「マンダラチャート」を一躍有名にしたのは、大リーガー・大谷翔平選手! 高校時代に恩師からすすめられて作成したといいます。本記事では、大谷選手がどんなふうに用いていたかを含めて、マンダラチャートについて具体的に解説します。
「マンダラチャート」とは?
「マンダラチャート」はわかりやすくいえば「目標達成シート」です。ちなみに曼荼羅(マンダラ)とは仏語で、悟りの境地である宇宙の真理を表す方法として、仏・菩薩(ぼさつ)などを体系的に配列して図示したもの。この曼荼羅に図表を意味するチャートを組み合わせて「マンダラチャート」。「曼荼羅チャート」と表記しているものもありますが、正しくは「マンダラチャート」です。
経営コンサルタント・松村寧雄(やすお)氏が考案しました。
書き方はシンプル。9×9マスを埋めていきます。たとえば、大谷選手はどのように活用したのでしょうか。まず、中央のブロックの中心に目標(夢)である、「ドラ1 8球団」と書きました。8球団からドラフト1位に指名されるということです。
そして、この目標達成のために必要な要素を8つ(体づくり・人間性・メンタル・コントロール・キレ・スピード160キロ・変化球・運)を周囲の8ブロックの中心に書きます。さらにそれぞれの要素ごとにやるべきことを8つずつ分解して書き出します。つまり、合計81マスに具体的にやるべきことが64個記されるわけです。
※「マンダラチャート」は一般社団法人マンダラチャート協会の登録商標です。
「マンダラチャート」の作り方
ビジネスの現場でも取り入れられるようになった「マンダラチャート」。具体的には、どのように作成すればいいのでしょうか。順を追って紹介します。
1:問題の解決、目標達成、アイデアの創出などマンダラチャートを使う目的を明確にする。これがマンダラチャートの「主題(トピック)」となる
2:9×9マスのシートを用意。さらに3×3マスのブロックに分ける。手書きでもエクセルやテンプレートなどを利用しても何でもOK。
3:中央のブロックの中心のマスに、「主題」を書く。
4:「主題」を達成するために必要と考える要素を「副題」として、中心のマスの周囲8マスを埋めていく。
5:「副題」を、外側8つのブロックの中心のマスに書き込む。
6:「副題」を達成するために必要な要素を、その周囲8マスに書き込む。
作成した「マンダラチャート」は定期的にチェックし、主題を達成するための要素がこなせているかどうか進捗状況を確認しましょう。そして必要に応じて修正や改善を行います。
「マンダラチャート」の目標例
目標達成、課題の解決、あるいはToDoリストとして活用できる「マンダラシート」。活用の目的をまずははっきりさせ、目標は数字などを用いてできる限り具体的に示すようにしましょう。
目標例 組織の場合
1:業務工数20%削減
2:人員育成
3:部署の月間売上〇千万円
4:〇〇〇〇年までに米国進出
5:〇〇プロジェクトの成功
6:新スイーツ開発
7:既存サービスの見直し
目標例 個人の場合
1:海外勤務
2:〇〇〇〇年までに貯金を〇〇〇万円
3:〇〇歳までに独立
4:自己肯定感を高める
5:出産とキャリアアップ 両立
6:後進育成
7:退職後の豊かな人生
年代ごとに仕事や人生を豊かするための目標を掲げればモチベーションも上がりますね。
「マンダラチャート」を使うメリット
目標や夢を実現するため、なぜ「マンダラチャート」が有効とされるのでしょうか。マンダラチャートを使うメリットを考えてみましょう。
1:やるべきことを視覚的に整理できる
目標に向けてやるべきことを整理でき、計画的に物事が進められます。また視覚化し目標に向けたプロセスを明確にすることで、今できていることとできていないこと、弱みなどを把握でき、次の計画が立てやすくなります。
2:優先順位をつけられる
やるべきことをマスに埋めていく中で、取り組みの重要度も見えてきます。重要性の高い行動から始めるなど、優先順位も把握しやすいのがメリットです。
3:アイデアの新発見につながる
81マスを埋めるのはなかなか難しいかもしれません。けれどその分、今まで想像していなかったようなアイデアが生まれることも少なくないようです。つまり、自分自身のアイデアの総数が増えるということ。新たな視点や思考の柔軟性を養うことにもつながるでしょう。
4:他者と共有できる
シンプルなフレームワークですから他者と共有しやすいのもメリットです。会社の先輩など第三者からアドバイスを受けることで、より質が高く、実用的なチャートを作成することができるでしょう。
5:チームで共有できる
「マンダラチャート」は、目標達成のために必要なアクションや考え方が誰の目から見てもわかりやすいのが特徴。作成しチームで共有することで、組織として問題解決などに取り組みやすくなります。
6:場を選ばず、1人で作成できる
「マンダラチャート」は思い立ったとき、場を選ばず、1人でも作成できます。なりたい自分になる、将来の夢を実現したい、そうした個人的な目標達成のためにも使いやすいツールです。
最後に
「マンダラチャート」はシンプルで汎用性が高く、誰もが利用しやすいツールです。組織で展開して仕事へのモチベーションを高めたり、人生を豊かにするための方法のひとつとして、取り入れてみてはいかがでしょうか。
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