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「主体的」の意味とは?
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「主体的(しゅたいてき)」とは、自分の意志や判断に基づいて行動することです。他者の言動や考えによって動くのではなく、自ら活動する様子を表します。
まずは「主体」の意味や対義語について掘り下げながら、「主体的」という言葉について確認していきましょう。
「主体」の意味
「主体」には、以下のように複数の意味があります。
しゅ‐たい【主体】
1 自覚や意志に基づいて行動したり作用を他に及ぼしたりするもの。「動作の—」⇔客体。
2 物事を構成するうえで中心となっているもの。「食事療法を—に種々の治療を行う」「市民—の祭典」
3 《語源の(ギリシャ)hypokeimenōnは、根底にあるもの、基体の意》哲学で、他に作用などを及ぼす当のもの。認識論では主観と同義。個人的、実践的、歴史的、社会的、身体的な自我の働きが強調される場合、この主体という言葉が用いられる。→主観
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「主体的」とする場合は、「1」の意味で用いるのが一般的です。主に、自分の置かれている状況や能力などを理解したうえで、自己判断のもと動くさまを表します。
また、「2」にあるように、「主体」には「物事の中心」という意味も含まれています。
ただし、「主体的」には「物事の中心人物として動く」という意味はないため気を付けてください。
物事における中心は、「中心的」と言い表します。それぞれの意味を正しく理解し、状況に応じて使い分けましょう。
「主体」の対義語は「客体」
「主体」と反対の意味をもつ言葉は「客体(きゃくたい・かくたい)」です。主に、主体の対象となるものを表します。
具体的には、「主体」である自分の意志に基づいた行動により、影響を受ける対象が「客体」です。また、「意思や考えとは独立した外の世界」という意味も有します。
ただし、「主体的」を掲載している辞書「小学館 デジタル大辞泉」には、「客体的」という語句は見当たりません。「客体的」は一部、心理学用語として用いるケースがあるものの、日常会話やビジネスシーンでは使用しないのが一般的といえるでしょう。
きゃく‐たい【客体】
1 主体の認識・行為などの対象となるもの。かくたい。⇔主体。
2 意識から独立して存在する外界の事物。客観。かくたい。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「主体的」の使い方と例文
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「主体的」は、日常会話のほかビジネスシーンでも活用できる言葉です。ビジネスでは、さまざまな場面で「主体的」な姿勢が求められます。使用例は、ぜひ以下を参考にしてください。
・個々が主体的に仕事に取り組むことは、業務全体の生産性向上につながる。
・今後は他者からの指示を待たず主体的に行動し、自ら課題解決に取り組んでほしい。
・どんなときでも主体的に仕事に取り組む彼の姿は、いつだって私の目標だ。
・日々変化を遂げる社会に対応するためには、個々が主体的な学びを継続する必要がある。
・入社から1年が経過し、以前よりは主体的に行動できるようになったと感じている。
「主体的」と「自主的」の違い
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「自主的」には、以下のような意味があります。
じしゅ‐てき【自主的】
[形動]他からの指図や干渉によらずに、なすべきことを自分の意思に基づいて行うさま。「—な活動」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「主体的」との共通点は、自らの意志によって行動することです。違いは、「他からの指図や干渉によらない」と記述されている点にあります。
「主体的」も自分の判断を基本とする言葉ですが、「自主的」とした場合は「周囲に影響されない」という意味合いが強いです。また、「なすべきこと」とある点にも注目しましょう。
以下のように、自分がやるべきことに対し、自らの意思に基づく行動を起こす際は「主体的」より「自主的」が適していると考えられます。
とてもよく似た意味をもつ言葉ですが、細かなニュアンスの違いを理解しておきましょう。
・短期間で一定の英語力を習得するためには、スクールに通うだけでなく自主的な学習が必要です。
・専門家としてより正確な情報を得るため、彼女は自主的にデータ収集の作業にあたった。
「主体的」の類語や言い換え表現
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「主体的」には、以下のような類語や言い換え表現があります。いずれも、行動に関する言葉です。
シーンによっては、「主体的」より以下の語句が適しています。それぞれの意味や「主体的」との違い、具体的な使い方についてみていきましょう。
能動的
「能動的」とは、自分から他の人や物に対して働きかけることです。「能動」は受け身ではなく、自ら行動する様子を表します。
反対に外からの働きかけを待つことは、「受動」と言い表します。「能動的」のように、「受動的」の形でも使用される言葉です。
「主体的」と「能動的」との共通点は、「自ら動く」という点にあります。「主体的」の場合は、その行動が自分の意志や判断に基づいている、というニュアンスが強くなることが特徴です。
・能動的な人ほど、要所ごとに自ら考えを見直し効率的に業務をこなしている。
・企業がさらに成長するためには、能動的でスピーディーな意思決定ができる組織作りが必要だ。
のうどう‐てき【能動的】
[形動]自分から他へはたらきかけるさま。「能動的な人」「能動的に振る舞う」⇔受動的。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
積極的
物事に進んで取り組む様子は、「積極的」と言い表します。「主体的」も自ら行動することを意味しますが、「積極的」は、より意欲的な態度に適した表現です。
以下のように、物事に対して肯定的で、前向きな姿勢で取り組む場合は「積極的」という語句を当てはめてみてください。
・他部署との相互理解を深めるため、交流の機会を積極的に設けることになった。
・トラブル発生の原因と予防策について、チーム内で積極的に議論を交わした。
・我が社は女性の仕事と家庭の両立に向け、数年間から積極的な取り組みを続けている。
せっきょく‐てき〔セキキヨク‐〕【積極的】
[形動]物事を進んでするさま。「積極的に仕事に取り組む」⇔消極的。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
自律的
「自律的」とは、自分のルールにのっとって行動することです。外からの影響を受けずに、問題を解決したり物事を実践したりするさまを表します。
同じ読みの漢字に「自立(じりつ)」がありますが、こちらは独り立ちの意味です。「他者からの助けを受けずに存在する」という意味も含まれるため、「自律」との使い分けを意識しましょう。
・ビジネスでは自らの信条や価値観をもち、自律的に行動する意識が必要だ。
・彼女は、上司からの指示や企業の制約に従うだけではない、自律的なタイプだ。
・我が社では、従業員の自律的な学習を推進している。
じ‐りつ【自律】
1 他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること。「自律の精神を養う」⇔他律。
2 カントの道徳哲学で、感性の自然的欲望などに拘束されず、自らの意志によって普遍的道徳法則を立て、これに従うこと。⇔他律。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
率先
人の先に立ち、進んで物事を行うことは「率先」と言い表します。自ら行動することは「主体的」と共通していますが、先頭に立ち、意欲的に行動する点が大きな違いであり特徴です。
また、「率先」には「率先躬行(そっせんきゅうこう)」や「率先垂範(そっせんすいはん)」といった四字熟語があります。「率先躬行」は人より先に進んで行動すること、「率先垂範」は、その行動が人の模範となるさまを表す言葉です。
・彼女は誰よりも率先してシステム障害の修復作業にあたった。
・率先躬行、今年こそ念頭に掲げた目標を実現したい。
・彼の前向きで率先垂範な姿勢を見習いたい。
そっ‐せん【率先/▽帥先】
[名](スル)ひとの先に立って事を行うこと。進んで事をすること。「―して手伝う」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
野心的
「野心的」とは、「身分不相応に大きな望み」を表す言葉です。また、「大胆な試み」という意味合いもあります。
「主体的」が行動を表す言葉であるのに対し、「野心的」は気持ちを表す点が違いです。
また、「野心」には「野心家」という慣用句もあり、この場合は、大きな望みをもって行動する人や、身分不相応のよくない望みをもち行動する人を表します。
・彼ほど野心的な人物には、これまで出会ったことがない。
・企業の成長と変革のため、ときには野心的なチャレンジも必要だ。
・スタートアップ企業の野心的なビジネスは、多くの人々の注目を集めた。
やしん‐てき【野心的】
[形動]望みなどの、身分不相応に大きいさま。また、試みなどの、新しく大胆であるさま。「野心的な研究」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
中心的
人や物事の中心を表す際は、「中心的」という言葉を当てはめてみましょう。
前述したように、「主体」には「物事の中心」という意味が含まれています。ただし「主体的」とした場合は、「中心」を表すことはできません。
ビジネスでは、チームの中心となって活躍したり、重要な責任を負ったりすることもあるのではないでしょうか。以下では、「主体的」と「中心的」を組み合わせた使用例もご紹介します。
・新商品の開発において、彼は中心的な役割を果たした。
・彼女は自分の専門性を生かし、新たな事業に中心的かつ幅広く関わっている。
・商業施設や学校、病院などが集まった、北区の中心的なエリアです。
・彼女は過去の主体的な取り組みが高く評価され、プロジェクトの中心的役割を担うリーダーに抜擢された。
ちゅうしん‐てき【中心的】
人や物事のなかで中心を占めるさま。「改革派の中心的人物」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「主体」を使った慣用句「主体性」
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「主体」には、「主体的」のほかに「主体性」という慣用句があります。そもそも慣用句とは、2つ以上の語句で特定の意味を表す言葉のことです。「主体的」には「的」、「主体性」には「性」という語句が「主体」と結びついています。
それぞれの違いを知るため、まずは辞書による解説を並べてみましょう。
しゅたい‐てき【主体的】
[形動]自分の意志・判断に基づいて行動するさま。「—な行動」しゅたい‐せい【主体性】
自分の意志・判断で行動しようとする態度。「—のない人」「—をもって仕事に取り組む」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
以上を参考にすると、両者の違いは「行動するさま」と「行動しようとする態度」にあることがわかるでしょう。
「さま」とは、様子のことです。「態度」は人の言葉や表情、心構えなど具体的かつ複数の意味をもちます。
また、「主体性」は「ある・ない」で言い表しますが、「主体的」は「主体的がある」、「主体的がない」のように用いることはありません。「主体性をもつ」ということはあっても、「主体的をもつ」としない点も両者の違いです。
「主体性」の具体的な使用例は、以下を参考にしてください。
・主体性がある人ほど、周囲の意見に左右されない柔軟な対応ができる。
・今後は自分で考え課題を見つけるなど、主体性をもって行動してほしい。
・新入社員の主体性をどのように高めていけばいいのか。指導担当となったものの頭を悩ませている。
・主体性を発揮した彼女は次々と契約を成立させ、今月の営業成績トップへと躍り出た。
「主体的」の意味を知りビジネスシーンに活かそう
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自分の意志や判断で行動する様子は、「主体的」と言い表されます。「自主的」も、自らの意志に基づいて行動するさまを表す言葉です。
「主体的」との違いは、「自分がやるべきことを周囲の意見に左右されることなく行う」というニュアンスが強い点にあります。メールや会話では、それぞれの違いを理解したうえで使い分けていきましょう。
今回は、類語や言い換え表現の使い方などもご紹介しました。正しい意味を参考に、「主体的」やその他の語句を、ぜひビジネスシーンで活用してみてください。
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