日々の生活の中で、前向きな気持ちになる言葉をかけられるとうれしいものですよね。「鼓舞」という言葉は、そうした場面で使われるます。しかし、「鼓舞」という言葉の正しい意味や使い方を理解しているでしょうか?
この記事では、「鼓舞」の意味や由来、使い方について見ていきます。
「鼓舞」の意味や由来、「激励」との違いは?
「鼓舞」という言葉の意味を理解することで、より適切に活用できるようになりますよ。読み方と意味から見ていきましょう。
「鼓舞」の読み方と意味とは?
「鼓舞」は「こぶ」と読みます。意味を辞書で確認しましょう。
こ‐ぶ【鼓舞】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名](スル)《鼓(つづみ)を打ち、舞(まい)をまう意から》大いに励まし気持ちを奮いたたせること。勢いづけること。鼓吹(こすい)。「士気を―する」
「鼓舞」は、人のやる気や自信を引き出し、前向きな行動を促すときに使われます。例えば、リーダーがチームを奮い立たせたり、友人が背中を押してくれたりする場面でよく使われるでしょう。
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「鼓舞」の由来は?
「鼓舞」という言葉は、もともと鼓(つづみ)を打って、舞を踊ることを意味していました。この動作が、人の気持ちを高め、意欲を引き出すことにつながることから、「大いに励まし奮い立たせる」という意味で使われるようになったとされています。
「鼓舞」と「激励」の違いは?
「鼓舞」と似た表現に「激励(げきれい)」があります。「激励」の意味も辞書で確認しましょう。
げき‐れい【激励】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名](スル)はげまして、奮い立たせること。「選手団を―する」「𠮟咤―」
「励まし、奮い立たせる」という意味では、ほとんど同じであり、類語だといえます。ニュアンスの違いを挙げるなら、「鼓舞」は気持ちを高めたり、勢いをつけることに重点が置かれます。一方、「激励」は力強く励まし、奮い立たせることが主な目的とされるでしょう。
そのため、「鼓舞」は前向きな雰囲気をつくるとき、「激励」は具体的な言葉や行動で応援するときに使われることが多いかもしれません。
「鼓舞」の使い方と具体的な例文
「鼓舞」は、ビジネスやスポーツ、日常会話など、さまざまな場面で使われます。どのような状況で使われるのか、例文を通じて見ていきましょう。
「上司は、社員の士気を鼓舞するために前向きな言葉をかけた」
ビジネスにおいて、リーダーは周囲の意欲を引き出し、前向きな雰囲気をつくることが求められます。この例文では、上司の言葉が、社員のやる気やモチベーションを高める様子を「鼓舞」を使って表していますよ。
「応援団の力強い声が、選手たちを鼓舞した」
スポーツの試合では、観客の声援や応援団の掛け声が、選手の気持ちを奮い立たせることがありますよね。ここでは、周囲の声援によって選手たちの士気が高まる様子が表現されています。「鼓舞する」は、このように誰かを励まし、勢いをつける場面で使われることが多いでしょう。
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「彼のスピーチは、多くの人々を鼓舞し、前向きな気持ちにさせた」
説得力のあるスピーチやメッセージは、人の気持ちを大きく動かすことがあります。ここでは、話し手の言葉が人々に影響を与え、前向きな行動を促す様子が表現されていますよ。「鼓舞」は、単なる励ましではなく、相手にエネルギーを与え、行動を後押しする場面で使われることが多いでしょう。
「力強い演説に鼓舞され、多くの人が行動を起こした」
心に響く演説が、人々の気持ちを高め、実際の行動へとつながる場面を表しています。言葉の力が周囲に影響を与える状況で使われる表現です。
「鼓舞」の類語や言い換え表現
言葉の使い方を広げるには、類語を知ることが役立ちます。場面に応じて適切な表現を選ぶことで、より自然に気持ちを伝えられるでしょう。
奮い立たせる
気持ちを強く持ち、行動を起こすよう促す表現です。「鼓舞」と同様に、精神的な力を引き出し、自信を持たせるような場面で使われることが多いでしょう。特に、大事な場面で人を勇気づけるときに適した言葉です。
励ます
落ち込んでいる人を元気づけるときに使われる表現です。「鼓舞」は勢いをつける意味がありますが、「励ます」は寄り添いながら支えるニュアンスがあるといえるでしょう。例えば、努力を続ける人や、困難に直面している人を優しく後押しする場面でよく使われます。
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活気づける
集団の雰囲気を明るくし、勢いを持たせる場面で使われる言葉です。特に、ビジネスやチーム活動において、組織全体のモチベーションを高めるときに適しています。「鼓舞」が個人にも使われるのに対し、「活気づける」は組織やグループのエネルギーを高めるときに使われることが多いでしょう。
「鼓舞」を英語で表現すると?
「鼓舞する」を英語で表現するなら、“encourage”や“inspire”が使えます。“encourage”は、相手を励ましてやる気を引き出す表現です。“inspire”は、相手の気持ちに影響を与え、行動を促す意味合いを持ちます。
以下に例文を紹介しましょう。
“The coach encouraged his players before the match.”
(コーチは、試合前に選手を鼓舞した。)
“Her speech inspired many people to take action. ”
(彼女のスピーチは多くの人々を鼓舞し、行動を促した。)
最後に
「鼓舞」は、相手の気持ちを前向きにし、やる気を引き出す言葉です。日常会話だけでなく、ビジネスやスポーツの場面でも頻繁に使われます。正しく理解し、適切に使うことで、より効果的な表現ができるかもしれませんよ。
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