。

・彼が提出したアイデアはどれも、彼の心象風景がよく表れている内容だ

・社長が打ち出した大規模なプロジェクトは、長年の夢や理想をかなえるもので、まるで心象風景が具体化されているようだ

・その小説はあまりにも詳細で現実に起きたことのように感じるが、実は彼の心象風景を描写したものだといわれている

・その画家は長い年月をかけ、自らの心象風景を描いた作品を完成させた

・絵画や小説は現実にあるものをそのまま描いているようにみえても、実際には心に浮かんだものを投影していることが多く、心象風景が描かれた作品とみてとれる

心象風景の類義語

心象風景には、次のような類語があります。

・イメージ
・原風景(げんふうけい)

どちらも、人の心の中に描かれた内容を指す言葉です。詳しくみていきましょう。

朝日のイメージイラスト
(c)AdobeStock

イメージ

イメージとは、心に思い浮かべる像や景色、ある物事について抱く全体的な感じを指す言葉です。また「イメージする」など、心の中に思い描くことを指して使うこともあります。

英語の「image」はおもに画像や心象を意味しますが、日本語の「イメージ」は非常に多義的に使われているのが特徴といえるでしょう。

たとえば「会議の進め方はこういうイメージです」「計画の策定について私のイメージをお伝えします」というように、「流れ」や「考え方」という意味で使う場合もあります。

その中で、心象風景というニュアンスでイメージという言葉を使う場合も少なくありません。

〈例文〉
・彼の作品は、当時の苦しかったときのイメージがそのまま投影されているのがよくわかる

・心に浮かんだイメージをそのまま文章にするのは、なかなか難しい

原風景

原風景とは、原体験におけるイメージで、風景の形をしているものです。人の心の奥にある原初の風景であり、実際の風景ではない心象風景の場合もあれば、暮らしていた場所や記憶に残る実在の風景の場合もあります。

原風景の内容は人それぞれに異なり、美化されている場合や、マイナスの記憶となって残っていることもあるでしょう。原風景は、個人の考え方や感じ方に大きな影響を及ぼしている場合も少なくありません。

〈例文〉
・彼の原風景はのどかな田舎の一軒家で、いつかはまたのんびりとした暮らしに戻りたいと考えている

・数十年ぶりに故郷に帰った彼女は、原風景を辿りながら、失われた月日について思いを馳せていた。

心象風景の対義語

心象風景には、次のような対義語があります。

・現実(げんじつ)
・実態(じったい)

心の中に描いた景色である心象風景に対し、どちらも目の前に存在するものを表す言葉であり、反対の意味になる言葉です。

詳しくみていきましょう。

海の前で手を広げている人のイラスト

現実

現実とは、いま目の前に事実として現れている事柄や状態のことです。心で思い浮かべるものでなく、実際に存在しているものを指します。誰もが共通して認識する対象であり、人の内面で描かれる心象風景とは対極にある言葉です。

〈例文〉
・夢ばかりみていないで、そろそろ現実を直視して具体的な将来のことを考えた方がいい

・現実として目にみえるもには魅力がなく、彼は内面の世界に逃避してしまった

実態

実態とは、実際の状況を指す言葉です。事柄の本当の状態や様子を表します。表面的には見えにくい事柄の内部を表現する場合にも使われます。

たとえば、世間に知られていない企業の内部事情を探る場合「その実態を明らかにする」という表現をします。

実際にはないものである心象風景とは、反対の意味になる言葉といえるでしょう。

〈例文〉
・事件から1週間が経ち、少しずつ実態が明るみになってきた

・新しくできた会社はまだ実態がわからず、すぐには取引をせずにしばらく事業の様子をみることにしている

心象風景の意味を正しく理解しよう

心象風景とは、心の中に描いた架空の景色であり、これまでの体験やさまざまな感情、想像などから生み出されます。心象風景が描かれた芸術作品は多く、作品を通して作者の内面をみてとれるともいえます。

心象風景の類似表現は「イメージ」や「原風景」であり、反対の意味になるのが「現実」や「実態」です。一緒に覚えておけば、心象風景のニュアンスをよくつかめるでしょう。心象風景の意味を理解し、正しく使用してください。

メイン・アイキャッチ画像:(c)Adobe Stock

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