「種種」という言葉を目にして、「どう読むのだろう?」と思う人は多いのではないでしょうか? 日常的に使う機会は少なくても、文書や会話で触れる場面は意外とありますよ。この記事では、「種種」という言葉の読み方や意味、似た言い回しとの違いなどを丁寧に整理していきます。
「種種」の読み方と意味をやさしく整理
「種種」という表記は、簡単な漢字の並びでも読み方に迷うものです。古くは「しゅしゅ」と読んだそうですが…。まずは基本的な読み方と意味をしっかり確認していきましょう。
「種種」の読み方と意味は?
「種種」は「しゅじゅ」と読みます。他にも「くさぐさ」と読むこともあるでしょう。ここでは、「しゅじゅ」の定義を辞書で確認しましょう。
しゅ‐じゅ【種種】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名・形動]《古く「しゅしゅ」とも》数多くの種類があること。また、そのさま。副詞的にも用いる。さまざま。とりどり。いろいろ。「―な(の)やり方」「治療を―試みる」
「しゅじゅ」は日常語としてはやや硬めで、文書や説明文などに用いられることが多い表現です。一方、「くさぐさ」は古語的な響きがあり、和歌や文学などで見かけることの多い読み方でしょう。
どちらも意味は「さまざまな」「多様な」「多彩な」といったニュアンスを持ち、物事が多くの種類にわたる様子を表しています。
なお、「種種」のように同じ漢字を重ねた言葉では、後の文字を「々」で表すことがあります。「種種」は「種々」と表記されることもあり、意味に違いはありません。「々」は同じ漢字を繰り返す記号になります。

「種種様様」と「種種雑多」はどう違う?
「種種様様(しゅじゅさまざま)」は、内容や性質が多岐にわたっていることを表す言葉です。例えば、意見や考え方がそれぞれ異なるといった場面で使われることがあります。物事が幅広く多面的であることに焦点が当てられるのが特徴です。
一方、「種種雑多(しゅじゅざった)」は、さまざまな種類のものが雑然と混ざり合っている状態を表します。秩序よりも混在している印象が強く、整然とはしていない場合に用いられることが多いようです。
どちらも「さまざまなものがある」という点では共通していますが、「様様」は広がりや多様性に重きがあり、「雑多」は混在やまとまりのなさが意識される点で異なります。文脈に応じて使い分けることで、表現に奥行きが生まれますよ。
「種種」を使った具体的例文を紹介
「種種」という言葉を、適切な文脈で使えば、内容に広がりや柔らかさを加えることができます。ここでは実際の例文とともに、使い方のニュアンスを整理してみましょう。
「種種の問題が浮上している」
この例文は、ひとつの原因だけでなく、複数の種類にわたる問題が表面化してきた状況を冷静に伝える言い回しです。ビジネスシーンや報道の文脈で使われることが多く、感情を抑えながら客観的に現状を整理したいときに選ばれます。
「新しいプロジェクトでは、種種のアイデアが飛び交い、活発な議論が続いている」
この例文では、多様な視点や発想が持ち寄られたことで、対話が盛んになっている様子が表現されています。「種種のアイデア」という言い方には、それぞれ異なる背景や立場からの提案が集まっているという柔らかな広がりが感じられますね。

「患者一人一人の症状に合わせて、医師は種種の治療法を慎重に検討していた」
この例文では、医療現場における丁寧な対応や、多様な治療法の存在が読み取れます。「種種の治療法」という言い方には、一律の対応ではなく、一人一人に応じた配慮や工夫が含まれている印象がありますね。
英語ではどう表現される?
「種種」を表す英語表現はいくつかあります。ここでは、日常でも使いやすい2つの言い回しを紹介しましょう。
“all kinds of”
“all kinds of” は、「あらゆる種類の」や「いろいろな」という意味で、カジュアルな場面からフォーマルな文脈まで、幅広く使われています。
例文:She always has all kinds of ideas during meetings.
(彼女はいつも会議で種種のアイデアを出してくれる。)

“a variety of”
“a variety of” は、「さまざまな」「多様な」という意味を持つ言葉で、少し丁寧な印象を与えることができます。
例文:The program includes a variety of topics for different interests.
(そのプログラムには、種種の関心に応じたトピックが含まれています。)
「種種御振舞御書」とは?
「種種御振舞御書(しゅじゅおんふるまいごしょ)」は、日蓮の遺文です。この中で「種種」という言葉が使われていますが、これは日蓮が直面した多様な困難や試練を指していると考えられます。
最後に
「種種」という言葉は、知っているようで意外と説明しづらい表現かもしれません。ただ、言葉の使いどころを知ることで、書き言葉の中に奥行きが加わることもあります。たとえ普段使うことがなくても、どこかで出会ったときに迷わず理解できると、少し安心できるのではないでしょうか。
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