「問答無用」の意味とは
「問答無用(もんどうむよう)」は、話し合っても無駄な様子を表す言葉です。「これ以上は問答無用」と、話し合いを終わらせる際にも用いられます。
「問答」とは質疑応答のこと、「無用」は役に立たないことです。会話のなかで「問答無用」を使うと、今以上に議論を重ねても結果が変わらないことを伝えられます。
もんどう‐むよう〔モンダフ‐〕【問答無用】
出典:小学館 デジタル大辞泉
あれこれ議論してもなんの利益もないこと。また、もはや議論する必要のないこと。問答無益 (むやく) 。
「問答無用」の使い方
「問答無用」という四字熟語は、ビジネスシーンや日常会話で以下のように活用できます。気を付けたいのは、使い方や言い方によって相手にネガティブなイメージを与える点です。
場合によっては、「これ以上の話し合いは無駄」だと、相手を切り捨てるようなニュアンスになるかもしれません。
会話の中で使用する際は、相手との関係性やシーンなどを考慮して発言しましょう。
- 今日は早く帰宅する予定だったのに、問答無用で残業を命じられてしまった
- これ以上は問答無用です。話し合いを重ねても解決策は得られないでしょう
- 球技は苦手だと言っていたのに、問答無用で草野球のメンバーにされてしまった
- 問答無用、何を言われてもこれ以上議論を続けるつもりはありません
- 不手際について謝罪に出向いたのだが、問答無用で契約を白紙にすると言い渡されてしまった
- 営業先に出かけたのだがまったく取り合ってもらえず、「問答無用」といわんばかりの態度だった
「問答無用」の類語や言い換え表現
「問答無用」には、以下のような類語や言い換え表現があげられます。
- 問答無益(もんどうむやく)
- 無理やり
- 否応なく
会話の流れによっては「問答無用」より、これらの言葉のほうが適していることもあるかもしれません。それぞれの使用例とともに、正しい意味を確認しましょう。

「問答無益」
「問答無益(もんどうむやく)」は、「問答無用」と同様の意味をもつ四字熟語です。議論を重ねても何の利益も得られないことを表します。
「無益」は「むえき」と読みますが、四字熟語にした場合は「むやく」と読み方が変化します。誤って「もんどうむえき」と読まないように注意しましょう。
- これ以上話し合いを重ねても問答無益な時間を過ごすだけだ
- 初めから問答無益な言い争いをするつもりはない
「無理やり」
「無理やり」とは、無理だとわかりながら強引に物事を行うことです。漢字では、「無理遣り」または「無理矢理」と表記します。
「問答無用」の言い換え表現として使った場合は、以下のように強引なニュアンスがより強くなるでしょう。他者との会話では、関係性を踏まえて失礼なイメージを与えないよう配慮したいところです。
- 具体的な説明がないまま、無理やり計画が変更された
- これ以上話をしたくないと、無理やり部屋から退出させられた
「否応なく」
「否応」の「否」とは同意しないこと、「応」は状況に従うことです。そのどちらもがない「否応なく」は、相手に有無を言わせない様子を表します。
否応ない態度を示された側は、拒否も容認もできない状態です。「無理やり」のように、相手に対する強引な態度を表す言葉といえるでしょう。
- 否応なく言われるがままに応対するしかなかった
- 体調が悪いと伝えたのに、否応なく行事に参加させられた
「問答無用」のような議論に関する四字熟語
「問答無用」の「問答」とは、話し合いのことです。ここからは、同様に議論に関する四字熟語を紹介します。
- 侃侃諤諤(かんかんがくがく)
- 閑話休題(かんわきゅうだい)
- 机上空論(きじょうのくうろん)
ビジネスシーンで活用できる使用例も、ぜひ参考にしてください。

「侃侃諤諤」
「侃侃諤諤」とは、盛んに議論することです。「侃侃」は強くまっすぐなこと、「諤諤」は思っていることをありのままに発言することを意味します。
混同しやすい四字熟語に「喧喧囂囂(けんけんごうごう)」がありますが、こちらは多くの人が騒ぐ様子を表しています。
ただ騒ぐのではなく、議論を重ねる様子を指すときは「侃侃諤諤」が向いているかもしれません。
- プロジェクトの成功に向け、侃侃諤諤の議論が重ねられた
- 侃侃諤諤の論争に話がまとまらないのではと懸念したが、なんとか解決の糸口が見い出せそうだ
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「閑話休題」
「閑話休題(かんわきゅうだい)」は、話の道筋がそれたときに使う言葉です。「閑話休題」と間に挟むことで本来あるべき方向へと話を戻すことができます。
「閑話」は無駄話、「休題」は話をやめること。おもに、メールや手紙などの文章で用いられる四字熟語です。
「ところで」や「それはさておき」のような、接続詞的な役割を果たすことが特徴といえます。会話の中では以下のように活用してみてください。
- 話題がそれてしまいましたが、閑話休題、本日のテーマについてお話ししたいと思います
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「机上空論」
理屈は通っているものの、実際には役に立たない議論や計画は「机上空論(きじょうのくうろん)」と呼ばれます。実情を考えず、机の上だけで議論を重ねる様子から生まれた言葉です。
ビジネスシーンでは、さまざまなケースを想定し議論を重ねることもあるのではないでしょうか。具体的には、以下のように「机上空論」という言葉を取り入れてみてください。
- 提出された計画書を確認したが、実情にそぐわない机上空論といえる内容だった
- 現在の戦略は机上空論で、具体的な手段が欠けていると指摘された
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「問答無用」の意味を知り正しく活用しよう
「問答無用」とは、これ以上議論を重ねる余地がないときに使う言葉です。話し合いを続けて、結論が変わらないときに適しています。
また、「問答無用の」類語には「問答無益」や「無理やり」などが挙げられます。いずれも強引に物事を進めるイメージが強いため、使い方やシーンに配慮したい表現です。
議論にまつわる四字熟語とともに、それぞれの意味を知り、日常会話で正しく活用していきましょう。
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