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「ご厚情を賜り、誠にありがとうございます」の正しい意味
「厚情」という言葉は日常会話ではあまり使わないため、漠然と丁寧なお礼くらいに捉えていませんか?
「ご厚情を賜り、誠にありがとうございます」を分解すると、
・“厚いなさけ。心からの深い思いやりの気持ち”(出典:デジタル大辞泉/小学館)を表す「厚情」と、
・“もらう”の謙譲語である「賜り」が加わり、
・そこに“深く感謝します”という趣旨の「誠にありがとうございます」
で締められています。
つまり「特別なご配慮をいただき、心から深く感謝します」といった意味のある、かなり丁寧で格式のある日本語表現です。
「ご厚情を賜り、誠にありがとうございます」が使える場面

格式が高い表現ほどやみくもに使ってしまうとTPOに合わない違和感が強まるので、使う場面には注意すべきでしょう。
Oggi世代が「ご厚情を賜り、誠にありがとうございます」を使いやすい場面をまとめました。
♦︎取引先が自社または自分に有利な調整をしてくれた場面
取引先が本来の業務範囲を超えて、こちら側の事情を考慮してくれたときに用います。
相手の負担が増えてでも、自社(または自分)に配慮してくれたニュアンスを含む表現として「ご厚情を賜り、誠にありがとうございます」は適切です。
よくある場面としては、納期を前倒しで対応してくれたときや在庫が足りない状況で優先的に回してくれたときなどがこれに当たります。
♦︎困っている状況を助けてくれた場面
こちらの不測のトラブルや急ぎの事態に対して、相手が助けてくれた場面でも使えます。
この場合は、通常の範囲を超えた尽力をしてくれたことに対する敬意と感謝の表現。
具体的なシーンとしては、納品前のデータトラブルにすぐに気づき修正の時間を設けてくれたケースや、こちらの落ち度で対応が遅れそうだったときに相手が臨機応変に動いてくれたことで助けられた場合などがこれに該当します。
♦︎相手から大きな支援を受けた場面
自社または自分のビジネスに明確なプラスになる行動や、深い信頼がないと起きないであろう大きな支援に対する感謝を伝えるシーンでも使えます。
具体的な場面としては、自社に合いそうな企業を厚意で紹介してくれたり相手が上層部に推してくれた結果として提案が通ったりした場合がこのパターンです。
【アラサーあるある】気をつけて! 空回りしちゃったNG用法の実例

アラサー世代に意外とありがちなのが、丁寧にしようとして空回りするケース。
筆者が見聞きした実例から、アラサー世代が気をつけたいNG用法を解説します。
♦︎これはNG:初回のメールで書いてしまう
新規の取引先への初メールで「このたびはご厚情を賜り〜」と書いてしまうと、相手との距離感がまだ遠いせいで、かなり不自然な印象に。
コピペ感や心のこもっていない印象ばかり強まってしまい、かえって悪い印象を与えかねません。
「厚情」を“熱い感情”だと誤解していると起きがちなミスでもあるので、“親切”や“配慮”といった気持ちを表す言葉だと改めて確認を◎。
♦︎これはNG:テンプレ感しかない
ビジネスメールでは、テンプレ感が出すぎたメールは印象ダウンのきっかけです。
仮に正しい言葉遣いであったとしても、全体の文脈や内容と照らし合わせたときに“とってつけたような”雰囲気になっていると、テンプレ感が強まってしまいます。
メール全体の雰囲気や温度感、内容から見て違和感のない文脈でだけ使うのが正解です。
・ダメな例文:
「どうもお世話になります!
昨日はご厚情を賜りありがとうございます。
またよろしくお願いします」
相手との関係性にもよりますが、一般的には文脈やメール全体の温度感があっていないと、違和感を生じせがちです。
♦︎これはNG:感謝が重複しまくっている
深い感謝の気持ちを伝えたいからと、やたらに感謝の文を書きまくってしまうのもNG。
意味が重複している文がつらつらと並んでいるメールは、くどさを感じさせがちです。
・ダメな例文:
「ご厚情を賜り、温かいご配慮に感謝申し上げます。
心より感謝しています」
「ご厚情を賜り、誠にありがとうございます」注意点をチェック!

「ご厚情を賜り、誠にありがとうございます」について、注意点をまとめておきましょう。
これさえ押さえておけば、強い違和感のある使い方は避けられます◎。
♦︎注意点:重複表現に気をつける
「厚情」という言葉に「厚いなさけ、心からの深い思いやり」の気持ちが含まれているので、そこに「ご厚情の多大なるお心遣い」や「ご厚情の温かいご配慮を〜」などとしてしまうと重複表現に。
意味が重なる言葉を使わないよう、気をつけましょう。
♦︎注意点:文を分けても連続で感謝は述べない
「ご厚情を賜り、誠にありがとうございます。心より感謝申し上げます」などと、ふたつの文に分けたとしても、感謝を連ねすぎるのは重い印象に。
どうしても2つの文に分けてでも深い感謝を伝えたいときには「ご厚情を賜り、誠にありがとうございます。改めて御礼申し上げます」などと記すとスマートです。
「ご厚情を賜り、誠にありがとうございます」の類似表現

「ご厚情を賜り、誠にありがとうございます」の類似表現をまとめました。状況や場面に応じて、使い分けていきましょう。
♦︎シンプルな言い換え方
「いつもご配慮いただき、ありがとうございます」
「温かいお心遣いに感謝申し上げます」
♦︎よりビジネスらしい言い回し
「日頃より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます」
「ご協力いただき、誠にありがとうございます」
♦︎ラフでカジュアルな言い換え方
「いろいろと気にかけてくださって、ありがとうございます」
「ご支援をいただき、心より感謝いたします」
「ご厚情を賜り、誠にありがとうございます」
「ご厚情を賜り、誠にありがとうございます」は、ビジネスシーンでは定型文のようにも使われていますが、正しい意味を理解したうえで適切に使うのが好ましい表現。
基本的には、特別な配慮や相手からの親切への深い感謝を伝えたいときに用いるのが正解です。
また、意味は正しく使っていても堅苦しい印象を強める場合もあるので、文脈に合わせて柔らかい言い換えを使えると自然でしょう。
TOP画像/(c)Adobe Stock

並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。



