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「肩身が狭い」という言葉は、どこか自分の居場所を探しているような響きがあります。まずは、正確な意味を確認し、この表現がどんな場面で使われているのかを見ていきましょう。
「肩身が狭い」とは? 意味を確認
まずは、「肩身が狭い」の意味を確認していきましょう。
「肩身が狭い」の読み方と意味
「肩身が狭い」は、「かたみがせまい」と読みます。辞書で意味を確認しましょう。
肩身(かたみ)が狭(せま)・い
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
世間に対して面目が立たず、ひけめを感じる。「お古の制服で―・い思いをした」
「肩身が狭い」とは、周囲に対して何かしらの負い目を感じ、自由に振る舞いづらくなる気持ちを表します。例えば、何か失敗したあとに、人前で堂々とできないような感覚です。
物理的に体が小さくなるわけではありませんが、心が縮こまるような気持ちになるときに、この言葉が使われます。

「肩身が狭い」の使い方を例文で確認
実際の使用法を知ることで、「肩身が狭い」という言葉の理解が深まります。ここでは、具体的な例文とともに使い方を確認していきましょう。
「周囲は既婚者ばかりで、独身の自分は肩身が狭い」
自分が少数派だと感じたときや、場の空気になじみにくいと感じる場面でよく使われます。
「失敗が続いて、社内で肩身が狭く感じている」
何か迷惑をかけたときなど、自分の立場が居づらくなっている状況を表しています。
「家族の中で自分だけ違う意見を持っていて、肩身が狭い」
身近な人間関係でも、意見の食い違いがあると気まずくなることがあります。そんなときにもこの表現は自然になじみますね。
「肩身が狭い」の類語・言い換え表現は?
同じような気持ちを表す言葉でも、少し表現を変えることで印象が和らいだり、文脈になじみやすくなったりします。「肩身が狭い」と似た意味をもつ表現を見ていきましょう。
居心地が悪い
その場の空気にうまくなじめず、心が落ち着かないときに使われます。物理的な不快さではなく、気持ちの面で居場所がないように感じる場面にぴったりの表現です。

身の置きどころがない
何となくそこにいるのがつらい、いたたまれないという感覚を表します。自分の存在が場に合っていないように感じたときに、自然と口にしたくなる言い回しです。
気まずい
相手との間にどこか距離や緊張があり、思うように話せなかったり、振る舞いに迷ったりする状態を指します。「肩身が狭い」と同じように、場の空気を敏感に感じ取る人にとってはよく使われる言葉かもしれません。
英語で「肩身が狭い」はどう言う?
「肩身が狭い」という表現は、日本語ならではの繊細な感情を含んでいますが、英語にも似た言い回しがあります。状況に応じて、使い分けると気持ちがより伝わりやすくなりますよ。
feel small
自分がその場にふさわしくないように感じたり、周囲と比べて気後れしてしまうときに使われます。自信を失ってしまったような場面で選ばれる表現です。
例文:I felt small when everyone started laughing.
(みんなが笑い出して、肩身が狭かった。)
not hold one’s head high
“hold one’s head high”は「胸を張る」「堂々としている」という意味です。そこに“not”をつけることで、「堂々とできない」「引け目を感じる」といった気持ちをやわらかく表現することができます。
例文:He couldn’t hold his head high after the mistake.
(その失敗のあと、彼は肩身が狭かった。)
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)
「肩身が狭い」と感じるのはどんなとき?
「肩身が狭い」という言葉には、人との関わりのなかで生まれる繊細な感情が込められています。うまくなじめないときや、自分だけ違っているように感じた瞬間。そんなとき、「肩身が狭い」と口にすることで、少しだけ気持ちが楽になることもあります。

職場での立場やライフスタイルの違い
会議で発言できなかった日や、周囲が家庭や育児の話をしている中で、自分だけ話に加われないようなとき。距離を感じてしまう場面で、自然とこの言葉が思い浮かぶことがあります。
家庭や親戚づきあいでの気まずさ
親しい人たちとの集まりのなかで、自分の状況だけが少し違っていると感じたとき。わずかな違いが気になってしまうのは、それだけ人との関係を大切にしている証かもしれません。
友人や同世代との話題での居づらさ
久しぶりに会った友人との会話のなかで、自分だけが話題にうまく乗れないとき。言葉を選ぶうちに、なんとなく肩身が狭く感じることもありますよね。
最後に
「肩身が狭い」という言葉には、人との関わりを大切に思う気持ちがにじんでいるかのようです。自分の立場や状況を敏感に感じ取り、相手への配慮を忘れないからこそ、こうした言葉が生まれたのかもしれませんね。
気まずさや遠慮のなかにも、その人なりの優しさや思いやりが込められていることがあります。そんな言葉の奥行きを意識しながら、少しだけ自分の気持ちにもやさしくなれるといいですね。
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