「頑是ない」とは?
「頑是ない」は「がんぜない」と読み、幼くて物事の善悪などの判断がつかないという意味です。おもに小説など文学的な表現で使われることが多く、日常会話ではあまり使われない言葉といえるかもしれません。
ここでは、「頑是ない」という言葉の成り立ちや2つの意味を解説します。
言葉の成り立ち
「頑是ない」の「頑」とは、かたくなに人のいうことを受け入れない様子を表す言葉です。「頑(がん)として」「頑(かたく)な」「頑固(がんこ)」という使い方をします。
一方の「是」は「正しい」「道理にかなっている」という意味があります。この2つを組み合わせた「頑是」は、是非の区別や分別を表す言葉です。
ここに打ち消しの「ない」が加わることで、「物事の道理をまだ十分に理解していない」といった意味合いになります。
がん‐ぜ〔グワン‐〕【頑是】
出典:小学館 デジタル大辞泉
是非の区別。分別ふんべつ。→頑是ない
2つの意味
「頑是ない」の本来の意味は、まだ幼くて物の道理がよくわからないという、判断力や理解力が未熟な状態を指します。その意味から転じて、「あどけない」「無邪気」といったニュアンスでも使われる言葉です。
現代では後者の肯定的な意味で使われることが多く、特に子どもや若い人の純真な様子を表す際に用いられる傾向がみられます。
「道理がわかっていない」という直接的な表現ではややきつい印象になってしまう場面でも「頑是ない」を使うことで、未熟さを指摘しながらも、若さや幼さゆえのものだという含みを持たせられるかもしれません。相手に配慮しながら表現したいとき、役立つ表現といえるでしょう。
がんぜ‐な・い〔グワンゼ‐〕【頑是無い】
出典:小学館 デジタル大辞泉
[形][文]ぐゎんぜな・し[ク]
1 まだ幼くて物の道理がよくわからないさま。「―・い子供でもこのくらいのことはわかる」
2 あどけないさま。無邪気だ。「まだ―・い顔をしている」
「頑是ない」を組み合わせた言葉
「頑是ない」は無邪気な様子を指して使われることが多く、おもに「頑是ない子ども」や「頑是ない笑顔」といった使い方をします。
「頑是ない」を組み合わせてよく使われる表現をみていきましょう。

頑是ない子ども
「頑是ない子ども」という表現は、まだ物事の分別が十分につかず、無邪気であどけない様子の子どもを表すときに用いられます。単に年齢が幼いことを示すのではなく、純真さや素直さがにじむ姿をやわらかく伝え、そこに愛情や温かみを含ませられる言い回しです。
子どもの自然なふるまいや屈託のない言動、思いのままに動くしぐさなどを描写する際に適しており、読む人に微笑ましさや親しみを感じさせます。情景描写や人物描写の中で使うと、子どもの持つ素朴な魅力がより印象的に伝わるでしょう。
〈例文〉
・頑是ない子どもが、無邪気に庭を駆け回っている
・彼は嫌味をいわれてもニコニコしていて、頑是ない子どものようだ
頑是ない笑顔
「頑是ない笑顔」は、作為のない無邪気な笑みを表す表現です。子どもが見せるような、打算や遠慮のない純粋な笑顔を思い起こさせ、見る人に安心感や親しみを伝えるといえます。飾らない人柄や、心のままに表れた感情がにじむような場面にぴったりの言い回しです。
人物描写や情景描写の中で用いると、その人の素朴さや純真さがより鮮明に伝わり、文章全体にやわらかさや温かみを添える効果も。文学的な表現や回想の場面などでも、印象を深める言葉として活用できます。
〈例文〉
・彼女はいつも頑是ない笑顔で、周囲の人を和ませている
・彼は頑是ない笑顔を浮かべて、こちらに手を振った
「頑是ない」の使い方・例文
「頑是ない」の使い方について、例文をみながら確認していきましょう。
・頑是ない声をかけられ、思わず振り返った
・彼の長男はまだ頑是ない年頃で、世間のことをよく知らない
・彼女の頑是ないしぐさに、その場の雰囲気がやわらいだ
・頑是ない問いかけをされて、大人たちは返答に困った
・頑是ない笑い声が、部屋の空気を一変させた
・頑是ない声で話しかけられ、思わず微笑んでしまった
・写真に残された頑是ない姿を見ると、時の流れを感じる
・彼女は頑是ないまなざしで、初めて見る景色に見入っている
「頑是ない」の類義語
「頑是ない」には、次のような類義語が挙げられます。
・あどけない
・幼い(おさない)
「頑是ない」は日常ではあまり使われない表現といえますが、似た意味を持つ言葉に置き換えることで、より伝わりやすくなるでしょう。
ここでは、「頑是ない」と近いニュアンスを持つ類義語を紹介します。

あどけない
「あどけない」は、子どもらしい無邪気さや純真さが感じられる様子を表す言葉です。計算や打算のない、自然で素直なふるまいを指す場合に使われます。
「頑是ない」と同じく、幼さに対する温かい視点を含んでいるといえるでしょう。表情やしぐさ、言動など幅広い対象に使われ、日常会話でもよく使われる表現です。相手の純粋さや素朴さを伝えたいときに向いています。
〈例文〉
・その子どもはあどけない口調で、今日あった出来事を楽しそうに話した
・彼女のあどけない表情には、いつも癒やされている
幼い
「幼い」は、年齢や発達の段階が低いことを直接的に表す言葉です。見た目や年齢、経験の少なさを客観的に示す意味合いが強く「幼い考え」「幼い態度」などと使うことで、分別や判断力が未熟であることを示すこともできます。文脈によっては、精神的な未熟さを表すときにも使われる表現です。
〈例文〉
・彼はまだ幼く、ひとりで靴ひもを結べない
・幼い考えのままでは、物事の本質を見誤ってしまう
「頑是ない」の意味を正しく理解しよう
「頑是ない」は、もともと「物事の分別がつかない」「聞き分けがない」といった意味の言葉で、そこから派生して「無邪気」というニュアンスでも使われるようになりました。日常ではあまり使われませんが、文章表現では今も使われる言葉です。
文脈によって受け取られ方が変わるため、正しい意味や使い方を理解しておくことが大切です。ご紹介した言葉の成り立ちや例文、類義語を参考に、「頑是ない」の表現を把握し、適切に使うようにしましょう。
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