「草臥れる」という言葉は、普段の会話でもよく使われています。しかし、漢字にすると途端に難しく感じますね…。この記事では、「草臥れる」という言葉の読み方から確認していきましょう。
「草臥れる」とは? 読み方や意味、語源を解説
まずは気になる「草臥れる」の読み方と意味から確認していきましょう。
「草臥れる」の読み方と意味
「草臥れる」は「くたびれる」と読みます。辞書では次のように説明されていますよ。
くたび・れる【草=臥れる】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[動ラ下一][文]くたび・る[ラ下二]
1 長時間からだや頭を使ったため、疲れて元気がなくなる。「歩きつづけて―・れる」
2 年老いたり苦労が続いたりして気力や若さを失う。「人生に―・れる」「生活に―・れた顔」
3 衣服などが長く使われたため、古くみすぼらしくなる。「―・れた背広」
4 (他の動詞の連用形に付いて)その動作を続けるのが、疲れていやになる。「待ち―・れる」
→疲(つか)れる[用法]
「草臥れる」は、疲れて元気がなくなったり、年老いたり、物が古びてみすぼらしくなったときに使われます。また、「待ち草臥れる」というように、その動作を続けるのが疲れて嫌になるときにも使われますよ。

「草臥」の漢字を使う理由は?
「草臥」という漢字が使われる背景には、『詩経』に見られる「クサブシ(草臥)ミヅワタル(水渡)」という表現があります。この用例がもとになり、「草臥れる」という表記が定着したと考えられています。
「草臥れる」の語源は?
「草臥れる」の語源については、はっきりとした由来が一つに定まっているわけではありません。古くからさまざまな説があり、例えば「“くた”は朽、“びる”は状態を表す語」というものや、「くた(腐)しぶるの意味」、「くさひら(草平、平は臥すという意味)という意味」などというものがあります。
このように、語源についてはいくつかの解釈が存在しているのが現状です。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)
「草臥れる」の使い方を例文でチェック
読み方がわかったところで、具体的な使い方を例文とともに確認していきましょう。
「長時間の会議で草臥れました」
長い会議のあとに心身ともに疲れたことを表現しています。仕事やビジネスの場面でも使いやすいフレーズです。

「草臥れている様子が顔に出ていたのか、同僚が心配して声をかけてくれました」
疲れが表情や態度に現れていることを説明しています。周囲が気にかけてくれている様子が伝わってきますね。
「この古い鞄は、何年も使い続けてきたので、すっかり草臥れてしまいました」
「草臥れる」は人だけでなく、道具や衣類、家具など物の古びて疲れた状態を表す場合にも使えます。長年の使用で本来の形や機能が損なわれている場合などに使われることが多いでしょう。
「友人を待ち草臥れて、駅のベンチでうとうとしてしまいました」
「待ち草臥れる」は、長く誰かや何かを待ち続けて疲れてしまった場合によく使われますね。日常のさまざまな場面で活用できる表現です。
「草臥れて 宿借るころや 藤の花」
この句は、松尾芭蕉による俳句です。一日の旅の疲れがたまった夕暮れ、宿を探していると、淡い紫色の藤の花がそっと咲いている様子に出会います。晩春を感じさせる景色の中に、旅のさみしさやもの静かな心情がにじむ一句です。

「草臥れる」の方言や類語・言い換え表現を紹介
「草臥れる」という言葉は、地域によって表現が変わることがあります。ここでは、草臥れるの方言や、似た意味の言葉を紹介します。
「草臥れる」の方言は?
地域によっては、「草臥れる」と似た意味で大阪市や兵庫県、奈良県などでは「しんど」が使われます。島根県や徳島県、愛媛県、大分県、宮崎県などでは「なえる」が使われます。
土地ごとの表現を知ると、その地域の雰囲気も感じられますね。
参考:『日本方言大辞典』(小学館)
「草臥れる」の類語
「草臥れる」と近い意味を持つ言葉には、「疲れる」「くたくたになる」「げっそり」などがあります。どれも疲れを表す言葉ですが、「くたくたになる」は疲れたり、弱ったりして力が抜けたとき、「げっそり」は見た目にもやつれた様子を表現するなど、それぞれの表現によって伝わる印象に違いがあります。
状況や気持ちに合わせて使い分けると、より自分の状態が伝わりやすくなりますよ。
最後に
「草臥れる」という言葉は、古くから日本語に根付いています。日常会話や文学作品など、さまざまな場面で今もなお息づいている表現です。言葉の背景や使い方を知ることで、日本語の豊かさを改めて感じるきっかけになるかもしれませんね。
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