【目次】
・「わかりかねます」の意味とは?
・「わかりかねます」の使い方を例文でチェック
・「わかりかねます」をより丁寧にした表現とは?
・「わかりかねます」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
・「わかりかねます」を使う時の注意点
・「わかりかねます」の英語表現とは?
・最後に
「わかりかねます」の意味とは?
「わかりかねます」というフレーズを、電話応対などで多用している方も多いかもしれませんね。しかし、「わかりかねます」の正しい意味や使い方を理解できていますか? 本記事では、「わかりかねます」の正しい意味や使い方、類語や注意点を解説していきます。
「わかりかねる」とは「わかる」に補助動詞として用いられる「かねる」が結びついた言葉です。「わかる」は、ご存知の通り「意味や区別などがはっきりする、理解する」、「事実などがはっきりする、判明する」という意味ですよね。「かねる」は、「〜しようとしてもできない」という意味です。
つまり、「わかりかねる」とは、「その事柄については、ある事情により正しい情報が得られない」という含みを持たせた表現になります。「わかりません」と言い切るよりも、コミュニケーションとして柔らかくなりますね。
「わかりかねます」の使い方を例文でチェック
電話対応などで、質問に答えることができない場合、「わかりません」と直接的に表現するのは相手に不快感を与えてしまう可能性があります。そこで、「わかりかねます」というと遠回しな分、印象が柔らかくなりますよね。
とはいえ、「わかりかねます」だけですと、不親切な対応ともとられかねません。そういうときは、クッション言葉を使いましょう。さらに、こうすればできる、という提案も加えるとさらにいいですね! 以下の例文を参考にしてみてください。
1:「大変申し訳ございませんが、私ではわかりかねますので、専門家の意見を仰ぎたいと存じます」
2:「佐藤は外出しております。帰社時間はわかりかねますので、確認して折り返しご連絡いたしますか?」
3:「交通渋滞に巻き込まれ、到着時間がわかりかねる状況です。はっきりとした時間がわかり次第お電話いたします」
「わかりかねます」をより丁寧にした表現とは?
「わかりかねます」をより丁寧にした表現についても、ご紹介します。
1:「存じ上げません」
「存じ上げません」とは、知る・思うの謙譲語である「存じ上げる」の否定形。目上の人に対して「わかりかねます」よりも丁寧に、伝えたい時はこちらを使いましょう。
ただし、「存じ上げません」とだけ言うと、高慢な印象を与えかねません。例えば、「存じ上げていないのですが」と言い切らない表現にしたり、「申し訳ございません」の言葉で終わるようにしたりするなど、柔らかい印象になるように工夫できるといいですね。
また、「存じ上げる」は「○○様について存じ上げております」のように、知っている対象が「人」のみに使用できます。対象が「物」の場合は、「御社のサービスについて存じております」と、「存じる」を使用し、否定形は「存じません」になります。
2:「存じ上げておりません」
「存じ上げておりません」とは、先述した「存じ上げません」の「ません」が「おりません」に変化したもの。「ません」は元々「います」の否定形、「おりません」は「おります」の否定形です。
「おります」は「います」の丁寧語で、相手に対して「います」というのを敬意を持って伝えたい時に使用します。よって、「存じ上げておりません」は「存じ上げません」よりもより相手に敬意を払った丁寧な表現です。ビジネス上でも、上司や目上の人に対しても安心して使用できる敬語ですよ。
3:「お答えいたしかねます」
「お答えいたしかねます」は、相手の質問に対して「答えたいのはやまやまだが、残念ながらできずに申し訳ない」という謝罪の気持ちを、自分がへりくだることで相手に敬意を払いながら答えられないと伝える敬語表現。
相手の要望に対して「~(したいのはやまやまだが)できない」という気持ちを伝える「~しかねる」の丁寧語表現が「しかねます」です。さらに、自分をへりくだって相手に敬意を払う、謙譲語表現になると「いたしかねる」になります。
「わかりかねます」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
「わかりかねます」の類語や言い換え表現もあわせて、覚えておきましょう。
1:「確認ができかねます」
情報の確認ができないときには、「確認ができかねます」と言うのが適切です。それだけでは言葉不足ですので、必ずできない理由も添えましょう。
「できかねます」は、「わかりかねます」のように、「する」+「かねる」で「~できない」という意味の「しかねます」の丁寧語表現。相手の要求に対して「できません」とお断りする時に、「~しない」という否定形ではなく「かねます」を使うことで、柔らかい表現で、できないことを伝えられます。
2:「ご対応いたしかねます」
「ご対応いたしかねます」は「対応したいのはやまやまだが、できない」気持ちを相手に伝える敬語表現です。この場合の「対応」は、周囲の状況に応じて何かを行うという意味。
「いたしかねます」は、「できかねます」の謙譲語。「いたしかねます」は、自分がへりくだり相手に敬意を払いながら「できません」とお断りをする敬語表現です。さらに、敬語の接頭語「ご」をつけて「ご対応いたしかねます」とすると、“要望に応じたいが、できずに申し訳ない”という気持ちを伝えることができます。
3:「ご返答いたしかねます」
「ご返答いたしかねます」は、相手からの質問や要望に対応できない時に使います。「いたす」は「する」の謙譲語。否定を表す言葉は含んでいないため、「わかりかねます」と同様に柔らかく伝えることができますよ。
「わかりかねます」を使う時の注意点
「わかりません」と「わかりかねます」が混ざってしまうためか、「わかりかねません」と誤用してしまうケースがあるようです。これは二重否定となり、誤り。注意しましょう。
また、クレーム対応の場面などで「わかりかねます」を使うと、相手に不快感を与えたり、感情を逆撫でしてしまうことがあります。そうした場合は「わかりかねます」という曖昧な表現は避けましょう。
「わかりかねます」の英語表現とは?
英語で「分からない」と伝える時、ビジネスシーンで“I don’t know.”は、日本語の「分かりません」と同じく不適切な表現です。下記の言い換え表現を参考にしてみてくださいね。
・I’m not sure.(ちょっとわかりません、柔らかいニュアンス)
・I’m sorry ~(~しかねます)
・I’m afraid ~(~しかねます)
・It is difficult for me to ~(~しかねます、~するのは難しいです)
・It is impossible for me to~(~しかねます、~するのは不可能です)
最後に
いかがでしたでしょうか? 「わかりかねます」は「分かりません、知りません」をより丁寧に表した言葉。相手の質問などに対し対応できない時に使えることが分かりました。丁寧な表現ではありますが、時と場合によっては注意が必要。クッション言葉を付け加えるなど、工夫しながら使ってみてくださいね。
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