「壟断」という言葉は、ニュースや書籍、政治の話題で見かけることがあります。しかし、読み方がわからないまま、読み飛ばしている人も多いのではないでしょうか? そこで、この記事では、「壟断」の読み方や基本的な意味、由来、使い方について整理して紹介します。
「壟断」とは? 読み方と意味、由来を解説
まずは、「壟断」の読み方と意味から確認していきましょう。

「壟断」の読み方と意味
「壟断」は「ろうだん」と読みます。「壟」は、岡のことです。辞書では次のように説明されています。
ろう‐だん【×壟断】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名](スル)
1 高い丘の切り立っている所。
2 《いやしい男が高い所から市場を見下ろして商売に都合のよい場所を見定め、利益を独占したという、「孟子」公孫丑下の故事から》利益や権利を独り占めにすること。
「大資本家が小資本家を吸収して利益を―すると云って」〈魯庵・社会百面相〉
「壟断」とは、利益や権利を独り占めすることを指します。「高い岡の断ち切れたところ」という意味もありますよ。
「壟断」の由来は?
この言葉は、中国の古典『孟子』公孫丑下の故事「有賤丈夫焉、必求龍断而登之、以左右望而罔市利、人皆以為賤」に由来します。
孟子は、「ある男が市場の高い場所から周囲を見渡し、最も利益を得られる場所を選んで品物を売り、利益を独占した」という、たとえ話をします。このたとえ話から、「壟断」は他者を排して自分だけが利益を得ることを指す言葉として使われるようになりました。
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)

「壟断」はどんな場面で使う? 具体的な例文とともに紹介
「壟断」の意味がわかったら、どのように使われるかを具体的な例文とともに見ていきましょう。ニュースや記事では、独占的な動きや、特定の団体による支配的な立場を説明する際に使われることが多いでしょう。
「一部の大企業が市場を壟断しているといわれています」
特定の企業だけが市場の大半を占め、他の企業が入り込みにくい状況を表しています。
「国政壟断が問題視され、政治の透明性が求められています」
国家の政策や意思決定が特定の人物や団体に集中し、不公平が指摘されるケースです。
「彼は重要な情報を壟断して、周囲に共有しませんでした」
自分だけが有利になるために、情報を独占していた様子を表現しています。

「壟断」と「糾弾」の違いに注意
「壟断」と「糾弾(きゅうだん)」は、意味がまったく異なる言葉です。語感が似ているため混同しやすいですが、使い方には注意が必要です。
「糾弾」は、罪や責任を問いただして非難することを意味します。例えば、「汚職収賄を糾弾する」というように使います。一方、「壟断」は、利益や権利などを独占することを指します。
このように、「壟断」は独占、「糾弾」は非難という違いがあります。
最後に
「壟断」という言葉は、普段の生活ではあまり使われないかもしれませんが、社会の仕組みやニュースを読み解くうえで知っておくと役立つ場面があります。意味や由来、使われ方を知ることで、言葉の背景にある社会の動きにも目を向けられるようになるかもしれません。
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