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「愁眉を開く」の意味とは
「愁眉を開く(しゅうびをひらく)」は、人が安堵するさまを表した言葉です。心配事から解放され、ほっとしている様子を意味します。
そもそも「愁眉」とは、心配そうな顔つきのことです。心配事や考え事があると、眉は自然と中央により、しかめた顔つきになってしまうでしょう。
心配事が解消すれば、悩みを抱えていた顔つきがリラックスした表情へと変わります。「愁眉を開く」は「愁眉」と「開く」を組み合わせ、その様子を言い表しているのです。
愁眉(しゅうび)を開(ひら)・く
出典:小学館 デジタル大辞泉
心配がなくなって、ほっとした顔つきになる。「無事下山の報に—・く」
「愁眉を開く」の使い方
「愁眉を開く」は、日常生活からビジネスシーンまで、さまざまな場面で活用できる言葉です。不安から解放され安堵するような場面では、以下のように活用してみましょう。
- 台風で運休になっていた路線が再開となり、これで打ち合わせに遅れずに済むと愁眉を開いた
- 徹夜で仕上げた企画書が通ったと連絡を受け、彼は愁眉を開いた
- 回線トラブルがようやく解決し、その場にいた誰もが愁眉を開いた
- 企画から携わったイベントが無事に最終日を迎え、愁眉を開く思いだ
- 実家のペットの体調を崩し数日心配だったが、検査で大きな問題は見つからなかったと母から連絡が入り、ようやく愁眉を開いた
「愁眉を開く」の類語や言い換え表現
「愁眉を開く」と同様に安堵を表す言葉には、「眉を開く」「ほっとする」「胸を撫で下ろす」などが挙げられます。
「ほっとする」や「胸を撫で下ろす」などは、耳にする機会も多い語句かもしれません。ここではそれぞれの意味を、あらためて確認していきましょう。

「眉を開く」
「眉を開く」は、「愁眉を開く」と同様の意味をもつ言葉です。「愁眉」を「眉」に言い換えています。
「愁」には「愁い(うれい)」という意味があり、良くないことに心を痛めたり、心配したりといった意味があります。前述したように、「愁眉」も心配そうな顔つきを表す言葉です。
ときには「愁眉」より「眉」という言葉を使ったほうが、思いが伝わりやすいケースもあるかもしれません。フォーマルな場面では「愁眉」、そうでなければ「眉」など、状況に応じて使い分けるのもよいでしょう。
- 行方不明になっていた友人の猫が無事に帰宅したと聞き、眉を開いた
「ほっとする」
「ほっとする」にも、「愁眉を開く」のように「安心する」という意味があります。おもに、安堵で大きく息を吐く様子を表す言葉です。
気を付けたいのは、「ほっとする」には、物事を持て余し嫌気がさすという意味が含まれる点です。
一般的には「愁眉を開く」のように安堵の気持ちを表しますが、異なるニュアンスが含まれていることも押さえておきましょう。
- 間に合うか心配だった会議の資料作成が終わり、ほっとした
「胸を撫で下ろす」
「胸を撫で下ろす」は、「胸」と「撫で下ろす」を組み合わせた慣用句です。「愁眉を開く」や他の類語と同様に、心配事が解決し、深く安堵する様子を表します。
また、「胸を撫で下ろす」には、気持ちを落ち着かせるという意味もあります。抱えている不安を胸を撫で下ろして収める場面でも、使用できる言葉です。
- 発注していた商品が無事に現地に到着したと聞き、胸を撫で下ろした

「愁眉を開く」の対義語は「眉を顰める」
「眉を顰める(ひそめる)」は、眉を中央に寄せ、しかめた顔つきを表します。安心を表す「愁眉を開く」とは、正反対の意味をもつ言葉です。
また、「眉を顰める」原因は心配事だけではありません。人の言動を不快に感じた場合も「眉を顰める」と言い表します。
気を付けたいのは、「眉をしかめる」と混同しやすい点です。心配や不快な気持ちを表す様子を指す言葉は、「眉をしかめる」ではなく「眉を顰める」です。「ひそめる」と「しかめる」が同じ漢字であり、また類似表現の「顔をしかめる」と混同しやすいようです。
「愁眉を開く」と対象的な表現であることや、正しい意味を理解しておきましょう。
「愁眉を開く」のような「眉」にまつわる言葉
顔のパーツの一部である「眉」は、人の感情が現れやすい部分です。そのため、「眉」にまつわる言葉は多数存在します。
「眉に唾を塗る」、「焦眉の急(しょうびのきゅう)」などの慣用句も、用心したり急いだりといった様子を指す言葉です。それぞれを理解すると、コミュニケーションの幅がさらに広がるでしょう。

「眉に唾を塗る」
「眉に唾を塗る」は、人にだまされないように用心することです。眉に唾を塗ると、キツネやタヌキに化かされないという俗信に由来しているとされています。
また、だまされるのではと信用できないものは「眉唾物(まゆつばもの)」と言い表します。
- 簡単に利益が得られるような話は、眉に唾を塗って聞いたほうがよい
- これほど安い価格で売られているなんて、本当に一流ブランドの品か眉唾物だ
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「焦眉の急(しょうびのきゅう)」
「焦眉」には、眉を焦がす(こがす)という意味があります。「焦眉の急」は、それほどまでに危険が迫った状況を表す言葉です。「眉毛に火が付く」と言い表すこともあります。
日常生活やビジネスシーンでは、事態が差し迫り困っているときや、先を急ぐときなどに使用しましょう。
- 業績不振により資金繰りが圧迫し、焦眉の急を告げる事態を迎えた
「愁眉を開く」を使い安心した様子を表そう
「愁眉を開く」は、心配事から解放され、安心した気持ちを表す言葉です。「愁眉」は心配を抱えた顔つきのことで、「開く」とすることでリラックスした表情を意味します。
また、「愁眉を開く」の言い換え表現は、「眉を開く」や「ほっとする」などです。「愁眉」というフレーズが硬く感じられるときは、これらへの言い換えもよいでしょう。
会話のなかで自分の感情を正しく伝えるためにも、眉にまつわる語句や「愁眉を開く」の意味を正しく押さえておきましょう。
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