入梅(にゅうばい)とは雑節のひとつ
入梅(にゅうばい)とは雑節のひとつで、太陽黄経が80度になる6月11日ごろのことです。なお、雑節とは季節を表す目印となる日のことで、入梅以外にも節分や土用、彼岸、八十八夜などがあります。
七十二候のひとつである半夏生(はんげしょう、はんげしょうず)は、雑節のひとつでもあります。なお、昔の暦では1年を24の節気に分けて「二十四節気」と呼んでいました。
ひとつの節気は約15日で、立春や春分、立夏、夏至、立秋、大寒などの現在でもしばしば使われる季節区分から成り立ちます。
二十四節気はそれぞれ3つの候(初候・次候・末候)から成り立ち、各候はそれぞれ約5日間の期間を指します。候に注目した暦の分け方が「七十二候」です。雑節でもあり七十二候でもある半夏生は夏至の末候で、半夏生の時期が終わると小暑が始まります。
入梅の由来とは?
入梅という言葉は、梅雨に入る時期という意味です。実際に梅雨に入るとは限りませんが、毎年太陽黄経が80度くらいになると、雨の日が増えて梅雨入りとなることも少なくないため、入梅という雑節がつくられたと考えられています。
なお、梅雨という言葉の由来は、正確にはわかっていません。一説には、梅の実が熟す時期の雨という意味から、梅雨といわれるようになったといわれています。暦は農業と関係のある言葉が多いため、納得度が高い由来といえるでしょう。
また、カビが生えやすい時期という意味で、梅雨といわれるようになったという説もあります。カビ(黴)の字は「バイ」とも読むため、「梅」の漢字をあてて梅雨としたようです。
実際に入梅の頃は、適度な湿気と温度でカビが生えやすく、食べ物の管理に注意が必要な時期です。
梅雨入りと入梅は同じ日とは限らない
梅雨入りとは、晴れが続いた後に、週間天気予報で雨もしくは曇りの日が続くと予想される時期のことです。もともとの定義が明確ではなく、また予報に基づくために暫定的で、後になってから変更されることもある点に注意が必要です。
一方、入梅は太陽黄経が80度になったときと明確に決められているため、事前に正確な日を割り出せます。梅雨入りの時期は年によって4月下旬から6月上旬ごろと幅が広く、また地域によっても変わるため、梅雨入りと入梅が同じ日になるとは限りません。
梅酒を仕込む時期としても知られる
入梅の時期には、青梅(あおうめ、おうめ)が出回ります。梅には血液の汚れを除き、体内バランスの乱れを調整するといった効果があるともいわれ、健康が気になる方にも人気の食材です。
フレッシュな青梅を使って、梅酒を仕込むのはいかがでしょうか。入梅に梅酒を仕込むと、8月〜9月には飲めるようになります。より深い味わいを楽しみたいときは、1年以上熟成させるのもおすすめです。
基本の作り方を紹介します。長期間衛生的に保存するためにも、使用するビンは丁寧に消毒しましょう。
1.青梅を洗い、水に8時間ほど浸けてあく抜きをする
2.ざるに入れて水を切り、乾いた布巾やキッチンペーパーでしっかりと水気を拭き取る
3.青梅の軸を竹串で取り除く。実を傷つけないように注意する
4.広口ビンを熱湯で殺菌し、青梅と氷砂糖が10:5~8程度になるように入れる
5.青梅と氷砂糖の合計重量と同量のホワイトリカーを入れる
6.密閉して冷暗所に保存する
入梅の食べ物!入梅いわしのレシピ
入梅の頃に食べたい旬のものとしては、「入梅いわし(にゅうばいいわし)」が挙げられます。入梅いわしとはその名の通り、入梅の頃に水揚げされるマイワシのことで、脂がしっかりとのっておいしいといわれています。
じめじめしがちな入梅の時期を元気に過ごすためにも、入梅いわしを味わってみるのはいかがでしょうか。
いわしには血中コレステロールを低下させるといわれるEPAが豊富に含まれ、健康的な食生活を目指す方にもおすすめの魚です。おいしい入梅いわしを、さらにおいしく食べるレシピを紹介します。
入梅いわしの梅煮
新鮮な入梅いわしを4〜5尾、梅干しを1〜2個だけでつくるシンプルな梅煮です。塩辛いのが苦手な方は、砂糖を少し増やしてください。
1.いわしの頭と内臓を取り除き、丁寧に洗って鍋に重ねずに並べる
2.梅干しと料理酒50ml、水200ml、酢大さじ1、ショウガ1辺を入れ、落し蓋をして弱火にかける
3.沸騰したら、砂糖大さじ2、みりん大さじ1、醤油大さじ2を入れて中火で煮詰める
入梅いわしの新茶煮
入梅いわしを4〜5尾、ごぼう10cmを準備してください。辛いものが苦手な方は、赤唐辛子抜きでつくってもOKです。
1.ごぼうは皮をこそいでおく。4~5枚にスライスする
2.いわしの頭と尾を落とし、3等分にぶつ切りする
3.鍋に緑茶400ml、砂糖大さじ3、みりん大さじ2、醤油小さじ2、塩少々、赤唐辛子1本を入れ、いわしとごぼうを入れて煮立たせる
3.煮立ったら弱火で5分ほどさらに煮る
入梅いわしのから揚げ浸け
脂がたっぷりとのった入梅いわしは、から揚げにしてもおいしく食べられます。
1.ボウルに酢120mlといわしの重量の1%の塩を入れ、しっかりと溶かす
2.入梅いわしの開きを4尾分、一口大に切ってからボウルに入れる
3.10分ほど漬けてから、しっかりと水気を切って片栗粉をまぶして中火で揚げる
入梅いわしの明太子はさみ焼き
いわしは明太子との相性もよく、特有の辛味で食欲がないときでもおいしく食べられます。
1.明太子を2腹、薄皮をとって取り出し、マヨネーズ大さじ2とあわせておく
2.いわしの開き4尾分に、1を1/4ずつはさむ
3.両面グリルで焼く
カビ対策を始めよう
入梅の時期は、カビが生えやすくなる時期です。洗濯物をしっかりと乾かす、生ものを冷蔵庫で保管するといったちょっとしたことでも、カビを予防できます。健康に過ごすためにもカビ対策を始めていきましょう。
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