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出先から帰る際に「帰路につく」と言いますが、「本来どんな状況で使う言葉なのか?」「使い方はあってる?」と、ふと疑問に思うことはありませんか? そこで本記事は、ビジネスシーンで正しく使うために、意味や使い方などを紹介します。
「帰路につく」の意味・漢字表記・敬語とは?
「帰路につく」の意味や、正しい漢字表記はご存知でしょうか? また、目上の方に対して使うことのできる言葉なのか気になるところですよね。まずは、意味や漢字表記、敬語表現についてみていきましょう。
「帰路につく」の意味
「帰路」とは、「帰る道」「かえりみち」のこと。「つく」は「おもむく」「動作を始める」という意味の言葉。よって、「帰路につく」とは「帰り道につく、帰りはじめる、帰っている途中」というニュアンスで使われる言葉になります。
き‐ろ【帰路】
出典:小学館 デジタル大辞泉
帰り道。帰途。「—につく」
「帰路」と「帰途」の違いは?
「帰路」と同じような言葉に、「帰途」があります。「帰途」も、「帰り道」または「帰る途中」という意味。「帰路」と同じ意味の言葉になり、両方とも「~につく」と表現されます。
しかし、「帰途」は、一般的に「帰途につく」以外で使われることはありません。一方で、「帰路」は「帰路を急ぐ」や「帰路の途中」などと表現することができます。同じ意味の言葉でも、「帰路」の方が表現方法が豊富であるといえるでしょう。
対義語は?
「帰り道」を意味する「帰路につく」の対照的な表現は、「往路」。「往」は「ゆく・いく・すすむ」という意味。「路」とは「みち・人や車が行き来するみち」のことをいいます。よって「往路」とは「行く道」を意味する言葉です。
「帰路に着く」と書くのは間違い?
「帰路につく」の「つく」を漢字にすると、「帰路に就く」が正しい表記。「就く」の意味は、「ある場所に身を置く」という意味です。誤りやすい例として挙げられるのが、「帰路に着く」。同じ「つく」と読みますが、「着く」は「目的地に到着する」という意味。「帰路」は「帰る途中」というニュアンスの言葉なので、「着く」とすると矛盾が生まれ、おかしな意味合いになりますね。
「帰路につく」の敬語とは?
「帰路につく」自体は敬語表現ではありません。まず、「帰路につく」を敬語にして使うシーンは、おもに2つに分けられます。1つ目は、目上の方に「自分が帰路につく」ということを伝える場合。この場合は、「帰路につきます」というように、「です」や「ます」といった丁寧語をつけて表現します。
2つ目は、目上の方が「帰路につく」ことをいう場合。この場合は「つく」の尊敬語、「つかれる」を用いて「帰路につかれる」と表現します。
「帰路につく」の使い方を例文でチェック
「帰路につく」は、少し改まった言い回しの言葉。日常会話で使われることはあまりないかもしれません。おもに、メールや手紙などの文章の書き言葉として使われる傾向がみられます。ではどうやって使うのか、例文でチェックしていきましょう。
「只今、打ち合わせが終わりました。今から帰路につきます」
「社外での打ち合わせが終わり、今から帰ります」という報告をする際に使う言い回しです。この場合、「会社へ帰る途中」「家へ帰る途中」どちらの意味でも使えます。「帰路」は必ずしも「家へ帰る途中」のことを指すのではありません。「会社」や「元々いた場所」に帰る途中であることも表します。
「社長は予定通りの飛行機で、無事帰路につかれました」
この場合、「社長が予定通り飛行機で帰り道についた」という意味に。先程も述べたように、「つく」を「つかれました(尊敬語)」とすることで、目上の方にも使えます。また、「帰路」は飛行機など、帰る手段を問わず使うことができます。
「本日はお忙しい中ありがとうございました。無事に、帰路につきましたことをご報告申し上げます」
その日お世話になった上司や取引先の相手に、御礼の言葉に添えて「無事に帰りはじめました」ということを伝えるときのフレーズです。「ご報告申し上げます」や「ご連絡申し上げます」という言葉を添えると、より丁寧な印象になるでしょう。
また、「帰路につく」や「帰路」を使うにあたって、二重表現に注意してください。誤りやすい例をあげると、「帰りの帰路につく」や「帰路を帰る」。「帰り道」を意味する「帰路」と「帰る」の意味が重なっているため、誤用となります。
「帰路につく」の類語・言い換え表現にはどのようなものがある?
次に、類語や言い換え表現を紹介します。少しずつ意味やニュアンスが異なるので、状況に合わせて使い分けてみてください。
家路につく
「家路(いえじ)」とは、「わが家へ帰る道」「その家の方へ行く道」(小学館『デジタル大辞泉』より)。「家路につく」は、「家への帰り道の途中にいる」というニュアンスの言葉です。よって「帰路につく」と同じく、漢字では「家路に就く」と表記します。また、「家路につく」は帰る場所が家に限定された表現です。
(例)先程、社に戻りました。今から家路につきます
帰宅する
「帰宅」は「自分の家に帰ること」を意味しています。「行い」や「行動」という意味の「する」がつき、「自分の家に帰る行動」というニュアンスの言葉。こちらも帰る先が「自宅」を指します。
(例)部長は、先ほど帰宅されました
復路
「復」には「かえる」や「ひきかえす」という意味があり、「復路」とは「かえる道」のこと。「行き」と「帰り」がある場合に使われる表現です。
(例)往路は飛行機、復路は列車の予定でいます
英語表現とは?
「帰路につく」を英語で伝えたい場合、どのように表現することができるのか紹介します。
「~に向かっている途中」という意味の「on one’s way to ~」を使ってみてはいかがでしょうか。
・I am on my way home.(私は帰路につきます)
・We are on our way to the office.(私たちは帰路につきます)
最後に
帰る途中にいることを表す「帰路につく」という言葉を紹介しました。「帰路につく」は、家だけでなく、会社などの職場に帰ることも表現できます。また、丁寧な言い回しなので、どなたに対しても使うことができるということがわかりました。ビジネスシーンにおいて、帰ることを報告する機会は想像以上に多いもの。時折、「帰路につく」を使って丁寧に表現してみるのもよいでしょう。
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