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「拝見させていただきました」は二重敬語
「拝見させていただきました」は、二重敬語。
“見る”の謙譲語である「拝見する」に相手の許可を受ける謙譲表現である「〜させていただく」の組み合わせは、自分がへりくだる表現を重ねていることから敬語として不自然です。
ただし実務上は、比較的よく見聞きするフレーズでもありますよね。したがって、口語では違和感なく流れていきがち。
一方でメールに使ってしまうと、誤用が悪目立ちしやすい面も否めません。
「拝見させていただきました」を用いないほうがいい理由

職場内で常用されているなどの背景から「厳密には間違いだとわかっているけれど、他の人も使っているからなんとなく使っている」というアラサーも多いはず。
けれど、なるべくなら用いないほうがいい! と断言できる理由を解説します。
♦︎理由1:敬語が過剰で読みにくくなるから
ビジネス文書では、読み手の負担を減らすのも気遣いのひとつ。デキるビジネスパーソンほど、メール一通でも読んだ相手が受け取る印象を気にします。
二重敬語は文章のリズムを崩し、過剰な印象を与えがちです。
また、読んだ相手は「二重敬語だと知らないで使っている」と思う可能性もあるので、知らずに自分の評価が下がってしまうリスクも。
♦︎理由2:「相手の許可を得て見る」という意味が不自然だから
「拝見させていただきました」は、文章をそのまま受け取ると“許可を得て見る”という意味。
しかしビジネスシーンで、資料やメールを“見ること”に相手の許可を必要とするのはかなり特殊なケースでしょう。
つまり、日常業務では文章の意味をそのまま解釈しても意味がズレているのです。
♦︎理由3:相手は間違いを指摘しにくいから
上司や取引先は、敬語の誤りに気づいても面と向かって指摘はしづらいもの。
ありがちな誤りであっても何度も繰り返し使っていると「敬語ができない人」の印象が残りやすくなってしまいますから、自分の評価を下げないためにも用いるべきではありません。
「拝見させていただきました」の正しい言い方は?

二重敬語を避けるには、“何をしたか”が明確になるように簡潔な言葉を選ぶのがポイント。
アラサーがビジネスシーンで使いやすい「正しい言い方」をシチュエーション別にまとめました。
♦︎汎用性が高くオールマイティな言い方は「拝見しました」
「拝見しました」は、謙譲語としても完璧な言い回し。
目上や取引先に使うこともできるだけでなく、目下に使っても違和感が出ない万能なフレーズです。
♦︎確認が目的ならシンプルに「確認いたしました(しました)」
業務連絡でも社外との連絡でも、受け取った内容に対して確認が必要なら「確認いたしました(しました)」がシンプルかつ適切です。
こちらも目上や取引先に使える言い回しなので万能なフレーズです。
♦︎「読んだ」ことを伝えるなら「拝読しました」
資料などの文書や企画書、届いたメールに対して「読みました」と伝えるならば「拝読しました」が丁寧かつフォーマルな言い方です。
目上や取引先に使っても、違和感がありません。
【アラサーのリアル】二重敬語で赤っ恥な体験談も…

「拝見させていただきました」のような二重敬語は、本人は丁寧なつもりでも周囲が強烈な違和感を抱く場合も多々。
実際に二重敬語で赤っ恥体験をしたアラサーのエピソードを、筆者が見聞きした事例からピックアップしました。
♦︎失敗談:「丁寧なほどいい」と勘違いしていた
「私は新卒のあとフリーターを経て、20代後半で今の職場に就職。研修もなくビジネスマナー的なものに疎かったこともあり、最初の頃は“敬語は丁寧なほどいい”と誤解をしていましたから『拝見させていただきました』も違和感なく普通に使っていました。
でもあるときに、上司から『あなたは二重敬語が多いので、ちゃんと敬語を勉強したほうがいい』と指導を受けて…。そこで初めて“二重敬語”というものがあると知りました。
それまでは“丁寧こそ正義!”と思い込んでいたので、すごく恥ずかしかったです」(33歳女性/東京都)
♦︎失敗談:社内チャットで多用していたら「敬語が苦手?」と聞かれてしまった
「普段使っている社内チャットで敬語に「〜!」などの語尾をつけて送るのが私のクセだったんですけど、ある日同僚から『もしかして、敬語が苦手?』って聞かれてしまって。
正式な指摘っていうよりも雑談で言われただけですけど、理由を聞いたら“『〜させていただきます』とか『〜なります』とか変だよ”って教えてもらって、ハッとしました。
調べてみたら誤った敬語をけっこう使っていたことがわかり、それ以降は正しい敬語を調べて語尾も崩さずに使うよう気をつけています」(28歳女性/東京都)
「丁寧に見えて誤り」は信用が下がるので要注意
「拝見させて頂きました」は、正しい日本語の視点からは「誤り」といえるフレーズ。
周りが使っているからと自分も誤用を続けるのは、避けるほうが賢明です。
敬語は盛るほど良いのではなく、正しい意味で使う点も大切なポイント。
誤った敬語は自分への信用がダウンするきっかけになりかねないので、些細な言い回しであっても正しい言葉を使えるようにしていきましょう◎。
TOP画像/(c)Adobe Stock

並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。



