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2025.01.30

室町時代の絵巻物「百鬼夜行」って? 読み方や使い方、関連する四字熟語についてわかりやすく解説

「百鬼夜行」は、多くの化け物が夜中に歩き回る様子から生まれた言葉です。悪人が勝手に振る舞うことや、大勢が醜い行為をすることを表します。今回は、「百鬼夜行」の正しい意味について紹介します。関連する四字熟語の情報も、ぜひ参考にしてください。

「百鬼夜行」の意味と読み方

「百鬼夜行」は、「ひゃっきやこう」と読みます。「百鬼」はいろいろな妖怪のこと、「夜行」は暗い夜の闇の中、列をなして歩き回ることです。

ふたつをつなげた「百鬼夜行」は、多くの化け物が夜中に行列を作り、歩き回ることを意味します。転じて、悪人が目立たぬところで怪しいことや悪事を働くさまを表す言葉です。

また、「行」は「ぎょう」と読むこともあります。悪人が勝手に振る舞ったり、多くの人がひどい行為をしたりするさまを表すなど、悪事に関する四字熟語であることを押さえておきましょう。

ひゃっき‐やこう〔ヒヤクキヤカウ〕
1 いろいろの化け物が夜中に列をなして出歩くこと。ひゃっきやぎょう。
2 得体の知れない人々が奇怪な振る舞いをすること。ひゃっきやぎょう。「—の政財界」

出典:小学館 デジタル大辞泉

「百鬼夜行絵巻」が描く夜の京都を歩く妖怪

「百鬼夜行絵巻」とは、夜の京都を多くの妖怪たちが行進する姿を描いた、室町時代に制作されたとされる絵巻物のことです。国の重要文化財であり、現存する最古の「百鬼夜行絵巻」は「真珠庵本」の名で京都の真珠庵に保管されています。

「百鬼夜行絵巻」には文字がなく、どこかユーモラスな妖怪たちの姿のみが描かれています。そのため、物語の正確な内容は明らかになっていません。

絵巻物には、琴の妖怪を引っ張って歩く琵琶の妖怪や、鍋や釜の姿をした妖怪などが描かれています。いずれもどこか現代的で、見るものの想像力をかきたてる内容といえるでしょう。

「百鬼夜行」のような化け物に関する四字熟語

「百鬼夜行」のような化け物に関する四字熟語には、以下が挙げられます。

  • 魑魅魍魎
  • 妖怪変化
  • 牛頭馬頭
  • 異類異形

いずれも、妖怪や鬼などに関する言葉です。ここでは具体的な意味と、それぞれのニュアンスの違いについて確認していきましょう。

妖怪たちのイラスト
(c)AdobeStock

「魑魅魍魎」

「魑魅魍魎」(ちみもうりょう)は、いろいろな種類の妖怪や化け物の総称です。「魑魅」は山の化け物、「魍魎」は水の化け物を意味します。

また、「魑魅魍魎」は悪だくみをする者に対して用いることもあります。化け物のようにはっきりと姿を表さないものの、私利私欲のために暗躍する者を指すケースが多いでしょう。

「妖怪変化」

「妖怪変化」(ようかいへんげ)とは、人の想像を超えた不思議で恐ろしい化け物のことです。

「変化」は「へんか」と読むときは状態が変わることを意味しますが、「へんげ」と読むことで「化け物」という意味になります。

「妖怪」と「変化」、似たような意味を重ねた「妖怪変化」は、常識では理解できないほど恐ろしい化け物を言い表します。「妖怪が別の姿に変化する」という、誤った意味で使わないように気をつけてください。

「牛頭馬頭」

「牛頭馬頭」は「ごずめず」と読み、仏教用語のひとつです。地獄にいるという、「獄卒」(ごくそつ)を表します。

獄卒は頭は牛や馬、体は人間の形をしている、地獄で罪人を責める鬼のことです。これらが転じ、獄卒のように情け容赦のない人を「牛頭馬頭」と言い表すこともあります。

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「異類異形」

「異類異形」(いるいいぎょう)は妖怪のひとつで、姿かたちが異様で、この世の物とは思えない生き物を指します。

そもそも「異類」とは、人間ではないものに対して用いる言葉です。また、「異形」は異様な姿かたちのこと。2つをつなげることで、見たこともないような姿の妖怪を表す四字熟語になります。

「百鬼夜行」のような悪人に関する四字熟語

「百鬼夜行」は、悪人の勝手な振る舞いを指す言葉でもあります。ここからは、「百鬼夜行」のように悪人に関する四字熟語についてみていきましょう。

  • 海千山千
  • 天網恢恢
  • 悪逆無道

なかには悪事を戒める言葉もあるため、シーンに応じて使い分けてみてください。

積み重ねられた本の前に立つ人、閃いた人のイラスト
(c)AdobeStock

「海千山千」

「海千山千」(うみせんやません)は、「海に千年、山に千年」の略語です。さまざまな経験を積み、悪賢いことを表します。海と山に千年住み着いた蛇は、竜になるという言い伝えから生まれた言葉です。

また、物事の裏表を知り尽くし、したたかな人に対しても用いられます。使い方によってはネガティブなイメージを与えるため、他者に対して用いる際は気をつけてください。

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「天網恢恢」

悪人や悪事を決して取り逃さないことは、「天網恢恢」(てんもうかいかい)と言い表します。

「天網」とは天に張り巡らした網のこと、「恢恢」は広く大きいこと。「天網恢恢」とすることで、天に張り巡らせた網は大きく目が粗いようだが、悪人は逃がさないという意味になります。

また「天網恢恢」は、悪事は必ず世間の目に触れ、報いを受けることも意味する言葉です。同様の意味をもつ四字熟語には、「天罰覿面」(てんばつてきめん)が挙げられます。

「悪逆無道」

「悪逆無道」(あくぎゃくむどう)とは、人の道に外れたとんでもない悪事のことです。「悪逆」とはひどい悪事や乱暴のことで、「無道」と続けることで道理に外れていることを表します。

また、「悪逆」は「八虐」(はちぎゃく)のひとつとされています。「八虐」とは、古い時代の8つの重罪のことです。「悪逆」のほか、君主に背いて兵をあげる「謀反」(むほん)や、師や長官などを殺める「不義」(ふぎ)などが含まれます。

いずれも非常に重たい罪であることから、「悪逆無道」も容易に使うべきではない表現といえるでしょう。

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「百鬼夜行」の意味を知り日常生活で使ってみよう

「百鬼夜行」は、多くの妖怪が夜の街を連なって歩く姿を意味する言葉です。転じて、人の目に触れないところで、悪人が悪事を働くことを表します。

古い時代に描かれた「百鬼夜行絵巻」では、楽器や鍋などの姿をした妖怪たちが、夜の京都を練り歩く姿が確認できます。室町時代の作品であるにもかかわらず、作風はどこか現代的でユーモラスである点が特徴です。

また、四字熟語には「百鬼夜行」のように化け物や悪人に関する語句が多数存在します。「百鬼夜行」とともにそれぞれの意味を理解し、ぜひ日常生活で役立ててください。

メイン・アイキャッチ画像:(c)Adobe Stock

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