「四阿」という熟語を見たことがあっても、正しく読める人は少ないかもしれません。登山や庭園、建築に関わる場面で使われることが多く、山の名前にもなっています。この記事では、「四阿」の読み方や意味、類語について紹介していきましょう。
「四阿」とは? 読み方・意味・由来を解説
「四阿」の気になる読み方を確認し、意味や由来を見ていきましょう。
「四阿」の読み方と意味
「四阿」は「あずまや」もしくは「しあ」と読みます。ここでは「あずまや」の定義を紹介していきましょう。
あずま‐や〔あづま‐〕【▽東屋/四=阿/阿=舎】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
一
1 庭園などに設けた四方の柱と屋根だけの休息所。亭(ちん)。→ガゼボ
2 寄せ棟造りの建物のこと。→真屋(まや)
二
・催馬楽(さいばら)の曲名。
・東屋)源氏物語第50巻の巻名。薫大将、26歳。左近少将との婚約に失敗した浮舟に、薫と匂宮の二人が思慕の情を燃やす。
「四阿(あずまや)」は、「東屋」とも書き、庭園や公園内に設けられた小さな建物を指します。休憩や景観を楽しむための空間として利用されますよ。

「四阿」の語源は?
「四阿」の語源には、諸説存在します。ここでは2つを紹介しましょう。
1つ目の説は、辺鄙屋(あづまや)の意味。かつて「東(あづま)」は、都から見て遠い東国を指し、「田舎」や「辺鄙な場所」を意味する言葉として使われていました。そのため、「あづまや」は辺鄙な場所にある簡素な建物を指すようになったと考えられています。
2つ目の説は、開端屋(あけつまや)の意味を表しているというものがあります。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)
「四阿山」と「四阿屋山」とは? それぞれの魅力を紹介
「四阿山(あずまやさん)」と「四阿屋山(あずまやさん)」を見聞きしたことはありますか? ここでは、それぞれの山について紹介していきましょう。
「四阿山」とは?
「四阿山」は、群馬県と長野県にまたがる標高2,354mの山です。山容が屋根の形に似ているので、この名前がついたといわれています。
大部分は広大な牧場で、夏には牛が放牧されていますよ。高原野菜の特産地でもあり、夏と冬のスポーツ・リゾート地としても有名です。
参考:『日本大百科全書』(小学館)、『世界大百科事典』(平凡社)

「四阿屋山」とは?
「四阿屋山」は、長野県東筑摩郡にある標高1,387mの山です。頂上にはブナの樹林があり、四阿権現が祀られていますよ。
また、古来信仰の山として雨乞いの行事があり、山上や飯綱権現等も祀られているそうです。
参考:『日本歴史地名大系』(平凡社)
「四阿」の類語・言い換え表現は?
「四阿(あずまや)」と同じような意味を持つ言葉はいくつかあります。場面に応じて適切な言葉を選ぶといいでしょう。

小亭(しょうてい)
規模の小さな四阿を指します。庭園や公園などに設けられ、休憩や景観を楽しむために利用されます。
例文:「公園の小亭で本を読んだ。」
亭(ちん)
高台や庭園の中に設けられる小さな建物を指します。眺望を楽しむためや、旅人が休憩する目的で作られることが多いです。
例文:「登山道の途中にある亭で小休止した」
最後に
「四阿」という言葉は、公園や庭園の休憩所を指すだけでなく、山の名前としても使われていました。日本の風景に溶け込む「四阿」の背景を知ることで、より深く楽しめるでしょう。
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