若い世代の多くは「一丁目一番地」という言葉に聞き覚えがないでしょう。「どこの住所?」と思った方もいるはず。この言葉は、昭和世代がよく口にする言葉で政治関連の会話でも使います。さっそく意味や由来を確認していきましょう。
そもそも「一丁目一番地」って何?
「一丁目一番地」は、「いっちょうめいちばんち」と読みます。どこかの住所や街の名前だと思われがちですが、実はそうではありません。正しい意味や由来を解説していきますね。
「一丁目一番地」の意味とは?
「一丁目一番地」とは、一言で言うと最優先事項のこと。最初に実施すべきである最も重要な事柄や課題のことを指します。2023年10月、岸田内閣総理大臣による演説でも「変化の流れを掴み取るための一丁目一番地は、経済です」という表現が見られました。このように「一丁目一番地」は主に政治関連で使いますが、最近はビジネスシーンでも頻出しています。
若い世代の中でも、上司が言っているのをよく聞くという理由で「一丁目一番地」を知っている人もいるそう。業務の優先順位を検討する時に、「真っ先に取り組むべき課題」を住所の起点となる「一丁目一番地」を使って表現します。
由来は?
政界では、国会の本会議場において当選回数の少ない若手議員ほど、前列の席に座るならわしがあるのだそう。そして、演壇に近い前列の席を「一丁目一番地」と呼んでいたことが由来だといわれています。新聞紙面では、1980年代頃から「一丁目一番地」という表現が見られていました。その後、小泉純一郎氏や鳩山由紀夫氏が、頻繁に「一丁目一番地」という発言を繰り返したことから、この言葉が世間に浸透したのです。
他にも「一丁目一番地」は一等地の場合が多いことから、重要・原点という意味で使うようになったという説もあります。
「1丁目1番地 駄菓子屋」とは? 昭和レトロな魅力に触れる
「1丁目1番地」といえば、駄菓子屋を思い浮かべる方もいるかもしれません。イオンモールなどで見かけた方も多いのではないでしょうか? 最近少なくなりつつある駄菓子屋ですが、「1丁目1番地」では懐かしの駄菓子屋が再現されています。
お菓子だけでなく、玩具や面白いくじ引きなどもやっていて、大人から子供まで人気のお店でしょう。ただ、「一丁目一番地」という名前の由来については分かっていません。
「一丁目一番地」の言い換え表現
「一丁目一番地」の意味を確認したところで、次は言い換え表現について見ていきましょう。以下では言い換え表現として、「核心」「肝心」「いの一番」を紹介します。
1:核心
「核心をつく」「核心に触れる」「核心に迫る」などのフレーズをよく耳にしますよね。核心とは、物事の中心となる重要なことを指します。重要事項というニュアンスが「一丁目一番地」と同じですね。ビジネスや日常会話において使われる言葉でしょう。
2:肝心
こちらも、最重要事項という意味です。肝心とは肝臓と心臓のことを指しており、どちらも我々にとって欠かせないものであることから、このような意味で使われるようになりました。肝要とも言い換えられます。「肝心なところでミスをする」というような例文が挙げられるでしょう。
3:いの一番
いの一番とは、一番初めもしくは真っ先にという意味。いろはの一番目の文字をとったことが由来とされています。「いの一番に会社に到着する」「いの一番に連絡を入れる」というように使うことができるでしょう。
「一丁目一番地」の例文を紹介
最後に、「一丁目一番地」の使い方を例文で確認していきましょう。これまでこの言葉に聞き覚えがなかったという方も、この先ビジネスシーンで耳にすることがあるかもしれません。使い方をマスターして、上司との会話やプレゼンに役立ててくださいね。
1:事業拡大は今の我が社にとって、一丁目一番地である。
上司からよく聞くフレーズだと感じた方もいるかもしれません。「事業拡大は今の我が社にとって、最優先事項である」という意味ですね。事業拡大を最も重要視しているというニュアンスが伝わるでしょう。
2:このプロジェクトの一丁目一番地は、顧客の信頼を得ることである。
会話の中で、一番強調したい重要な事柄を「一丁目一番地」を使って表すことができます。会議やプレゼンテーションでも役に立つフレーズでしょう。
3:部長は一丁目一番地として、環境問題に積極的に取り組んでいる。
この場合は、最優先事項の他にも「モットー」という意味で使います。部長が、環境問題を基本精神として掲げているのが分かりますね。
最後に
「一丁目一番地」は政治関連で使うことが多い言葉でしたが、ビジネスシーンでも使われるようになってきました。若い世代には馴染みのない言葉かもしれませんが、上司との会話をスムーズにするためにも意味を覚えておくと良いでしょう。
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