目次Contents
この記事のサマリー
・「自己欺瞞」とは、自分で自分の心を欺き、本心と異なる説明で自分を納得させることです。
・自己欺瞞は、意識して行う場合だけでなく、本人が気づかないまま生じることもあります。
・言い訳や先延ばしのすべてが自己欺瞞ではなく、本当の理由とのずれがあるかが重要です。
自分では筋が通っているつもりなのに、あとから振り返ると「本当は別の気持ちがあったかも…」と感じることはありませんか? 「自己欺瞞」は、そんな自分自身との向き合い方を考えるうえで知っておきたい言葉です。
この記事では、読み方や意味、使い方、似た表現との違いや英語表現も含め、具体例を交えながらじっくりひもといていきましょう。
「自己欺瞞」とは?
まずは「自己欺瞞」の読み方と意味から確認していきましょう。
自己欺瞞の読み方と意味
自己欺瞞は「じこぎまん」と読みます。簡単にいうと「自分で自分の心を欺くこと」です。
辞書では次のように説明されていますよ。
じこ‐ぎまん【自己欺×瞞】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
自分で自分の心をあざむくこと。自分の良心や本心に反しているのを知りながら、それを自分に対して無理に正当化すること。自欺(じき)。
本心や良心とは異なることを自分に言い聞かせて正当化するだけでなく、自分にとって受け入れにくい事実から注意をそらしたり、認めたくない欲求を抑えたりする場合もあります。
例えば、本当はその仕事を続けたくないと感じていることに気づきながら、「会社のためだから仕方がない」と自分に言い聞かせて気持ちを正当化するケースなどが考えられます。
自己欺瞞が起こる場面と心理的メカニズム
自己欺瞞は、自分について相反する考えや認識があるときなどに生じることがあります。例えば、「本当は状況を変えたい」という気持ちがある一方で、「今のままで問題ない」と考えようとするケースです。
その際、自分にとって受け入れにくい事実や考えから注意をそらしたり、別の理由をつけて自分の行動を正当化したりすることがあります。
自己欺瞞には、一時的に自分を心理的な脅威から守ったり、自己評価を保ったりする側面がある一方、必要な問題解決を避ける結果につながる可能性もあります。
参考:『現代心理学辞典』(有斐閣)

「自己欺瞞」の具体例|日常・職場・恋愛でよくあるケース
自己欺瞞は、意識的に自分を納得させる場合だけでなく、本人が気づかないまま生じる場合もあります。ここでは、日常生活や職場、恋愛を例に、本心や認識と、自分自身に言い聞かせている理由との間にどのようなずれが生じるのかを見ていきましょう。
職場での自己欺瞞|「やりがい」を口実にした継続の理由
例えば、本当は仕事を辞めたいという気持ちに気づいているのに、「やりがいがあるから続けている」と自分に言い聞かせ、本当の理由から目をそらしているケースです。
ただし、仕事にやりがいを感じながら退職への不安も抱えているだけなら、それだけで自己欺瞞とはいえません。本心とは異なる理由を自分自身に信じ込ませたり、不都合な認識から意図的・無意識的に注意をそらしたりしているかどうかがポイントになります。
恋愛における自己欺瞞|「相手のため」と見せかけた本心の隠蔽
恋愛では、「相手のために言わない方がいい」と自分に言い聞かせているものの、実際には「嫌われるのが怖くて自分の気持ちを伝えられない」と気づいているケースなどが考えられます。
この場合、「相手のため」という説明によって、自分が認めたくない本当の理由から目をそらしているのであれば、自己欺瞞の一例と考えることができます。ただし、相手への配慮から言葉を控えること自体が自己欺瞞になるわけではありません。
日常生活の自己欺瞞|先延ばしと自分への言い訳
例えば、本当は「面倒だから取りかかりたくない」と感じていることに薄々気づいているのに、その気持ちを認めず、「今日は疲れているから仕方がない」と毎回自分に言い聞かせるケースです。
ただし、本当に疲れていて予定を翌日に延ばすことや、単に物事を先延ばしすること自体が自己欺瞞なのではありません。本当の理由とは異なる説明によって自分自身を納得させているかどうかが、見分けるポイントになります。
自己欺瞞を防ぐためのヒント|気づく力を高める実践法
自己欺瞞は、本人が気づかないまま生じる場合もあるため、自分自身で認識するのが難しいことがあります。自分がどのような理由づけをしているのか、本心や事実との間にずれがないかを振り返ることは、自己欺瞞に気づくきっかけになります。
ここでは、自分の考え方を見直すためのヒントを紹介しましょう。

自己欺瞞を見抜くための問いかけ
自分自身に問いを投げかけることは、自分がどのような理由づけをしているのか振り返る一つの方法です。
「本当にそう考えているのか?」「自分にとって都合の悪い事実から目をそらしていないか?」「別の理由で自分を納得させようとしていないか?」と問い直すことで、自分の考えと本心とのずれに気づくきっかけになることがあります。
信頼できる他者のフィードバックを活用する
信頼できる友人や同僚に、自分の考え方について意見を聞いてみるのも一つの方法です。自分とは異なる視点に触れることで、自分では気づかなかった考え方や理由づけを振り返るきっかけになることがあります。
ただし、他者の意見が常に正しいとは限りません。意見をそのまま受け入れるのではなく、自分の状況や事実と照らし合わせながら考えることが大切です。
「完璧でなくてもいい」という思考を持つ
自分にとって認めにくい失敗や感情、不都合な事実があると、それとは別の理由によって自分を納得させようとすることがあります。
そんなときは、「自分にとって受け入れにくい事実は何だろう?」「本当はどう感じているのだろう?」と一度立ち止まって考えてみることも、自分の認識を整理する方法の一つ。自己欺瞞を無理になくそうとするのではなく、自分がどのような理由づけをしているのかに気づくことが大切です。
自己欺瞞に気づくことの意味|問題との向き合い方を考える
自己欺瞞は、一時的に自分を心理的な脅威から守ったり、自己評価や精神的な安定を保ったりする働きを持つ場合があります。その一方で、自分が抱えている問題から目をそらし、必要な対応を避ける結果につながる可能性もあります。
大切なのは、自己欺瞞を一律に「悪いもの」と考えることではなく、自分がどのような事実や感情から目をそらしているのかに気づき、必要に応じて問題との向き合い方を考えることです。
参考:『現代心理学辞典』(有斐閣)

精神的な負担が軽減される
自分が何を避けようとしているのか、どのような理由で自分を納得させているのかに気づくことは、問題そのものを整理するきっかけになります。
ただし、受け入れにくい事実と向き合うことで、一時的に心理的な負担を感じることもあるでしょう。「自己欺瞞に気づけば気持ちが楽になる」と一律に考えるのではなく、必要な問題解決につなげられるかという視点が重要です。
健全で信頼できる人間関係が築ける
人との関係では、「相手のため」と考えている行動が、実は自分の不安や恐れから生じている場合もあります。自分が相手に何を伝えたいのか、なぜその行動を選んでいるのかを振り返ることは、自分の本音や考えを整理するきっかけになります。
ただし、自己欺瞞に気づくことと、良好な人間関係が築けることは同じではありません。相手との関係にはさまざまな要因が関わるため、「自己欺瞞をなくせば人間関係が改善する」と単純化しないことが大切です。
自己理解が深まり、成長を促す
自分がどのような事実を受け入れにくいと感じているのか、なぜ特定の理由で自分を納得させようとしているのかを振り返ることは、自分の考え方や価値観を理解する手がかりになります。
自己欺瞞そのものを「克服すべき欠点」と捉えるのではなく、自分の認識と本心との間にずれが生じていないかを確認することが、自己理解を深める一つのきっかけになるでしょう。
「自己欺瞞」に関するFAQ
ここでは、「自己欺瞞」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1.「自己欺瞞」とは簡単にいうと、どういう意味ですか?
A.「自己欺瞞」とは、自分で自分の心を欺くことです。本心や良心とは異なる説明で自分自身を納得させたり、自分にとって受け入れにくい事実から注意をそらしたりすることを指します。
Q2.「自己欺瞞」は何と読みますか?
A.「自己欺瞞」は「じこぎまん」と読みます。
Q3.「自己欺瞞」と「言い訳」は同じ意味ですか?
A.同じではありません。言い訳や先延ばしをすること自体が、すべて自己欺瞞になるわけではありません。本当の理由や受け入れにくい事実とは異なる説明によって、自分自身を納得させたり、その事実から目をそらしたりしているかどうかがポイントです。
最後に
自己欺瞞は誰にでも起こる現象ですが、それに気づき、向き合うことが大切です。この記事で紹介したヒントを参考に、自分を見つめ直しながら少しずつ改善していきましょう。自己欺瞞を減らすことで、より充実した日々が送れるはずです。
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