「いつものことだから、問題ない」「確か、こうだったはず… 」。思い込みや曖昧な記憶のままでは、ヒューマンエラーが起こりやすい状態になりがちです。今回は、日常生活や仕事で起こりうるヒューマンエラーの原因とその対策について、わかりやすく解説します。
ヒューマンエラーとは
ヒューマンエラーとは、人間が行う作業や判断の過程で発生する誤りやミスのこと。複雑な作業環境やストレス、疲労、不十分な教育や訓練、作業手順の不明確さなどによって引き起こされる場合があります。特に医療分野など、高度な正確性が要求される分野では、ヒューマンエラーが重大な事故や問題を引き起こす可能性も…。
人は誰もがミスを起こすものです。起こしたミスを二度と繰り返さないように、日ごろから意識し、自覚することが大事といえます。エラーチェックをシステム化したり、手順の見える化を実施したり、対策を進めていくことで、ミスの発生を最小限に抑え、安全で効率的な作業を実現できるでしょう。
ヒューマンエラーを起こす人の特徴
ヒューマンエラーを起こす人には、いくつか特徴があるようです。ここでは3つ紹介します。
1:注意力散漫
注意力が散漫な人は、細かい作業や連続した動作の中でミスを犯しやすいといえます。多くの情報やタスクに対処する際に、集中力を維持できず、重要なポイントを見逃してしまうことも。タイムスケジュールを作成するなど、自己管理を行うと軽減できるでしょう。
2:経験不足
新しいタスクや未経験の業務に取り組む際、経験不足の人は、適切な判断ができず、誤った操作や判断をすることがあります。知識やスキルが十分でないため、問題に対する対応が遅れがちに。不明点は周りの人に聞くことを習慣づけるといいでしょう。
3:ストレスや疲労
高いストレスや疲労状態にある人は、判断力や反応速度が低下し、ミスを犯しやすくなります。精神的・身体的な負担が溜まっていくと、注意力や集中力も大きく影響を受けることに。リフレッシュや十分な休養を取ることが大切です。
ヒューマンエラーが起こる原因は?
ヒューマンエラーが起こってしまう原因にはどんなものがあるのでしょうか。一緒に見ていきましょう。
1:システム設計の欠陥
システムや作業環境が操作する側にとって使いやすくない場合、ヒューマンエラーが発生しやすくなります。
例えば、操作が直感的でない、重要な情報が分かりにくい場所に配置されているなどの設計ミスといった場合です。これにより、誤った操作を行ったり、必要な情報を見逃したりすることがあります。
2:人的要因
ヒューマンエラーは、個人の特性や状態にも大きく影響されるでしょう。例えば、疲労、ストレス、注意力の欠如、経験不足、スキルの不足など。これらの要因は、判断力や集中力を低下させ、誤った判断や操作を誘発することがあります。
また、個々の能力や状態に応じた適切な教育や訓練が不足している場合も、ヒューマンエラーのリスクが高まるでしょう。
3:作業環境の問題
ヒューマンエラーは、作業環境が不適切な場合にも発生しやすくなります。例えば、騒音、照明の不足、不快な温度や湿度といった物理的な環境が、作業効率や注意力に悪影響を与えることもあるでしょう。
また、適切な作業スペースが確保されていない場合や、必要な道具や機器が不十分な場合も、エラーのリスクが高まります。これにより、作業者は集中力を欠き、誤った操作や判断をしやすくなるでしょう。
ヒューマンエラーの具体例
具体的なヒューマンエラーの例を、身近なものから命にかかわるようなものまで、3つ紹介します。
1:日常業務で発生しがちなミス
・発注数を間違えて入力してしまった。
・書類の提出期限を間違えて、遅れて提出してしまった。
・取引先を間違えて、メールを送ってしまった。
わかっているつもりでも、日常的に起こりがちなミスですね。事前に何度もしっかり確認しておくことで、避けることができるでしょう。
2:製造ラインでの組立ミス
工場の製造ラインで、作業員が部品を誤った位置に取り付けたり、必要な部品を組み忘れたりすることが挙げられます。これは、作業手順の理解不足や、注意力の欠如が原因です。作業手順書を明確化、視覚化することで軽減されるでしょう。
3:医療現場での投薬ミス
医師が処方箋を記入する際に、誤った薬品名を記載したり、看護師が投薬の際に誤った薬を患者に投与したりすることで発生します。これは、医師の思い込みや認識不足、看護師の注意力不足が原因で起こることが考えられるでしょう。
ヒューマンエラーを改善するには?
ヒューマンエラーを改善することで、ミスを軽減できます。これを機に心に留めておいてください。
1:教育と訓練
定期的な教育と訓練は、従業員の知識やスキルを向上させ、エラーの発生を防ぎます。シミュレーションや実地訓練を通じて、実際の業務に近い状況で対応能力を養うことが重要です。また、エラーが発生した際には、その原因と対策を共有し、再発防止に努めます。
2:作業環境の改善
作業環境を快適に保つことで、注意力や集中力を高めることができるでしょう。適切な照明、温度管理、騒音対策を講じることで、作業者が最適な状態で業務を行えるようにします。また、整理整頓された作業スペースや、必要な道具や機器がすぐに手に取れる配置も重要です。
3:コミュニケーションの強化
チーム内および組織全体でのコミュニケーションを強化し、情報の伝達ミスを防ぎます。定期的なミーティングや報告会を実施し、重要な情報や指示が確実に伝わるようにしましょう。明確な指示書やマニュアルの整備、情報共有ツールの活用も効果的です。
最後に
今回はヒューマンエラーについて解説しました。ミスなく仕事を進めるには、システムや機器に頼るだけでなく、体調管理やストレスにも気をつけることも大事ですね。周りとコミュニケーションをとりながら、何でも話し合える環境づくりを心がけましょう。
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