「報恩謝徳(ほうおんしゃとく)」という四字熟語は、知っているようで意外と説明が難しいかもしれません。「報恩謝徳」とは、誰かに助けられたときや、支えられたときに自然と芽生える気持ちを、言葉にして表したものです。
この記事では、「報恩謝徳」の意味や使い方、関連する言葉まで、紐解いていきます。
「報恩謝徳」とは? 読み方と意味をわかりやすく紹介
「報恩謝徳」という言葉には、人とのつながりや、受けた恩を大切にする日本人らしい感性が込められています。
まずは、基本となる読み方と意味を整理していきましょう。
「報恩謝徳」の読み方と意味
「報恩謝徳」は「ほうおんしゃとく」と読みます。この言葉は、受けた恩に感謝し、その恩に報いようとする心を表しています。
さらに、仏祖、師僧、父母、国王、三宝(仏・法・僧)などから受けた恩に対して感謝し、報いるという広い意味も持っていますよ。
「報恩」とは、受けた恩に報いることを指し、「謝徳」とは、恩徳に対して感謝の気持ちを表すことを意味します。このふたつの言葉が合わさることで、単なる感謝にとどまらず、行動を通してその気持ちを表す深い心情が表されているといえます。

「報恩謝徳」の使い方を例文で確認
次は実際の使い方を見ていきましょう。自然な場面で使えるようになると、言葉に込める気持ちもより豊かに伝わります。
「師から教わった教えを胸に、報恩謝徳の心で後輩たちを導いていきたいと思う」
指導者や恩師への感謝を、次の世代へと受け継ぐ意志を込めた使い方です。「恩を未来につなぐ」イメージが自然に伝わってきますね。
「地域の恩に報いるため、報恩謝徳の行動を大切にしている」
自分を育ててくれた地域や社会に対して、感謝と恩返しの気持ちを込めて取り組む姿勢を表すときにふさわしい言葉です。ボランティア活動や地域貢献などの話題にもなじみます。

「報恩謝徳」の類語・言い換え表現を紹介
ここでは、「報恩謝徳」と似た意味を持つ言葉を紹介していきます。
恩返し
受けた恩に対して、何らかの形でお礼をすることを指します。日常会話でもよく使われる親しみやすい表現です。
恩義に報いる
義理や人情を重んじる場面で使われる表現です。受けた恩に対して、礼儀を尽くして返すという、やや格式のある言い回しになります。
報謝(ほうしゃ)
恩に報い、徳に感謝するという意味を持つ言葉です。ときには物を贈るなど具体的な形で感謝を示す場面にも使われ、神仏に対して感謝を捧げる場合にも用いられます。
「報恩謝徳」を英語で表すなら?
英語でも、感謝や恩返しを表す言葉はいくつかあります。ここでは、「報恩謝徳」に近いニュアンスをもつ英語表現を2つ紹介しましょう。

express one’s gratitude(感謝の気持ちを表す)
支えや親切に対する感謝を、言葉で率直に伝えたいときに使われます。シンプルながら、温かい気持ちをきちんと届けられる表現です。
例文:I would like to express my gratitude for your support.(あなたの支援に心から感謝を申し上げます。)
repay one’s kindness(恩に報いる)
受けた親切や支援に対して、いつか形にして返したいという思いを表すときに使われます。感謝の先に行動を見据えたニュアンスがありますよ。
例文:I want to repay your kindness someday.(いつかあなたの親切に報いたいです。)
最後に
「報恩謝徳」という言葉には、誰かから受けたあたたかさを心に留め、行動で返そうとする静かな意志が感じられます。
日常の中でふと生まれる感謝の気持ちを、言葉にし、形にしていくこと。それが、少しずつ周りの人たちとのつながりを深めていくのかもしれません。言葉を通して、あらためて自分の気持ちに向き合う時間を持ってみるのも、いいものですね。
TOP画像/(c) Adobe Stock