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状況別・相手別に「幸いです」を丁寧に言い換えるには?

「幸いです」だけでも丁寧な印象を与えますが、シチュエーションによっては別の言い方を選んだほうがさらに丁寧な印象を与えられる場面もあります。
例文を用いながら確認していきましょう。
♦︎相手が目上の人や取引先のケース
目上の人や取引先への依頼で「幸いです」を使って問題はないものの、さらにフォーマルな言い回しを用いたかったり恐縮していることを伝えたかったりする場合には、次のような言い換えができます。
「ありがたく存じます」
「幸いです」よりもフォーマルで丁寧な印象を与えます。
「恐れ入ります」
相手に対する申し訳なさや恐縮する気持ちを表せます。
〈例文〉
「お時間をいただけますと幸いです」を「お時間をいただけますとありがたく存じます」や「お時間をいただくこととなり恐れ入ります」などと使います。
♦︎よりカジュアルな関係性のケース
同僚や親しい仲間などに「幸いです」を使うと、堅苦しい印象を強めてしまう場合もあります。
普段からカジュアルな会話をしている仲ながらも敬語を用いて「幸いです」という趣旨を伝えるならば、次の言い換えが適切でしょう。
「助かります」
相手からの具体的な支援や対応に感謝を込める言葉です。
〈例文〉
「お時間をいただけますと幸いです」を「お時間をいだだけますと助かります」と言い換えができます。
♦︎フォーマルな表現が必要なケース
公的な書面や手紙、重要かつ形式が重んじられるビジネスメールなどでは「幸いです」では軽い印象を与えがちです。このようなケースでは、次の言い換えが適切でしょう。
「ご対応いただければ幸甚に存じます」
「幸いです」よりもさらに丁寧かつ形式ばった印象を強める言い換えです。
〈例文〉
「お時間をいただけますと助かります」は「お時間をいただけますと幸甚に存じます」と、言い換えられます。
状況別にビジネスシーンで言い換えるバリエーション

ビジネスシーンでは状況に応じて適切な言い換えができると、コミュニケーション上手への近道です。
相手との関係性や場面に応じて使える「幸いです」に代わる表現のバリエーションを押さえておきましょう。
♦︎フォーマルさを残しながら柔らかさも出したいとき
フォーマルな雰囲気は残しながらも、文章に柔らかさを出したいときには「~していただけるとありがたいです」と言い換えるといいでしょう。
ビジネスシーンでも使いやすい言い回しで「幸いです」と比べるとソフトな表現です。
♦︎やや砕けた印象で親近感を出したいとき
ビジネス上のコミュニケーションであっても、堅苦しすぎるやり取りではなくやや砕けた印象を出しながら親近感を表現したいときには「~していただけると嬉しいです」と言い換えることもできます。
「幸いです」と比べるとカジュアルな印象が強まりますが、丁寧な印象は出しつつも優しい文章になるでしょう。
♦︎あえて断定を避けたいとき
断定口調のメールは、ときに高圧的な印象を与えがちです。「幸いです」は言葉の意味としては高圧的ではないものの、前後の脈絡やシチュエーションによっては強い口調だと受け取られる場合もあります。
そのようなシーンでは「~していただければと思います」と相手の判断に委ねるような言い回しを選び、こちらからの断定は避けることで、柔らかな表現になります。
「幸いです」を用いるのが不適切な場面

「幸いです」は状況によっては適切な表現ではありません。
ビジネスシーンにおいて、なるべくなら「幸いです」を使わないほうがいい場面を解説します。
♦︎感謝を伝えたい場面
相手が何かをしてくれたことに対して感謝を示すときには「幸いです」は使いません。
たとえば、ビジネスシーンに相応しい表現を使おうと無理をして「ご協力いただき、幸いです」と書いてしまうと、言いたいことは伝わるもののこちらの依頼や希望を表す表現であることから不適切な用法です。
この場合はシンプルに「ご協力いただき、ありがとうございます」と伝えるほうがスマートでしょう。
♦︎公の挨拶やスピーチ
会社のパーティーなど公の場での挨拶やスピーチで「幸いです」は使いにくい言葉です。
たとえば、多くの人が集まってくれたことに対して「本日はお集まりいただき、幸いです」という言い方をすると、違和感のある文章になってしまいます。
「幸いです」は話す側の個人的な気持ちを表す表現ですので、公の挨拶やスピーチではより格式の高い言い回しを用いたほうが確実でしょう。
例文のような場面では「本日はご多忙のところ、お集まりいただき誠にありがとうございます」と伝えるほうがスマートです。
♦︎相手の意向を尊重するべき場面
相手の意向を尊重しなくてはならないシーンで「幸いです」を使うと、一方的に強制をしているような印象を与えます。
たとえば「この条件でご了承いただけますと幸いです」などと伝えれば、相手は「了承するように強要されている」と感じても無理はありません。
自分の希望を押しつけるような印象を与えてしまいそうなシチュエーションでは「この条件でご了承いただければと思いますが、いかがでしょうか」などと、相手の意向を尊重しているのがわかる一文を添えるといいでしょう。
「幸いです」を言い換えてコミュニケーション美人に
「幸いです」はビジネスシーンで頻繁に使われる表現ですし、丁寧かつビジネスシーンに適している言い回しでもあります。
しかし相手との関係性や状況、そのときの話題によっては高圧的で一方的な印象を強めてしまう場合もあります。
「幸いです」の言い換えにはバリエーションがたくさんあるので、場面や状況に応じて言い換えられるようにしておくとコミュニケーション美人への近道です。
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並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。