大寒とは何の日のこと? 意味や時期を解説
大寒(だいかん)とは、暦における大晦日として扱われる日です。春夏秋冬を24分割した「二十四節気(にじゅうしせっき)」の最後の節気にあたり、1年の中でも特に気温が下がる時期とされます。大寒はさらに3分割され、それぞれに呼び方や意味があります。
また、大寒は小寒(しょうかん)とセットにされることが多いため、あわせて覚えておくといいでしょう。ここでは、大寒の意味や時期、小寒との違いなどを解説します。
大寒は1年の最後の節気のこと
大寒は、1年を24分割した二十四節気の最終節にあたる節気です。「特に寒さが厳しい時期」という意味があり、その年の最低気温を記録することも珍しくありません。寒さが強まる大寒の時期を乗り越えると、春の始まりを意味する立春を迎えます。
大寒の時期は、1月20日からの半月間です。日付は毎年同じではなく、国立天文台の観測により、太陽黄経が300度となる瞬間が属する日と定められています。
太陽黄経とは、天球上における太陽の経路を等角に分割した指標です。太陽の動きにより、2022年から2052年までは1月20日が大寒の初日にあたります。
そもそも二十四節気とは?
二十四節気とは、古くから用いられる季節の指標です。旧暦(太陰太陽暦)は月の満ち欠けと太陽の動きを基準にしているため、徐々に季節と月日にズレが生じます。
その結果、かつての中国では、田植えや種まきのベストな時期を逃すこともあったようです。季節と月日のズレによる問題を解消するために、太陽の動きに基づく二十四節気が考案されました。
二十四節気では、1年を春夏秋冬の4つに分類し、さらにそれぞれを6分割します。代表的な節気の種類を見てみましょう。
・立春
・春分
・立夏
・夏至
・立秋
・秋分
・立冬
・冬至 など
中国から日本に伝わった二十四節気には、日本の気候に適していないものもありました。そのため日本では、節分や彼岸などの暦を合わせた「雑節(ざっせつ)」が旧暦として用いられました。
大寒は初侯・次侯・末侯に分かれる
二十四節気には、それぞれの節気を3分割した「七十二侯(しちじゅうにこう)」もあります。節気ごとに初侯・次侯・末侯が割り当てられており、大寒は以下の3つに分けられます。
・初侯:款冬華
・次侯:水沢腹堅
・末侯:鶏始乳
大寒の初日から5日間の侯は、「款冬華(ふきのとうはなさく)」です。款冬(かんとう)は山菜のふきを指しており、地中からふきのとうが顔を出し始める時期を表します。
初侯の次は、「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」が5日間続きます。腹は厚さを表す言葉であり、水沢腹堅は「沢の水が厚く凍るほど寒さが厳しい」という意味です。
七十二侯の最後の侯でもある末侯は、「鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)」です。次侯のあと、1月30日ごろから5日間続きます。乳は産むことを表しており、鶏の産卵の時期を指します。鶏は日照時間が短いうちは産卵しない習性があることから、「冬が終わりに近づく」というたとえとして用いられているのでしょう。
大寒と小寒の違い
小寒とは、大寒と同じく冬にやってくる節気です。小寒の時期は、大寒に入る前の1月5日〜1月19日ごろです。
大寒と小寒を合わせた30日間は、「寒の内(かんのうち)」「寒(かん)」「寒中(かんちゅう)」などと呼ばれます。寒の内の中でも、小寒の初日は「寒の入り(かんのいり)」、大寒の最終日は「寒の明け(かんのあけ)」といいます。
寒の内の冷たい水は「寒の水」と呼ばれ、霊力がこもっている・清らかであるという考え方が浸透していました。また、寒の水は手が切れるほど冷たいことから、雑菌が繁殖しにくく、汲み置きをして料理などに使われていたとされています。
なかでも、味噌や醤油などの仕込みに寒の水を用いると、発酵のスピードがゆっくり進み、味わい深くなると考えられていました。寒の水を使う習慣は現代にも続いており、「寒仕込み」として広まっています。
大寒にまつわる行事や食べ物
大寒を迎えるころには、その時期ならではの行事や旬の食べ物が楽しめます。大寒にまつわる行事や食べ物を取り入れると、季節の移ろいをより身近に感じられるでしょう。ここでは、大寒に行われる行事や旬を迎える食べ物などをご紹介します。
大寒に行われる行事
大寒にまつわる主な行事は以下のとおりです。
・寒垢離(かんごり)
・寒稽古(かんげいこ)
・寒中水泳(かんちゅうすいえい)
・寒中見舞い(かんちゅうみまい)
寒垢離とは、寒の内の1ヶ月間に心身を清めて修行することです。水浴びや滝行など、禊(みそぎ)と呼ばれる儀式を行うこともあります。寒垢離の習慣から、「寒の内に習い事を始めると上達する」という考え方が誕生しました。
寒稽古や寒中水泳は、厳しい寒さの中で鍛錬を重ねることで、心身の向上を図るという考え方に基づく習慣といえます。寒ければ寒いほどよいとされていることから、大寒の早朝に武道などの稽古が行われることは珍しくありません。
稽古や鍛錬にまつわる行事以外には、寒中見舞いが挙げられます。寒中見舞いは季節の便りの一種であり、寒の内に出すのが通例です。相手の健康を気遣う内容のほか、松の内(1月7日)を過ぎた年賀状の返信を送ることもあります。
大寒ごろに旬を迎える食べ物
大寒の時期に旬を迎える食べ物や、季節を感じられる食べ物は以下のとおりです。
・菜の花
・百合根
・恵方巻き
・寒仕込みの酒、醤油、味噌
・大寒卵(大寒の時期に産まれた卵)
・寒餅(寒の水でついた餅) など
菜の花はおひたしやお吸い物で食べるのが一般的です。少しほろ苦く、春の味わいを先取りできるでしょう。百合根は関西で食べられることが多い食べ物で、おせち料理にも用いられます。
また、大寒の最終日は節分にあたるため、恵方巻きを食べるのが習わしです。そのほか、大寒の時期には寒の水を使った食べ物も多く登場します。厳しい寒さでも季節を感じられますが、毎日口にする食べ物にも季節を取り入れてみるといいでしょう。
大寒の時期に咲く花の種類
大寒が始まる1月20日ごろに咲く花の種類には、以下が挙げられます。
・ウメ
・ツバキ
バラ科のウメは、庭木として人気のある品種です。山や公園でウメの花を見ると、春の訪れを感じられるでしょう。品種によって花の色や香り、実のつき方などが異なり、さまざまな変化を楽しめるのも魅力です。
ツバキは古くから日本で親しまれている木のひとつです。冬に活けられる貴重な品種であることから、特に茶道の世界で重宝されてきました。かの有名な千利休もツバキを好んでいたといわれています。
大寒ならではの行事や食べ物を楽しもう
大寒とは、1年を24分割した二十四節気のうち、最後の節気にあたる時期です。小寒と合わせて寒の内とも呼ばれ、1年の中でも冷え込みが厳しいとされています。大寒にまつわる行事には、寒さの中で鍛錬する寒垢離や寒稽古などがあります。年賀状の返信ができていないなら、寒の内に寒中見舞いを出すのがおすすめです。
また、大寒に旬を迎える食べ物や、季節の訪れを知らせる花などもあります。大寒ならではの行事や食べ物を楽しみ、季節の移ろいを味わいましょう。
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