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2025.12.12

「お見捨ておきください」は昔の言葉じゃないの?ビジネスでの正しい使い方・言い換え・注意点を解説

年賀状や改まった挨拶文で見かける「お見捨ておきください」という表現。古めかしい響きや「見捨て」という表記からネガティブな印象を持つ人もいた、本来の意味とは違う使い方をしている人も。
実はこの言葉、使い方次第で好印象を与えることもあれば、違和感を持たれることもある、なかなか難しい表現なのです。
今回は、「お見捨ておきください」の意味から適切な使い方、現代的な言い換え表現まで詳しくご紹介します。

コマツマヨ

「お見捨ておきください」はどんな意味?

「お見捨ておきください」は、相手に対して今後も変わらぬお付き合いをお願いする表現です。文字通りに解釈すると「そのままにしておいてください」となりそうなところですが、実際には「見捨てないでください」=「今後ともよろしくお願いします」が本来の意味です。

少しややこしい表現ですが、相手との関係を大切にし、末永く続けたいという気持ちを丁寧に表現する言葉として、相手を立てながら自分を低くする、日本語特有の謙遜の精神が込められた敬語です。

しかし、現代のビジネスシーンでは「返信不要」「お気遣いなく」といった意味で使われる例もあります。本来の意味から外れた用法ですが、広く使われている表現でもあるので、どちらの意味で使われているのかを理解し、正しい意味を押さえておくことが大切です。

(c)Adobe Stock

現代ビジネスでの位置づけ

「お見捨ておきください」は、やや古風な表現ではありますが、決して間違った日本語ではありません。むしろ、フォーマルな場面や改まった文書では、その格調の高さが効果的に働くことがあります。

特に伝統的な業界や、年配の経営者が多い企業では、こうした古典的な表現が好意的に受け止められることも。一方で、IT企業やスタートアップなど、カジュアルな社風の会社では違和感を持たれる可能性があります。相手の年代、業界、企業文化を考慮して使い分けることが重要です。

古いと思われがち?現代での印象と、使っていい場面・避けた方がいい場面

「お見捨ておきください」も、使う相手や場面によって印象が大きく変わる表現の一つ。ここでは、現代における印象と、効果的に使える場面、避けるべき場面を整理してみましょう。

使っていい場面・避けた方がいい場面

「お見捨ておきください」が最も適しているのは、年賀状や暑中見舞いなど季節の挨拶状での、結びの言葉としての使用です。長年お取引のあるお客様へのお礼状や、節目の挨拶文でも違和感なく使えますし、冠婚葬祭など改まった場での挨拶にも適しています。

例えば、「今後ともお見捨ておきくださいますよう、よろしくお願い申し上げます」といった形で、文末の締めくくりとして使用するのが一般的です。

反対に、日常的なビジネスメールで頻繁に使用するのは避けましょう。また、若い世代が多い職場やカジュアルなコミュニケーションが中心の環境では、堅苦しすぎる印象を与える可能性があります。社内メールや簡単な連絡事項のやりとりには不向きです。また、「お気になさらず・返信不要」という意味で『お見捨ておきください』『ご放念ください』を使うケースが見られますが、ビジネス文書では誤解を生みやすいため避けるのが無難です。

年配の方には馴染み深い「お見捨ておきください」ですが、若い世代には古風に聞こえることもあります。職場の年齢層や企業文化によって受け取られ方が大きく変わるため、相手をよく観察してから使用を判断することが大切です。

使いすぎると「大げさ」な印象に

毎回同じように「お見捨ておきください」を使っていると、不自然で形式的すぎる印象を与えます。本来込められている謙遜の意味が薄れ、単なる決まり文句として受け取られてしまう可能性も。

例文で学ぶ!「お見捨ておきください」の使い方

実際のビジネスシーンでどのように使えばいいのか、具体的な例文を見ながら、適切な使い方を身につけていきましょう。場面ごとの使い分けがポイントです。

年賀状・季節の挨拶での使用例

<年賀状での使用例>

「旧年中は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。本年も変わらずお見捨ておきくださいますよう、心よりお願い申し上げます」

<暑中見舞いでの使用例>

「平素は格別のお引き立てをいただき、厚く御礼申し上げます。今後ともお見捨ておきくださいますよう、よろしくお願いいたします」

ビジネス文書での使用例

<創立記念の挨拶状>

「おかげさまで弊社は創立10周年を迎えることができました。末筆ながら、今後ともお見捨ておきくださいますよう、お願い申し上げます」

<退職の挨拶>

「在職中は大変お世話になりました。引き続きお見捨ておきくださいますよう、よろしくお願いいたします」

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ビジネスシーンで使える、「お見捨ておきください」の自然な言い換え

相手によっては、古い表現や硬い表現と思われがちな「お見捨ておきください」の表現。ここでは、より自然に使える言い換え表現をご紹介します。

今後ともよろしくお願いいたします

最も一般的なのは「今後ともよろしくお願いいたします」です。どんな場面でも使える汎用性の高い表現です。

ご放念ください

「お見捨ておきください」と非常に近い使い方をされる表現です。相手の感情に配慮し、良好な関係性を維持するための表現として使われます。

ただし「ご放念ください」も、カジュアルな場では「お気になさらず」や「返信不要」といった意味で使われることがあります。こちらも厳密には本来の意味ではなく、フォーマルな文書では控えると安全です。

取引先への挨拶なら「引き続きご愛顧のほど、よろしくお願いいたします」、長期的な関係を望む場合は「末永くお付き合いのほど、よろしくお願いいたします」も適切です。

「お見捨ておきください」を上手に使い分ける3つのコツ

「お見捨ておきください」を効果的に使うには、まず相手の年齢層や職場の文化を考慮することが重要です。古風すぎると感じられる場合は、より現代的な表現に言い換えるなどして使い分けるといいでしょう。

謙遜の気持ちを込めた丁寧な表現として、適切な場面で使えば相手に好印象を与えることができますよ。

TOP画像/(c) Adobe Stock

コマツマヨ

WEBサイトライティングをメインに、インタビュー、コラムニスト、WEBディレクション、都内広報誌編集、文章セミナー講師など幅広く活動。

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