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急転直下(きゅうてんちょっか)の意味とは?
「急転直下(きゅうてんちょっか)」とは、事態が急転して、速やかに解決や結末に向かうことです。なお、急転とは物事の様子が急に変わることで、「事態が急転する」や「天気が急転した」のように使われます。
きゅうてん‐ちょっか【急転直下】
出典:小学館 デジタル大辞泉
事態が急転して、速やかに解決や結末に向かうこと。「事態は—解決した」
急転直下を良い意味で使った例文
急転直下には「物事が解決する」という意味が含まれるため、ポジティブなニュアンスで使われることも多い言葉です。たとえば、次のように使われます。
・複雑に絡み合った難事件だったが、目撃者が現れたことで急転直下、解決した
・結婚に反対していた父が、急転直下、賛成するようになった
急転直下を悪い意味で使った例文
急転直下は、好ましくない状況を表現する際にも使われることがあります。
・優勢なまま後半戦に突入したが、形勢が急転直下して追い込まれた
・友好関係を築いてきたはずだが、急転直下、宣戦布告を受けた
急転直下と青天の霹靂(せいてんのへきれき)の違い
急転直下と混同しがちな言葉に「青天の霹靂(せいてんのへきれき)」があります。青天の霹靂とは、晴れ渡った空に突然起こる雷の意味から、急に起きる変動や大事件、突然受けた衝撃を指す言葉です。
「晴天の霹靂」との表記も散見されますが、由来となる中国南宋の詩人・陸游(りくゆう)の詩では「青天飛霹靂」と記載されているとされるため、正しい表記とはされていません。なお、陸游は南宋第一の詩人として、北宋の蘇東坡(蘇軾)と並び称されました。現在でも1万首近くの詩が伝わっているといわれています。
・ルームメイトが置手紙をして出て行った。まさしく青天の霹靂だ
・いつものように出勤したら、倒産と記した紙が貼られていた。何の予兆もなく、青天の霹靂だ
急転直下も青天の霹靂も、いずれも急な出来事が起こるのは同じです。しかし、急転直下は物事が解決や結末に向かうことを意味するのに対し、青天の霹靂は単に驚くような出来事が起こったことを意味します。
なお、霹靂とは、雷(かみなり)や雷鳴です。また、落雷や大きな音が響き渡るといった意味でも使われることがあります。
・遠くで霹靂が聞こえる
・天が裂けたかのような霹靂と共に、紫の火花が光った
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急転直下と類似する意味の言葉・言い換え表現
急転直下のように急な出来事や速やかな解決、結末の意味で使われる言葉には、次のものが挙げられます。
・光芒一閃(こうぼういっせん)
・快刀乱麻(かいとうらんま)を断つ
・局面を打開する
・一件落着
それぞれの言葉の意味や使うシチュエーションを、例文を通して紹介します。
光芒一閃(こうぼういっせん)
「光芒一閃(こうぼういっせん)」とは、光がぴかっと一瞬光るように物事が急激、また瞬時に変化することを表す言葉です。光芒とは「尾を引くように見える光の筋」や「一筋の光」、一閃とは「ぴかっと光ること」や「ひとひらめき」を意味します。
・反撃をするなら今だという声が群衆の中から湧きあがり、事態は光芒一閃した
・光芒一閃、彼の顔から微笑みが消え、憎しみのようなものが浮かび上がった
快刀乱麻(かいとうらんま)を断つ
「快刀乱麻(かいとうらんま)を断つ」とは、よく切れる刀でもつれた麻を切ることから、もつれた事柄をものの見事に解決することをたとえた言葉です。
・彼は快刀乱麻を断つように事件をあっという間に解決した
・数人がかりで何日も取り組んでいた難問を、彼女は快刀乱麻を断つ勢いで解決した
局面を打開する
「局面を打開する」とは、困難な状況や行き詰った事情を切り開いて、解決の糸口をつけることを意味する言葉です。「局面」には「物事のそのときの状況・状態」という意味があるため、困難な状況が差し迫っているときに使われます。
・とにかく局面を打開しなくては、次の段階に進めない
・誰でも構わないから、この局面を打開する方法を見つけてほしい
「局面」は、碁や将棋の盤面や勝負の形勢という意味もあります。
・挑戦者に追い込まれている局面だが、名人の顔にはまだゆとりがあった
・まだ時間は残っているが、すでに局面は決したのではないだろうか
一件落着
「一件落着(いっけんらくちゃく)」とは、課題や争いごとなどが解決され決着することです。「落着」だけでも「解決する」「決着がつく」といった意味があります。
・これにて一件落着。めでたしめでたし……
・この事件は一件落着したが、新たな事件が起こりつつある
急転直下と反対の意味で使う言葉
急転直下は事態があっという間に解決するときに使われる言葉です。反対の状態を指す言葉としては、事態に進展が見られない様子を示す次のものが挙げられます。
・膠着(こうちゃく)状態
・千古不朽(せんこふきゅう)
それぞれの意味を例文を通して紹介します。
膠着(こうちゃく)状態
「膠着(こうちゃく)」とは、粘りつくことや、しっかりくっついて離れないこと、ある状態が固定してほとんど動きがなくなることです。たとえば、次のように使われます。
・試合が膠着状態に入った
・いつまでも膠着状態が続いている
千古不易(せんこふえき)
「千古(せんこ)」とは永遠や永久、大昔のこと、「不易(ふきゅう)」とはいつまでも変わらないことです。「千古不易」とつなげて、長年、永遠に変わらないものやことを指します。
・千古不易の名作だ
・彼の功績は千古不易といえるだろう
適切なシチュエーションで「急転直下」を使おう
急転直下は、物事の様子が急激に変わり、解決や結末に向かうことです。青天の霹靂と混同されることがありますが、青天の霹靂は解決や結末に向かうニュアンスはないため、使い分けられるといいですね。
また、急転直下の反対の意味で、膠着状態や千古不朽の言葉を使うこともあります。意味を正確に把握しておくと、適切な表現を選びやすくなるでしょう。
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