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ことわざ「掌中の珠」の意味と由来
「掌中の珠(しょうちゅうのたま)」とは、もっとも大切にしているもののことです。
「掌中」は、てのひらの中を表します。「珠」とは、丸く美しいもののことです。ただ丸いものを指す「球」と異なり、真珠のような丸く美しい宝石などを意味します。
由来は、中国三国時代の文人・傳玄が詠んだ詩の一節にあります。
『昔君視我、如掌中珠』(昔君我を視ること、掌中の珠の如し)
現代社会において「掌中の珠」は、愛する子どもを指す言葉として用いるのが一般的といえるでしょう。
掌中の珠
出典:小学館 デジタル大辞泉
手の中の珠。最も大切にしているもの。特に、最愛の子。「娘を掌中の珠といつくしみ育てる」
「掌中の珠」の使い方と例文
「掌中の珠」は、手の中の美しい宝石のように、大切にしている人やものをたとえる際に使われます。子どものほか、以下のように愛するパートナーなども指す言葉です。
・一人娘の自分は、掌中の珠のように大事に育てられた自覚がある
・自分にとって、愛する彼女は掌中の珠といえる存在です
・長年憧れだったクラシックカーを、ついに手に入れた。車好きの自分にとっては、まさに掌中の珠のような存在になるだろう
・愛猫が愛しすぎて、まるで掌中の珠のようです
「掌中の珠とする」の類語や言い換え表現
「掌中の珠」のように何かを大切に思う様子は「首ったけになる」、「溺愛する」などと表現できます。
シーンに応じた使い分けができるよう、ここでは細かなニュアンスの違いなどを確認していきましょう。

「首ったけになる」
「首ったけになる」とは、1つの思いに深くとらわれることです。「首ったけ」は漢字で「首っ丈」と書きます。首の丈まで、何かに深くはまりこむ様子に由来する言葉です。
「掌中の珠」が愛する子どもやパートナーを指すのに対し、「首ったけになる」は、誰かに強く心惹かれた様子を表します。
「本当に好きでどうしようもない」「夢中になっている」という気持ちを端的に表現できるフレーズです。
・話題のドラマを見て以来、主演俳優に首ったけになっている
・彼女に首ったけになり、気が付けば姿を目で追っている
「溺愛する」
「溺愛(できあい)」とは、何かをむやみに可愛がることです。
誰かを愛する点は「掌中の珠」と同じですが、「溺愛する」の場合は「周囲が目に入らないほど」という意味が強まります。
ほかを顧みることなく心奪われたり、猫を可愛がったりする様子は「溺愛する」と言い表しましょう。
・愛犬と過ごし始めて、ペットを溺愛する人の気持ちが理解できるようになった
・彼は、生まれたばかりの我が子を溺愛している
「掌中の珠」のような親の愛情に関することわざ
「掌中の珠」は、我が子を愛する気持ちを表すことわざです。ここからは、同様に親の愛情に関することわざをチェックしていきましょう。
聞き覚えのあることわざも正しい意味を理解しておけば、よりスムーズに活用できます。

「親の心子知らず」
「親の心子知らず」は、「親の気持ちは子どもには伝わらない」という意味のことわざです。それほどに、勝手気ままなな振る舞いをする子どもの様子を表しています。
親子間でも思いがすれ違うように、他者の心を理解することの難しさも説いた言葉です。親がどれほど心配しても、その思いが子どもに届かない場面や、子どもが反発する場面などに適しています。
・今考えると、父は夢を追う自分をいつも応援してくれていたんだな。若いころの自分は、つくづく親の心子知らずだったと思う
・両親の心配に耳を傾けない妹の姿に、親の心子知らずとはこういうことか、と痛感している
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「可愛い子には旅をさせよ」
「可愛い子には旅をさせよ」には、可愛い子どもこそ甘やかさず、さまざまな経験をさせるべきという教訓が込められています。
あえて困難な環境に置いたほうが、本人のためになるという意味のことわざで、以下のように活用できます。
・早い段階で私に海外留学を勧めた両親は、可愛い子には旅をさせよ、という考えだったようだ
・可愛い子には旅をさせよという思いで、あえて厳しい道を勧めてくれた母に、今は感謝している
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「蝶よ花よ」
「蝶よ花よ」とは、子どもを可愛がり大切にすることです。おもに「蝶よ花よと育てる」のかたちで使用します。
蝶も花も、どちらも美しく優雅なものです。「蝶よ花よ」は、愛する我が子をまるで蝶や花を扱うように、大切にするさまを表します。
気を付けたいのは、「過保護」や「可愛がりすぎ」のようなニュアンスももつ点です。子どもを非常に大事にする気持ちを表す言葉ですが、人によってはネガティブな意味で受け取られるかもしれません。
「子どもを愛する気持ちを褒めたつもりが、嫌味になってしまった」ということがないように、使用時は注意しましょう。
・跡取りとして将来が約束された彼女は、蝶よ花よと育てられたと聞いている
・蝶よ花よと、愛情深く私を育ててくれた両親に親孝行がしたい
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大切なものは「掌中の珠」と言い表そう
「掌中の珠」は、大切な人やものに対して使える表現です。大事なものを手の中の美しい球にたとえ、慈しむ気持ちを表します。
類語には「首ったけになる」や「溺愛する」などがあります。いずれも何かに心惹かれる様子を指す言葉です。状況に応じ、類語への言い換えを検討してみてください。
また、ことわざには親の愛情に関係するものが多々あります。なかには「過保護」と受け取られるものもあるため、使用時は注意が必要です。
「掌中の珠」との違いや具体的な使用例を参考に、日々の会話に取り入れていきましょう。
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