頭のいい人がやっていることって?
IQの高い人たちや、世界で評価され、活躍しているビジネスパーソンなど、世界のさまざまな「頭のいい人」の姿を見てきたという脳科学者の中野信子先生。
このような経験を経てきて、中野先生が強く思ったことは、逆境も自分の味方にして、したたかに生き抜いていくのが、「世界で通用する、本当に賢い人の要件」だということだそう。
今回は「頭のいい人」たちがやっている習慣術について、『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』(アスコム刊)の著者でもある中野先生にお伺いしてみました。
決まった儀式を行う。勉強や仕事の前に、集中力が高まる動作をする
◆勉強や仕事の前にする儀式を決めておく
勉強するときに、いきなり始めても、なかなか調子が出ない…、ということも少なくないでしょう。
そんなときは、自分なりの簡単な「儀式」を行ってから、勉強を始めてみてください。この「儀式」を行うことによって、脳が勉強のための準備を始めるので、自然に効率が上がります。この儀式というのは、「やりたくないな…」という気持ちを心から追い払うための工夫なのです。
私の場合は、勉強や仕事(原稿を書くなど)の前に、サイフォンで美味しいコーヒーをいれることにしています。気分によっては、濃い目の紅茶にすることもあります。カフェインは目を覚ましてくれるし、適度にやる気を刺激してくれる効果があるからです。
また、ちょっと手間をかけてこうした準備をすることも、実は大事なことです。ズルズルとニュースサイトを見続けてしまったり、あまり緊急でないメールのやりとりに時間を取られてしまうことをシャットアウトできますから。気持ちもリフレッシュできて、「さあ、やろう!」という心を整えられます。
◆5分だけ集中することでその後に何時間もできることも
芸能人初のMENSA(IQで上位2%に入る人だけのクラブ)メンバーとなったお笑い芸人・ロザンの宇治原史規さんに、テレビ収録の際にお会いしたことがあります(彼がMENSAのメンバーとなった試験に私も立ち会いました)。彼もやはり、京大受験生であった時代に、勉強を始める前の工夫をされていたようでした。
宇治原さんがやっていたのは、勉強机の整理整頓。つまり、勉強に関係ないモノを机の上から取り除くということ。ノート、参考書、問題集、時計、筆箱などを、決まったポジションにまず置くのです。
決まった儀式を行うと、「これから勉強が始まるぞ」ということが脳に伝わります。勉強を始めるためのスイッチをONにするんですね。
しかし、「儀式」を行っても、どうしてもやる気が出ないときもあるかもしれません。そんなときは、どういう工夫をしたらいいのでしょうか。
まず、ちょっとだけガマンして、5分間だけ集中してやってみることです。たった5分間だけ、ガマンして勉強や仕事を続けてみましょう。そうすると、脳は勝手に勉強モードや仕事モードに入ってくれて、そのまま30分でも1時間でも勉強や仕事を続けていくことができるのです。
人間というのは、勉強や作業など、面倒なことに対して、最初はやる気が起きないもの。それでも一度始めてしまうと、意外にすんなりと進めることができる性質を持っています。つまり、勉強を始める瞬間の、「やる気が起きない」気持ちを取り払うことが、一番大事なのです。
とはいっても、それでも勉強や仕事のモードに入れないこともあります。そのときは、自分でも気づかないような疲労が溜まっている場合がありますから、あきらめて少し横になったりしましょう。休むことが必要なときもありますから。
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さらに詳しい「頭のいい人」たちがやっている習慣術は、中野信子先生の『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』(アスコム刊)で紹介されています。
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脳科学者、医学博士、認知科学者 中野信子
1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行う。科学の視点から人間社会で起こりうる現象及び人物を読み解く語り口に定評がある。現在、東日本国際大学教授。著書に『世界で活躍する脳科学者が教える! 世界で通用する人がいつもやっていること』『脳はなんで気持ちいいことをやめられないの?』(アスコム)、『サイコパス』『不倫』(文藝春秋)、『シャーデンフロイデ』(幻冬舎)、『キレる!』(小学館)など多数。また、テレビコメンテーターとしても活躍中。