「沖醤蝦」という言葉を見たことがありますか? 知らないと、何と読むか予測が難しいところですが、クジラの大好物だというと、「わかった!」という方も出てくるのでは? この記事では、「沖醤蝦」の読み方や特徴、「蝦醤」との違いについて解説します。
「沖醤蝦」とは? 読み方と特徴を紹介
まずは気になる「沖醤蝦」の読み方から確認していきましょう。

「沖醤蝦」の読み方と辞書での定義
「沖醤蝦」は「おきあみ」と読みます。辞書での定義を見ていきましょう。
おき‐あみ【沖醤=蝦】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
甲殻綱オキアミ目の節足動物の総称。エビに似るが、えらが露出していることなどが異なる。体長1~5センチ。ナンキョクオキアミなどがあり、プランクトンとして世界の海洋に広く分布し、魚類やヒゲクジラの餌として重要。人間の食用資源としても見直されている。
「沖醤蝦」とは、甲殻綱オキアミ目の節足動物の総称で、プランクトンとして世界の海に広く分布しています。ヒゲクジラの主要な餌料で、釣りの寄せ餌としても使われていますよ。
近年は、重要なタンパク源として漁獲されています。
ちなみにノルウェー語では、「クリル」と呼ばれています。英語表記するときも“krill”と表記しますよ。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)

「沖醤蝦」の特徴
沖醤蝦は、日本近海では9属45種が確認されています。体長は種によって異なりますが、一般的に1〜5センチメートルほど。エビによく似た形をしていますが、胸脚の構造や呼吸器官の形態などに違いがあります。特に、胸脚が内外両枝に分かれ、樹枝状のえらが頭胸甲に覆われず裸出している点が特徴です。
沖醤蝦の多くは、通常200〜500メートルの深海で生活していますが、夜間になると海面近くに浮上する「日周鉛直移動」を行います。この行動により、多くの魚類やヒゲクジラ類、海鳥類にとって重要な餌となっているのです。
宮城県女川(おながわ)周辺では、春に沿岸に浮上するツノナシオキアミを対象とした漁が行われ、数万トン規模で漁獲されています。釣り餌としての用途が広く知られていますが、家畜や養殖魚類の飼料としても利用され、近年では人の食用資源としても注目されていますよ。
特に、南極海に生息するナンキョクオキアミは、その豊富な資源量から食料としての利用が期待されており、日本の漁船による漁獲も行われています。ただし、持続可能な漁業の観点から、環境や生態系に配慮した予防的漁獲制限が設けられていますよ。
参考:『日本大百科全書』(小学館)
「沖醤蝦」と「蝦醤」の違いは?
「沖醤蝦」に似た表記の漢字として、「蝦醤」が挙げられます。「蝦醤」は「かしょう」もしくは「シャチャン」と読み、蝦油(シャーユー)をとった残りの沈殿した毛蝦(マオシャ)でつくった醤 (ひしお)のことです。主に中国料理や東南アジアの料理などで使われる調味料のことを指します。
「沖醤蝦」とは読み方も意味もまったく異なるので、区別して覚えておきたいですね。
参考:『日本大百科全書』(小学館)

最後に
なかなか難しい「沖醤蝦」の読み方、覚えていただけたでしょうか? 食用としても期待されていることには、驚きました。どんな味わいなのか、気になるところですね。
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