「葭簀」という熟語を見て、何と読むかわかりますか？ 庭先や建物の軒先などで見かけることがあるものです。夏の強い日差しを和らげるための道具として古くから使われ、日本の気候に適した生活の知恵が詰まっています。
この記事では、「葭簀」の読み方を確認し、意味や用途、現代での活用方法について見ていきましょう。
「葭簀」の読み方と意味を確認
まずは、「葭簀」の読み方を確認していきましょう。
「葭簀」の読み方と意味は？
「葭簀」は「よしず」と読みます。辞書での定義を確認していきましょう。
よし‐ず【×葦×簀／×葭×簀】
引用：『デジタル大辞泉』（小学館）
ヨシの茎を編んで作った簀（す）。よしすだれ。人目や日ざしをさえぎるのに使う。《季 夏》「影となりて茶屋の―の中にをる／誓子」
「葭簀」は、「葦簀」とも表記し、主に日よけや風よけのために用いられ、夏の暑さ対策として昔から活躍してきました。
ヨシの茎を編んで作った簀のことです。ちなみに、ヨシとは植物アシの別名です。「悪し（あし）」に通じるのを忌み、「善し（よし）」にちなんだ呼称となりました。
「葭簀張り」とは？
「葭簀張り（よしずばり）」とは、葭簀を張り巡らせて囲うこと。また、そのように囲った家屋のことを指します。
「葭簀茶屋」とは？
「葭簀茶屋（よしずぢゃや）」とは、葭簀張りされた、簡素な茶屋のことを指します。
参考：『日本国語大辞典』
「葭簀」と「簾（すだれ）」の違い
「葭簀」に似たようなものとして「簾（すだれ）」が挙げられますが、両者には違いがあります。どのような違いがあるのか、見ていきましょう。
簾とは？
まずは、「簾」の定義を辞書で確認しましょう。
す‐だれ【×簾】
引用：『デジタル大辞泉』（小学館）
１ 《「簀垂（すだ）れ」の意》細く割った竹やアシなどを横に並べ、糸で編み連ねたもの。部屋の隔てや日よけ・目隠しなどに掛けて垂らす。す。《季 夏》「二つ吊（つ）りし―の透間花柘榴（ざくろ）／虚子」
２ せいろうなどの底に敷いたり、海苔巻（のりま）きなどの巻き物料理に使う簀。
簾は、細い竹やアシなどを横に並べて糸で編み連ねたもので、部屋を隔たり、日よけや目隠しなどのために掛けて垂らします。
葭簀との違いは？
簾と葭簀は、どちらも天然素材を用いた伝統的な日よけですが、主な素材や構造に違いがあります。
簾は、主に細く割った「竹」を素材とし、糸や紐で横方向に並べ、糸で編み連ねています。一般的に部屋の隔てとして吊るして使用し、風通しを確保しながら直射日光を和らげます。
一方、葭簀は「アシ」を主な材料とし、長いまま縦方向に並べて作られます。地面に立て掛けて使うため、日差しを遮る面積が広く、夏場の暑さ対策に適しています。
「葭簀」の現代での活用方法
近年、葭簀は自然を活かしたエコな暮らしの一環として注目され、特に夏場の省エネ対策に取り入れられることが増えています。
葭簀を使った涼しい暮らし
エアコンに頼らず涼を取る方法として、葭簀を窓の外に立てかけると、直射日光を遮りながら風を通す効果が期待できます。これにより、室温の上昇を抑えつつ、自然な涼しさを確保できるため、電気代の節約にもつながりますよ。庭やベランダに設置すれば、日陰を作り出し、植物の乾燥を防ぐ効果もあります。
最後に
葭簀は、日本の風土に根ざした伝統的な道具の一つです。単なる日よけとしてだけでなく、風を通しながら快適な空間を作る役割も担っています。現代でも、エコで快適な生活のために活用できるアイテムとして注目されていますよ。この記事を参考に、葭簀の魅力を暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。
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