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「お世話になります」の基本的な意味とは
「お世話になります」は「世話になる」を丁寧に言い換えた言葉です。基本的には、相手に何かしらの助けを受けていたりビジネス上の連携をしていたりすることへ挨拶としての意味があります。
日頃からお世話を受けていることに対する感謝の気持ちを示すフレーズとも言えるでしょう。
似た表現に「お世話になっております」があり「お世話になります」とは、微妙にニュアンスが異なります。前者は現在進行形で関係がある相手にしか使いにくいフレーズですが、後者はこれからお世話になる予定、つまり初対面の相手にも使いやすい表現です。
「お世話になります」は初対面にも使える? 典型的な使用シーン4選

「お世話になります」を使う場面は、思っているよりも限定的です。
典型的なシーンを4つ解説します。
♦︎ビジネスシーンでの挨拶
取引先や顧客、仕事上の関係者に対して「お世話になります」と伝えるのは、もっとも一般的な使い方です。
たとえば、電話口で「いつもお世話になっております。○○社の△△です」と挨拶をしながら名乗ったり、メールの冒頭に「お世話になっております。○○株式会社の△△です」と記したりします。
「お世話になっております」は現在進行形で使われるのが一般的で、継続してやり取りのある相手に使うシーンが多いものの、“これからお世話になる”という意味もあるためTPOに応じて初対面でも使えます。
♦︎習い事や病院での最初の挨拶
新しく通い始める習い事や、新しく通院する病院に対して「今日からお世話になります」という意味合いで「お世話になります」を使うこともあります。
この場合は現在進行形ではなく、これから関係が続いていくであろう相手に対する挨拶としての意味があります。
♦︎引っ越し先での挨拶
引っ越しをした際の近隣への挨拶でも「お世話になります」を使います。
「このたび隣に引っ越してきました○○です。これからお世話になります」など、これから続いていくであろう関係に対する挨拶としての意味が強いでしょう。
♦︎宿泊先や旅先での挨拶
旅館にチェックインするシーンや、旅先で施設に入ったときなどにも「お世話になります」と使うことがあります。
宿泊先や訪れた施設でこれからお世話になることに対する挨拶として「お世話になります。よろしくお願いします」などと言う場合が多いでしょう。
「お世話になります」を使わないほうがいいシチュエーション

いつもの習慣でつい「お世話になります」と言いたくなるものの、実は使わないほうがいいシチュエーションを見ていきましょう。
♦︎家族またはすでに親しい関係にある友人への挨拶
家族やいつも会っている親しい間柄にある友人に「お世話になります」を使うと、フォーマルな表現すぎて違和感のあるコミュニケーションになりがちです。
「お母さん、お世話になります」と言えば、唐突に何を言い出すのかと驚かれかねません。いつも顔を合わせている家族や頻繁に会っている親しい友人には「いつもありがとう」や「これからもよろしくね」などのカジュアルな表現が好ましいでしょう。
なお、相手が親しい友人であってもしばらく疎遠になっていた関係であれば、改めて関係を構築していくというニュアンスで「お世話になります」を使っても違和感が少ない場合もあります。
♦︎同じ日の会話内で過剰に繰り返す
相手に何かを営業したり依頼したりするときに「お世話になります」を連呼すると、不自然な印象を与えるだけでなく「あなたは私のお世話をしてください」的なニュアンスの“圧”をかけているようにも受け取られかねません。「お世話になります。契約について話しましょう」や「お世話になります。そろそろ検討してもらえますか?」などと連呼してしまえば、高圧的な姿勢だと感じさせてしまっても無理はありません。
言葉としては丁寧でフォーマルな表現ですが、同じシーンや同じ日の会話では多用しすぎないように気をつけましょう。
♦︎一方的なお願いをする場面
こちらから相手に対して何かのお願いをするときに「よろしくお願いいたします」の代わりとして「お世話になります」を加えてしまうと、無理強いをしているような違和感を感じさせかねません。
たとえば「お世話になります。これ、お願いします」と言えば、上から目線で指示を出しているようにも受け取られかねず「恐れ入りますが、こちらをお願いしてもよろしいでしょうか」などと伝えたほうが丁寧です。
「お世話になります」の言い換え表現

ビジネスシーンやフォーマルな場面で使う「お世話になります」は、場面に応じて別の言葉に言い換えたほうがいい場合もあります。
状況に応じて言い換え表現を使い分けていきましょう。
♦︎「お力添えをいただきありがとうございます」
「お世話になります」では軽すぎると感じる相手や場面では「お力添えをいただきありがとうございます」と言い換えると丁寧です。
相手からの支援や協力を示す表現で、取引先や連携先などに感謝とお礼を伝えられる言い回しです。
目上の人に対しても使えます。
♦︎「平素よりお引き立てをいただき(or賜り)、誠にありがとうございます」
「平素よりお引き立てをいただき(or賜り)、誠にありがとうございます」や「平素は格別のお引き立てをいただき、ありがとうございます」は「お世話になります」と似た意味をもつフレーズです。
これらのフレーズは「お世話になります」と比べるとフォーマルで硬い挨拶になりますが、長期的な関係があるビジネス相手に使う一般的な表現です。
フォーマルな文書やメールでは「お世話になります」だとカジュアルすぎる印象を与えるため、このようなフレーズに言い換えるといいでしょう。
♦︎「本日はよろしくお願いいたします」
「お世話になります」は「お世話になっております」とは異なり、現在進行形ではなくても使える表現です。しかし初対面または関係性が浅い相手に対して「お世話になります」では軽いと感じるときには「本日は、よろしくお願いいたします」と言い換えるとスマートです。
「お世話になります」は適切な言い換えも必要なフレーズ
「お世話になります」は、ビジネスシーンで気軽に使いやすい便利なフレーズです。しかし相手や場面によっては不自然な印象が際立ち、強い違和感のあるコミュニケーションにもなりかねないため、TPOに応じて言い換える必要があるでしょう。
日頃の「感謝」と「お礼」を伝える別のフレーズもいくつか心得ておくと、どんな場面でも自然で丁寧なコミュニケーションをとりやすくなります。
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並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。