「許す」「赦す」とは? 言葉の基礎知識をまとめて解説
「許す」「赦す」は、似たような意味で用いられることのある言葉で、どちらも同じ読み方をします。
はじめに、言葉の読み方や許す/赦す/恕す/聴すの意味と違いといった基礎知識を確認していきましょう。
許す/赦すの読み方
許す/赦すの読み方は、どちらも「ゆるす」です。赦すのほうは「しゃす」と読んでしまいそうですが、間違えてしまわないように気をつけましょう。
また「聴す」も許す/赦すと同じ読み方をし、「恕す」も訓読みでは「ゆるす」と読みます。場合によっては、「恕」を音読みにした「じょす」と読む場合も。
許す/赦す/恕す/聴すの意味と違い
このように「ゆるす」に関連する漢字表記は許す/赦す/恕す/聴すと複数あります。ただし、それぞれの意味や背景には違いもあるため、どの漢字で表記するかを選択する際は注意したいもの。また、異なる漢字表記であっても、同じような意味の言葉として用いられる場合もあります。
それでは、許す/赦す/恕す/聴すのそれぞれの意味と違いを確認していきましょう。
許すとは
許すには特に多くの意味があり、それらの中にはほかの漢字でも同様に表記可能なケースもあります。許すの意味は「希望や要求などを聞き入れる」「過失や失敗などを責めないでおく」「義務や負担などを引き受けなくて済むようにする」「相手がしたいようにさせる」「ある物事を可能にする」などです。さらに「警戒や緊張状態などをゆるめる」「高い評価を与える」「引き張ったものをゆるめる」「捕らえたものを逃がす」という意味もあり、幅広い事柄を表現できるのが特徴です。
許すの語源は、「緩(ゆる)」「緩(ゆる)い」と同じだとされています。可能であることを示す場合には「許せる」と表現します。よくある表現は「気を許す」「心を許す」「肌を許す」「外出が許される」などです。
ゆる・す【許す】
出典:小学館 デジタル大辞泉
[動サ五(四)]《「緩」「緩い」と同語源》
1 (「聴す」とも書く)不都合なことがないとして、そうすることを認める。希望や要求などを聞き入れる。「外出が―・される」「営業を―・す」
2 (「赦す」とも書く)過失や失敗などを責めないでおく。とがめないことにする。「あやまちを―・す」
3 (「赦す」とも書く)義務や負担などを引き受けなくて済むようにする。免除する。「税を―・す」「兵役を―・す」
4 相手がしたいようにさせる。まかせる。「追加点を―・す」「わがままを―・す」「肌を―・す」
5 そうするだけの自由を認める。ある物事を可能にする。「楽観は―・されない」「時間が―・せば」「事情の―・すかぎり」
6 警戒や緊張状態などをゆるめる。うちとける。「気を―・す」「心を―・した友」
7 高い評価を与える。世間が認める。「自他ともに―・すその道の大家」
8 引き張ったものをゆるめる。
「猫の綱―・しつれば」〈源・若菜上〉
9 捕らえたものを逃がす。
「つととらへて、さらに―・し聞こえず」〈源・紅葉賀〉
[可能]ゆるせる

赦すとは
赦すは一般的に、「過去の罪や過失などをとがめない」「禁を解く」「刑罰を免除する」といった意味で使用されます。つまり、過去の失敗を責めないことにする、または義務や負担を免除するという意味は、許す/赦すのどちらにもあります。そのため、これらの意味で用いたい場面であれば、許す/赦すのどちらの漢字表記を使っても基本的には問題ありません。
ただし、どちらかといえば許すは「なにかをすることを認める」、赦すは「過去の罪や責任をとがめない、免除する」というニュアンスがあるといえます。「赦す」と漢字表記する場合には、哲学的な心の動きをともなうような「ゆるし」をイメージするとよいかもしれません。
赦すと同じ漢字を使う表現には「天赦日」があります。これは「天があらゆる人のおこないを赦す日」「恩恵を授ける日」のことです。
しゃ【赦】[漢字項目]
出典:小学館 デジタル大辞泉
[常用漢字] [音]シャ(呉)(漢) [訓]ゆるす
罪をゆるす。「赦免/恩赦・大赦・特赦・容赦」
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恕すとは
恕すと漢字表記する場合は「思いやりの心を持って罪や過ちをゆるすこと」という意味が。「恕」という漢字自体に、「相手を思いやって許す」「思いやり」「同情」「他人の立場や心情を察すること」などの意味があります。また「恕する」と表現する場合も。
「恕」の漢字を「相手を思いやって許す」という意味で用いた関連表現は「寛恕」「宥恕(ゆうじょ)」「諒恕(りょうじょ)」などです。また「思いやり」「同情」という意味で「恕」を用いた表現には、「仁恕」「忠恕」があります。
じょ【恕】[漢字項目]
出典:小学館 デジタル大辞泉
[人名用漢字] [音]ジョ(慣) [訓]ゆるす
1 相手を思いやって許す。「寛恕・宥恕・諒恕」
2 思いやり。同情。「仁恕・忠恕」
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聴すとは
聴すとは「不都合なことがないとして、そうすることを認める」「希望や要求などを聞き入れる」ことなどを意味する言葉です。同様の意味で、許すと表現する場合もあります。たとえば「外出がゆるされる」や「営業をゆるす」と伝えたい場合には、許す/聴すのどちらの表記でも使用可能といえるでしょう。
ちょう【聴〔聽〕】[漢字項目]
出典:小学館 デジタル大辞泉
[常用漢字] [音]チョウ(チャウ)(呉) [訓]きく ゆるす
1 耳をすまして聞く。聞き取る。「聴覚・聴講・聴取・聴衆/謹聴・傾聴・視聴・静聴・盗聴・難聴・傍聴・来聴・公聴会」
2 聞き入れる。ゆるす。「聴許・聴納」

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許す/赦すの使い方・例文
それでは、許す/赦すの使い方を例文で簡単に確認していきましょう。
許すを使った例文
・時間が許せば、このままずっと研究だけをやり続けていきたい
・彼女のわがままを許すのは、これで最後だ
・取引先の営業担当者は話しやすい人だ。でも、自分の利益になることには貪欲なため、気を許すことはできない
・今の職場の同僚は心を許せる人ばかりで、とても居心地がいい
赦すを使った例文
・他人のあやまちを赦すことは難しい
・彼のおこないを赦したくはないけれど、このままずっとモヤモヤしているのも嫌だ
・彼女は生活が苦しいため、今年の税金の支払いを赦されたようだ
許す/赦すを理解しよう!
許すと赦すは、同じ意味で使われることもありますが、それぞれ異なる意味合いも持つ言葉です。この記事を参考に、許す/赦す/恕す/聴すそれぞれの漢字表記による違いを理解したうえで、正しく使い分けるようにしましょう。
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