欠片とは? 読み方と意味
欠片とは「かけら」と読み、物の壊れたり取れたりした一部分を指します。
・割れたコップの欠片が辺りに飛び散っています。注意をしてください
・陶器の人形の欠片をつなぎ合わせてみたが、いくつか足りない
・欠片を集めても、元の姿には戻りませんよ
また、ほんのわずかなものをたとえて「欠片」と表現することもあります。
・彼と別れて10年になるが、ときどき思い出の欠片を見つけては、懐かしい気持ちに浸っている
・そんな欠片にこだわらず、大局を見て考えることが必要だ
・言葉の欠片を集めて、初めての作詞に挑戦した
欠片と似た言葉には、「破片(はへん)」や「断片(だんぺん)」などがあります。それぞれの意味やニュアンスの違いを見ていきましょう。
かけ‐ら【欠けら/欠=片】
出典:小学館 デジタル大辞泉
1 物の欠けた一片。断片。「せんべいの―」
2 (下に打消しの語を伴う)ごくわずかなもののたとえ。「良心の―もない」

破片との違い
「破片(はへん)」とは、壊れた物の欠片のことです。
・ガラスの破片で手を切らないようにしてください
・もしかしたら破片が目の中に入っているかもしれない。角膜を傷つけないように注意してください
・朝日が差し込み、散らばった皿の破片がキラキラと輝いている
欠片と比べると、破片は細かく砕けているニュアンスがあります。手に取って集められる程度の大きさではないときは、欠片ではなく破片のほうが適していることもあるかもしれません。
は‐へん【破片】
出典:小学館 デジタル大辞泉
壊れた物のかけら。「ガラスの破片」
断片との違い
「断片(だんぺん)」とは、あるまとまった物の一部分や切れ端のことです。
・記憶の断片をつなぎ合わせて、来た道を戻っていった
・彼女の話は断片ばかりで、筋道が見えない
・これは彼女が大切にしていたワンピースの断片のようだ。何があったのだろう
欠片は割れたり壊れたりしたときに生じますが、断片は実際の物ではなく抽象的な物(記憶、思い出など)にも使うため、元々の物が破損しなくても生じ得ます。
だん‐ぺん【断片】
出典:小学館 デジタル大辞泉
あるまとまったものの、一部分。きれはし。「記憶の断片をつなぎ合わせる」
切片との違い
「切片(せっぺん)」とは、切れ端のことです。顕微鏡で生物の検査をするときに、組織の一部を薄く切り取ったものも「切片」といいます。
・布の切片をつなぎ合わせて、芸術的なキルトに仕上げた
・何かの切片がカバンに入っていた
・プレパラートに切片を載せて、顕微鏡で観察した
また、数学では直線とy軸との交点のy座標を「切片」と呼びます。たとえば、y=2x+3では、「3」が切片です。
せっ‐ぺん【切片】
出典:小学館 デジタル大辞泉
1 切れはし。
2 顕微鏡検査のために、生物の組織の一部を薄く切ったもの。
3 数学で、直線とy軸との交点のy座標、およびx軸との交点のx座標。
片端との違い
「片端(かたはし)」とは、一方の端のことです。
・帯の片端を肩にかけてから、腰に巻いてください
・割り箸の片端が割れている
・片端が破損しているが、まだ十分に使える
「法学の片端をかじったことがある」のように、ほんの一部分といった意味でも使われます。
かた‐わ〔‐は〕【片端/片輪】
出典:小学館 デジタル大辞泉
[名・形動]《「片」は不完全の意》
1 からだの一部に障害があること。
2 考え方などにつりあいがとれていないこと。また、そのさま。
3 不完全なこと。未熟なさま。また、欠点。
「此の大臣は色めき給へるなむ少し―に見え給ひける」〈今昔・二二・八〉
4 見苦しいこと。また、そのさま。不格好。
「御前には、さらぬ折だに―なるまでの御物おぢなれば」〈狭衣・三〉
5 きまりが悪いこと。また、そのさま。
「いと―なるほどになりぬ、など急げば」〈かげろふ・上〉
一部との違い
「一部(いちぶ)」とは、全体の中のある部分のことです。
・一部の反対派の言うことに耳を傾ける必要はない
・オペラの一部のみ再演します
・今回公開されているA家の秘宝は一部のみだが、素晴らしい芸術であるのは疑いようがない
書物や新聞などのひとまとまりや一揃い、高校や大学の昼間部を「一部」と呼ぶこともあります。
いち‐ぶ【一部】
出典:小学館 デジタル大辞泉
1 全体の中のある部分。一部分。「一部の反対派」「長編を一部割愛する」⇔全部。
2 書物や新聞などのひとまとまり、ひとそろい。また、書物の一冊。
3 高校・大学などで、夜間部をさす二部に対して昼間部のこと。
残骸との違い
「残骸(ざんがい)」とは、原形を留めないほどに破壊された状態で残っているもののことです。
・事故車の残骸が道路に放置されていた
・まるで残骸としか表現できないほど、彼の食べた後が汚かった
「残骸」は、戦場や災害地などに残された死体を指すこともあります。
ざん‐がい【残骸】
出典:小学館 デジタル大辞泉
1 戦場や災害地などにそのまま残された死体。
2 原形をとどめないほどに破壊された状態で残っているもの。「事故車の残骸」
欠片があれば元通り風? 修復方法をチェック
ガラス細工や陶器などが粉々に破損した場合は、元通りに戻すことは難しいでしょう。しかし、欠片がすべて残っている場合や本体の大半が破損していない場合は、修復が可能なケースもあります。
素材別に修復方法を見ていきましょう。

陶器の欠片
陶器は基本的に修復が可能といえます。お気に入りのお皿やカップが割れたときにはチャレンジしてみるのもいいかもしれません。おもな修復方法は次の3つです。
・金継ぎ
・パテ補修
・接着剤
金継ぎ(きんつぎ)は伝統的な陶器の補修技法です。漆を用いて割れた部分を接着し、しっかりと乾かした後で継ぎ目に漆を塗り、その上に金粉を散布して完成させます。
補修した部分が金色のラインで目立ちますが、金継ぎならではの味わいを楽しめます。また、道具や材料がすべて入った「金継ぎキット」も販売されています。興味がある方は気軽に試してみてもよいでしょう。
欠片が小さい場合はポリエステルやラッカーなどのパテを使って、欠けた部分を直接埋める方法も。欠けた部分を滑らかにやすりで整え、パテを充填して形を整えます。
欠片がないときにも利用できるため、破片が見付からないときにも検討してみるのもよいでしょう。ただし、パテに使われる素材には人体に有害な物質もあるため、口に触れる部分の補修には不向きのようです。
欠片があるときは、接着剤で直接取り付ける方法が手軽です。ずれた位置に取り付けると修正できないため、慎重に欠片を組み合わせます。ただし、パテと同様、接着剤には有害物質が含まれている恐れがあるため注意が必要です。
プラスチックの欠片
プラスチックが欠けたときは、接着剤を使用することが一般的です。ただし、接着剤の種類を確認し、プラスチック向きか調べてから使うようにしましょう。次の手順で使用すると、美しい仕上がりに期待ができます。
1. 接着面の汚れを落とす
2. 接着剤で欠片を取り付ける
3. 接着剤が硬化するまでしっかりと押さえる
はみ出した接着剤は、硬化前にキレイに拭きとっておきましょう。
欠片の意味を確認しておこう
割れたものや壊れたものを指す言葉は、欠片以外にも「切片」や「断片」など多数あります。正確にニュアンスを伝えるためにも、それぞれの言葉の意味を理解して使い分けるようにしましょう。
また、陶器やプラスチックが欠けたときは、自分でも修理できることがあります。物を大切に使い続けるためにも、試してみてもいいかもしれません。
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