「賽子」という熟語を初見で読める人は少ないかもしれません。しかし、多くの人が使ったことのある道具の名前です。この記事では、「賽子」の読み方や意味に加えて、由来も紹介! 読めば、「賽子」という言葉に親しみがわいてくるかもしれませんよ。
「賽子」の読み方と意味は?
読み方が分からないまま、読み飛ばしてしまう漢字も少なくありません。「賽子」もそのひとつかもしれません。正しい読みを知ることで、見慣れない漢字にも自然と関心が向きますよ。まずは、読み方から確認していきましょう。
「賽子」の読み方は「さいころ」
「賽子」と書いて、「さいころ」と読みます。意味を辞書で確認しましょう。
さい‐ころ【×賽▽子/骰=子】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「さい(采)1」に同じ。「―を振る」
さい【采/×賽】
1 双六(すごろく)・ばくちなどで用いる小さな立方体の道具。六つの面に一から六までの目が記してあり、投げ転がして上面に出た数により勝負を決める。さいころ。一天地六(いってんちろく)。
「賽子」は、ゲームや占いなどで用いられる「サイコロ」のことです。日常ではあまり漢字表記を見かけることはありませんが、文学作品や歴史的な文章などで用いられることがありますよ。「骰子」とも書きます。

「賽子」の由来や成り立ちは?
「賽子」の「ころ」には、いくつかの説があります。一つは、「ころがる」や「ころころ」といった動きに関係する言葉の語尾にあたる、接尾語という説です。
もう一つは、「賽子」の「子(こ)」に、親しみをこめた接尾語「ろ」が加わって「ころ」と読まれるようになった、という考え方です。
どちらも響きのなかに、生活に根ざした感覚が見え隠れしているように感じられますね。
「賽」を使った言葉を紹介
「賽」という漢字には、「神に感謝を捧げる祭り」「勝負を競う」「等しい」「終える」など、いくつかの意味があります。ふだんは見慣れないかもしれませんが、実は私たちの身近な言葉の中にも使われています。いくつかの言葉を例に、その意味や背景を見ていきましょう。

賽銭(さいせん)
「賽銭」という漢字を見ると、「ああ、この漢字だったかぁ!」と膝を打った人も多いのではないでしょうか?
「賽銭」は、神社やお寺にお参りする際に捧げるお金のことです。「賽」はもともと、神恩に報いる祭儀の意味を持っています。古くは金銭だけでなく、米や布などを供えて感謝の気持ちを伝えていたともいわれていますよ。
賽客(さいかく/さいきゃく)
「賽客」とは、神社仏閣を参拝する人のことを指す言葉です。「賽人(さいじん)」とも呼ばれます。

賽神(さいしん)
「賽神」は、神に収穫を感謝するお祭りのことを指します。
参考:『新選漢和辞典 Web版』(小学館)、『日本国語大辞典』(小学館)
最後に
「賽子」という言葉にふれることで、私たちが何気なく使っている言葉の奥にある歴史や文化の深さをあらためて感じることができたのではないでしょうか。読み方ひとつにも由来があり、漢字には意味が込められています。
身近な道具の名前にも、こんな背景があると思うと、奥深いですね。言葉に触れるひとときが、ふだんの暮らしにささやかな彩りを添えてくれることを願っています。
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