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2024.06.21

ジョハリの窓とは|ジョハリの窓の概要や4つの窓、やり方について紹介【専門家監修】

就活の自己分析や研修などで用いられる「ジョハリの窓」。やったことがある人もいるかもしれませんね。本記事は「ジョハリの窓」について、やり方を中心に紹介。実施の際に知っておくべきことや注意点もチェックしてください。

「ジョハリの窓」とは

「自分が一番自分のことをわかっていなかった」と感じたことはありませんか? 人と接して初めて知る自分の一面に驚いたり、セルフイメージと他人の評価の違いに戸惑うといったこともよくありますよね。

自分が思う自分と、他人から見た自分は異なることが多いもの。しかし、そのズレによりコミュニケーションがうまくいかない、自分を見失うということもあるのです。

「ジョハリの窓」は、自分をより深く理解するためのもの。これを活用することで、自分に対する理解が進みます。まずはジョハリの窓とは何か、一緒に見ていきましょう。

(c) Adobe Stock

「ジョハリの窓」はアメリカで生まれた

ジョハリの窓は、アメリカ・サンフランシスコ州立大学で生まれた「対人関係についての心理学モデル」です。1955年、心理学者であるハリ・インガム氏とジョセフ・ルフト氏が発表したのですが、のちにこの二人の名前から「ジョハリの窓」と呼ばれるようになりました。

ジョハリの窓でわかるのは、「自分から見た自分」と「他人から見た自分」。複数の人たちと集まり、お互いの「4つの窓」について意見を交わし合いながら、自己分析を行います。

ジョハリの窓により自己理解が進み、自分の知らない強みを発掘したり、よりスムーズなコミュニケーションのために何が必要かを知ることができたりするでしょう。

「ジョハリの窓」には4つの窓がある

ジョハリの窓を活用する上で知っておきたいのが「4つの窓」です。「窓」と表現しているのは、「領域」のこと。ジョハリの窓は、自分の性格や特徴を4つの領域に分類することで、自己理解を進めます。

まずは、それぞれの窓の意味を見ていきましょう。

「開放の窓:open self」

自分の性格について、自分と他人の認識が一致している領域のこと。この領域にあてはまる性格が多いと、自己開示が十分にできていると解釈できます。周りからは「オープンで接しやすい人」だと思われ、コミュニケーションも円滑なことが多いでしょう。

反対に、この項目が少ないと、周りには「よくわからない人」だと思われがち。親密さを感じにくいでしょう

ジョハリの窓では、自己開示により「開放の窓」を広げるのが重要とされています。

「秘密の窓:hidden self」

「秘密の窓」は、自分のみが知る性格のこと。他人に知られないようにしている自分の一部分だと考えてください。具体的には、コンプレックスや過去のトラウマ、秘密にしていることなどが挙げられます。

この領域が多いと、自己開示ができていないと考えます。ありのままの自分を出せない、自己表現が思うようにできないといった状態に、ストレスを感じている人もいるでしょう。

「盲点の窓:blind self」

他人は知っているけれど、自分は気がついていない性格を表すのが「盲点の窓」です。無意識にやっていることや、自覚のない思考癖などがあてはまります。

具体的には、「あなたは人の長所を見つけるのが上手い」といわれるが意識したことがない、「困ると大きな声で笑うんだね」と指摘されて初めて気づく、といったことです。

「盲点の窓」に入る性格は、自覚のない強みや長所のこともあれば、自分の知らない短所や弱みである場合も。

「盲点の窓」を分析すると、自分と周りの間にある認識のズレを小さくすることができます。また、それまで知らなかった自分の一面を知り、強みに変えることもできるでしょう。これらはやがて「開放の窓」の性格となり、よりスムーズな人間関係を築く土台となるのです。

「未知の窓:unknown self」

自分も他人も知らないのが「未知の窓」の性格です。誰も気づいていない可能性や才能を指します。この領域を開発することで、上述した3つの窓につなげることができれば、新たなチャンスをつかめるということも。大きな可能性を秘めている領域といえるでしょう。

「ジョハリの窓」のやり方を紹介

ここからは「ジョハリの窓」のやり方を見ていきましょう。まずはもっとも手軽にできる方法を紹介します。

(c) Adobe Stock

紙とペンを使う方法

紙とペンを使い、ジョハリの窓にトライしてみましょう。次のものを人数分用意します。

・人数分の用紙
・人数分の書くもの(ペンなど)

準備ができたら、次の手順で進めます。

1:各々に紙を配る
2:紙に名前を書き、自分の性格を書き出す
3:全員が書き終えたら紙を交換。その紙に書かれた人の性格や強みを書く。このとき、自分の名前を書く必要はない。
4:3を全員分くりかえす
5:全員分を書き終えたら、紙を持ち主に返す。自分の性格や強みが書かれているので、上述した4つの窓に割り振っていく
6:結果を共有し、お互いに質問しながら分析を進める

6で共有する際は、「なぜそう思ったのか」「どのような言動でそう感じたのか」のように聞き合うと効果的です。特に、「盲目の窓」は、相手の意見を掘り下げることで、より自己理解が深まるでしょう。

アプリを使う方法もある

「ジョハリの窓」は、アプリや診断ツールを使って行うこともできます。自分一人で「ジョハリの窓」を行いたい場合は、アプリや診断ツールの中から好みのものを選ぶのもいいですね。

また、リストから選択する方法で行なうことも。企業の研修などは、この形式が多いでしょう。

「ジョハリの窓」の注意点

ジョハリの窓を行う際、注意すべきことがあります。次に紹介することは、事前に参加メンバーと共有しておきましょう。

注意点は3つ

《注意点》
・ジョハリの窓で用いる言葉に、人間性を否定するものや、人を不快な気持ちにさせるネガティブなものは入れない

・結果を真面目に受け止めすぎない。他人からどう思われているかについて、深刻にならないようにする

・ジョハリの窓で知った他の参加者のことは、他言無用。SNSにあげる、気軽に第三者に話すなどもNG

ジョハリの窓で取りあげるのは、性格に関すること。意図せずとも、他人に触れられたくない部分を刺激するかもしれません。また、言葉の選び方を誤ると、不用意に相手を傷つけたり、自分が傷ついたりすることも。

場合によっては、大きなトラブルになる可能性があることを全員が意識したいですね。

「ジョハリの窓」の実施で知っておきたいこと

「ジョハリの窓」を実施する上で意識したいことを紹介します。

(c) Adobe Stock

ある程度の関係性ができている人同士で行う

ジョハリの窓の特性上、よく知らない人同士では行えません。よく知らない人の性格を書き出すのは難しいからです。

また、参加メンバーによって結果が変わることも、把握しておきたいですね。

人によってはストレスになることも

ジョハリの窓は、自己開示が苦手な人や、触れられたくないことがある人にはストレスになるかもしれません。また、心の奥に踏み込み、トラウマやコンプレックスが刺激されるということも。過度に心理的負担がかからないよう、十分に配慮することが重要です。

最後に

「ジョハリの窓」についてまとめました。ジョハリの窓は自己理解が進む反面、不用意に心を傷つける可能性があります。実施者はそのことを意識し、十分に配慮してください。

TOP画像/(c)Adobe Stock

益田瑛己子

ライター・キャリアコンサルタント・ファイナンシャルプランナー。金融機関の営業職として長年勤務し、現在はライター(ブック・Web)として活動中。3人の子供が自立し、仕事と趣味を謳歌している。
ライター所属:京都メディアライン

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