「木乃伊」は何と読むか知っていますか? この言葉には、不思議な響きと奥深い歴史が詰まっています。そこで、この記事では、読み方を説明し、「木乃伊」にまつわる様々なテーマを分かりやすく掘り下げていきますよ。新しい発見がきっとあるはずです。
「木乃伊」とは? 読み方と意味、語源と歴史に迫る
「木乃伊」という難読漢字には、深い歴史と興味深い背景があります。まずは読み方と意味を確認し、その語源についても迫ってみましょう。
「木乃伊」の読み方と意味とは?
「木乃伊」は「ミイラ」と読みます。この言葉の意味を辞書で調べると、次のように定義されていますよ。
ミイラ【ポルトガルmirra】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
人間や動物の死体が腐敗せずに原形に近い状態を保っているもの。土地や空気の乾燥・寒冷などによる天然のものと、宗教上の理由から遺体の保存を望み、種々の防腐・保存処置を施して作る人工のものとがある。エジプトをはじめ世界各地にみられる。
[補説]「木乃伊」とも書く。「木乃伊」は、オランダ mummieの漢訳で、没薬の意。
「木乃伊」の語源と背景
「木乃伊」は、オランダ語“mummie”の漢訳から生まれた言葉です。“mummie”は「没薬」を意味します。「没薬」とは、古代エジプトなどで防腐処理に使用され、遺体保存に大きな役割を果たしました。
「木乃伊」という表記は日本に伝わり、後に「ミイラ」という音として定着しました。語源を知ると、「木乃伊」が単なる難読漢字ではなく、歴史的背景を持つ言葉であることがわかりますね。
落語「木乃伊取り」の魅力と背景
古典落語「木乃伊取り(みいらとり)」は、ユーモアと教訓を兼ね備えた演目として知られています。四代目三遊亭圓生が得意としていましたよ。単なる笑い話にとどまらず、人間の行動や心理を鋭く描いた物語です。
「木乃伊取り」とはどんな落語?
「木乃伊取り」は、目的を追い求めるうちに、その目的を見失う人間の姿を風刺的に描いています。この話の背景には、「木乃伊取りが木乃伊になる」という故事成語の影響が見られますよ。
「木乃伊取りが木乃伊になる」は、他人を助けるために関わった結果、自分も同じ状況に陥ることを意味します。物語の中で描かれる愚かさや人情味は、当時の生活や価値観を反映したものでもありますよ。
現代における「木乃伊取り」の面白さとは?
この落語が持つテーマは、時代を超えて普遍的です。例えば、現代社会では、仕事や人間関係において、最初の目標を忘れてしまうことがしばしばあります。「木乃伊取り」の物語を通じて、そうした状況を振り返るきっかけが得られるかもしれません。
また、軽妙な語り口と共に教訓を感じ取れる点が、現代の観客にも新鮮な視点を提供してくれるでしょう。
「木乃伊化」とは?
「木乃伊化」という言葉を聞いたことは、ありますか? これは、死体や生体の一部が乾燥してミイラのようになる現象のことを指します。具体的には、壊死(えし)した組織の水分が蒸発し、乾燥した状態になることを意味しますよ。
生体においては、特に四肢末端の血液循環が滞った場合に見られることが多いです。
文学作品と「木乃伊」
「木乃伊」というテーマは、文学作品においても多くの作家によって扱われてきました。ここでは2作品を紹介しましょう。
中島敦の『木乃伊』とはどんな作品か?
中島敦(なかじま・あつし)の『木乃伊』は、歴史的な舞台を背景に、人間の記憶や魂の輪廻、自己認識の神秘を描いた短編小説です。古代ペルシアの軍人パリスカスが、エジプト遠征中に経験する不思議な体験を通じて、彼の過去生や魂の記憶が次第に解き明かされます。
物語の中心にあるのは、「木乃伊」との出会い。この木乃伊をきっかけに、彼は自らがその身体に宿っていた過去を悟り、さらには輪廻の無限連鎖の恐怖に直面します。
中島敦は、この作品で個人の存在を超えた壮大な時間の流れや、歴史の中で繰り返される人間の営みを問いかけているのではないでしょうか? また、古代エジプトの神秘的な文化や象徴的な風景を巧みに取り入れることで、読者を異世界へと誘います。
『木乃伊』は、単なる奇譚ではなく、人間存在の根源に迫る哲学的なテーマを秘めた作品だといえるでしょう。
田村俊子の『木乃伊の口紅』とはどんな作品か?
『木乃伊の口紅』は、大正2年(1913)に『中央公論』誌で発表された田村俊子(たむら・としこ)の中編小説です。この作品は、当時の社会における女性の地位や生き方に焦点を当てているといえます。物語は、女性の内面に潜む欲望や自己矛盾、そして社会の中での孤独を象徴的に描いており、読者に強い印象を与えました。
作品のタイトル『木乃伊の口紅』が示す通り、木乃伊という死と静止を象徴する存在に「口紅」という生命や女性性の象徴を重ねることで、生と死、静と動、伝統と近代という対照的なテーマが織り込まれています。
この作品は、著者自身とその夫・田村松魚(しょうぎょ)をモデルにした物語としている点にも注目です。
最後に
「木乃伊」という言葉は、歴史、科学、文学、エンターテインメントなど、さまざまな視点を秘めています。この機会に、難読漢字や日本文化への興味をさらに広げてみませんか? 多様なテーマの中で、きっと新たな発見や楽しさが見つかるはずです。
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